春告鳥


こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

後追いのお知らせになってしまって恐縮ですが、NHK BSHi にて、3月29日に開始した新番組、「世界ふれあい街歩き」第1回でヴェネツィアが取り上げられました。4月5日22時放送予定の第2回も引き続きヴェネツィアが登場しますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。番組詳細については
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/
こちらをご参照ください。

さて、春を告げる鳥といえば鶯の代名詞。そしてその歌声に耳を澄ますのは、いかにも日本の風景に思えます。
ここヴェネツィアでは、春の息吹とともに鳥たちがにぎやかになる頃、一段と声高らかに歌うのがクロウタドリ(Merlo)。スズメなどよりは2回りほど大きく、その名の通り、羽はつやつやで真っ黒、山吹色の嘴がアクセントで、なぜか地面をトトトトトっと歩くこの鳥は、そのシンプルすぎる見かけからは想像がつかないほど、それはもう、美しい声で歌います。日本情緒あふれる鶯とは違い、あくまで陽気で明るい、ヴィヴァルディの「春」そのものの声です。
そして、日本にいれば、本格的な春の到来を告げるのは何よりも桜の便りでしょう。
一方、ヴェネツィアで春を感じるのは、まず最初にこのクロウタドリが声高らかに歌いはじめる頃、昼間思いがけず暖かい日があったりします。今日は厚いコートはいらないかも?と恐る恐る外へ出てみると、気の早い観光客はもうTシャツだったり。
そういえばだいぶ日が長くなってきたな、と思うころに、夏時間への移行を迎えます。3月最後の週末、夜の2時が3時に前倒しになり、日本との時差が7時間となります。こうしてあくまで人工的にとはいえ、日没が一気に1時間遅くなって、夕食の前まで明るい、となるとなんだか急に本格的に夏が近づいてきた錯覚も起こします。
そうして、もう1つ、イタリアにいて春を感じるのは、パスクワ(Pasqua、復活祭)のお休み。復活祭は、春分の日の後の満月の夜のすぐ後の日曜日。その年により3月後半から4月後半、とずれます。復活祭の翌日の月曜日はパスクエッタ(Pasquetta、ミニ・パスクワ)といって祝日。学校などはこの前後1週間ほどお休みになるところが多く、イタリア人にとっては、1年で最初の、春のバカンス・シーズンでもあります。
とはいえ、少なくとも私がこちらへ来てからというもの、このパスクワまではなんとなくぐずぐずと寒かったり、パスクワの休暇自体もたいていお天気が優れなかったり。それでも、この復活祭はイタリアだけでなく、欧米のほとんどの国で連休となることから、この間にイタリアへ来る観光客がぐっと増えます。その観光客の多さで「あ、そうだ、今週末はパスクワだった」と気付くことも。
今年はそのパスクワが、この3月末の週末にかかりました。事前の天気予報では、イタリア全国あいにくのお天気だったのですが、ふたを開けてみたら、少なくともヴェネツィア周辺は、曇りがちながらも雨は降らず、まあまあ暖かくなりました。
私も、この冬はなんだかバタバタして落ち着かなかったのと、しつこい風邪がなかなかぬけずに参っていました。いろいろやるべきことはなかなか片付かず、そんな風に何もできずに日が過ぎていくのにイライラしながらも、なにしろ風邪で体力・気力が失せてしまい、なにをしてもすぐ疲れたり。
そこで、ちょうどこのパスクワ休暇を、思い切ってゆっくり過ごしてみました。仕事や、育児やら忙しい皆さんには、贅沢だ!と言われてしまうかもしれません。もうすぐ試験もあって勉強も遅れを取り戻さなくてはならないのですが、それもこの数日は脇へおき、久しぶりの友人に会ったり、おいしいものを食べに行ったり、だらだらとテレビを見たり。そしてパスクエッタの月曜日は、人のあまりにも多いヴェネツィアを脱出して他の町へ、見たかった展覧会を見に行ってきました。それも、いつものように欲張らずに1つだけ、のんびりと。
暗くなってからヴェネツィアへ戻ってきたら、その朝と同じ、深い霧。ただし、町中を埋め尽くしていた人は消え、昼間の喧騒が嘘のよう、町全体がそのまま、まるで眠りにかかったかのように、ぐっと静まりかえっていました。ひんやりと心地よい霧をめいっぱい吸い込んでいたら、なんだか頭がすっきりとしてくるのを感じました。
どうやらいい骨休めができたようです。

では年度末、何かとお忙しい頃かと思いますが、どうぞ皆様もお体は大切に。
Fumie

30 marzo 2005