こんにちは。すっかりごぶさたしてしまいました。
気が付いたら、夜の9時過ぎまで明るくなっていました。暑いはずです。もっとも、今日はうす曇、空気もひんやりしていますが・・・。
路地を抜け、角を曲がると、思わずうわっとにおい立つジャスミン。今年は、ですが急に平年よりぐっと気温が高くなるかと思うと、またどんよりと薄ら寒くなったり。そんなお天気のせいでしょうか、どの花もうまく咲ききらないようなのです。一斉に満開になったところで突然涼しくなって、花びらが、さらさらと散っていかずに、なんだか花ごとぎゅっと縮こまって、そのまま色を失って立ち枯れているのをたくさん見かけます。5月の、たった1回の雨でやられた藤。先日まで大輪をいくつもつけていたはずのバラもさびしい終わりになっています。開きはじめた夾竹桃は、うまく持つといいのですが・・・。ブリオッシュ?それともコルネット?
イタリアの標準の朝食といえば、カフェ、またはカフェラッテ(牛乳入りカフェ)に、クロワッサンなど菓子パンを1つ。もちろん、ヨーグルトを食べたりする人もいるようですが、たいがいはお砂糖を入れたカフェに、甘いものを少し、というのが基本です。薄切りパンやラスクにジャムやチョコレートクリームを塗って食べるのもありですが、ベーコン・エッグやサラダといった塩味のものを朝から食べる、という人はほとんど聞きません。
朝食は簡単に速攻で、というのも基本で、ですので家では朝食を取らず、通勤や通学の途中、あるいはいったん職場や学校に着いてから、その近くのバールで軽く朝食、というのもよくあるパターンです。その場合、圧倒的に多いのが、カプチーノとクロワッサン。それをカウンターでさっと立ち食いします。
クロワッサンも、フランス風だとほんのりとバターの塩味が利いて、パリっとしているのでしょうが、イタリアではふんわりしっとりめ、あんずジャム、クリーム、チョコレート、プレーンといったところがだいたい標準で、どれも甘いのです。たいていは業務用の冷凍のものですが、それでも、その朝、その場で焼いたクロワッサンが、辺りに甘〜いにおいを漂わせています。
一度、格安飛行機で、早朝にヴェネツィアを発ってローマへ行ったときのことです。
ヴェネツィア空港のバールは、朝食を取ろうというイタリア人でいっぱいでした。「カプチーノとブリオッシュ」。「カプチーノとブリオッシュ」・・・。そう、ヴェネツィアでは、クロワッサンを含め、朝食に食べるような甘い菓子パンのことを総称で「ブリオッシュ(brioche)」と言います。もちろん私も「カプチーノとブリオッシュ」。
ローマへ着いて、迎えに来てくれた友人と、コーヒーを一杯飲もうとバールに寄ったところ、そこで聞こえたのは「カプチーノとコルネット」「カプチーノとコルネット」・・。ローマでは、クロワッサンのことを「コルネット(cornetto)」というんですね。コルネットなら、小さなコーン(角)だから、確かにその方が正しそう。だいたいブリオッシュって全くイタリア語じゃないし、そもそもフランスの、ギザギザのアルミの型に入れて焼いた、まあるい、頭がぽこっと飛び出た黄色いパンのことじゃないの・・・。その、本物のブリオッシュは、ヴェネツィアでは見かけません。
ところが、シチリアへ行くとその、まあるいブリオッシュに出会います。が、なんとそれは、主にジェラートをはさんで食べるためのものなのです!テレビや写真で、見たことはあったものの、そんなボリュームのあるもの、いったいいつ食べるものなのか・・・おやつにも、食後にも多すぎるのでは、と思ったのは杞憂でした。どうやら、なんとやはり朝食がわり、あるいは軽めの昼食として食べるようです。つまり、ふつうのパニーノの代わりということでしょうか。
ちなみに、サルデーニャの州都、カリアリでは、やはり朝食用の甘いパンを総称して「パスタ」というんだそうです。スパゲッティなど、麺類の総称のパスタ(pasta)、と一緒です。もっともこの場合は、もともとパスタとは、粉を練ったものという意味なので語源も一緒ですが・・・でもちょっとわかりにくいのでは?といらぬ心配をしたりします。
やっていることはほとんど同じ、でも言葉がちょっとずつ、ずれて行くイタリア。ローマで、うっかり「カプチーノとブリオッシュ」なんて注文すると、たぶん通じることは通じるのでしょうが、きっと「北部からきたな」と思われるに違いありません。もっとも、イタリア人なら顔立ちやイントネーションで、「カプチーノ」だけでもすぐわかってしまうのですが。
ではまた。
Fumie
8 giugno 2005
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