食後の一杯

 バールでカップチーノ、たまにはこんな演出も

こんにちは、いかがお過ごしでしょうか。
今日のヴェネツィアは、お昼前から雨になっています。1週間ほど続いた、座ってるだけでも汗がじっとり、そんな猛暑から一転、半袖でも肌寒いくらい。まったく体がついていけません。

たかが、されど

ヴェネツィアに限らず、イタリア全般で顕著で、かつ公認の二重価格制度といえば、立ち食いと着席の違い。イタリアならどこにでもある、バール。さっと立ち寄ってコーヒーを飲んだり、クロワッサンと共にイタリア風朝食、あるいはサンドイッチやパニーノなどの軽食を食べるようなところ、喫茶店というよりは、カウンターが目立つ、それどころかカウンターしかないような小さなところもあります。
カフェ(Caffè、コーヒーですが、エスプレッソのこと)1杯、ヴェネツィアの普通のバールで、立ったままカウンターで飲めば80セント。0.8ユーロです。ところが、席に座って、ウエイター、ウエイトレスに持ってきてもらうと、最低でも1.5ユーロ。場所によっては3ユーロ、5ユーロすることもあります。セルフサービスではないのです。ジェラート屋や一杯飲み屋でも原則同様です。そういう仕組みに慣れない外国人は、カウンターで値段を聞いてお金を払って、カップを自分で席に運んでしまう。それで、ダメダメ座っちゃ、と言われ、憤慨する外国人も多いようです。ただ座るだけで、ちょっと運んでもらうだけで、同じものが何でこんなに値段が違うの、と。
でも、どうでしょう?運んでくるウエイターの人件費はもちろん、座るための場所、テーブルと椅子とを整え、ある程度きれいにしておく、それはやはりカウンターの向こうからさっとカップを出して、またさっと引き上げるのと、元々の経費が違うとはずです。
ちょっと一杯コーヒーを飲むだけなら安く飲めるし、座ってゆっくりしたければその分多めに払う。私はむしろとても合理的で、悪くない制度だと思うのですが。

もう1つ、日本からイタリアへ来てびっくりするのは、そのコーヒーの濃さ。ちなみに、ふつうにカフェ、というとエスプレッソ・コーヒーのことを指します。薄めのコーヒーが欲しい場合は、カフェ・ルンゴ(Caffè lungo、長いカフェ、の意)。チェーン系コーヒー店を中心に、日本でも人気のカップチーノ(Cappuccino)、これはイタリア人は、食後には絶対に飲みません。カップチーノは、甘いパンと一緒にいただく朝食用、せいぜいが午前中の飲み物なんですね。だいたい、ただでさえボリュームの多いイタリアの食事、「消化のために」くいっと流すのが食後のカフェの役割。ミルクも入って重いカップチーノは論外、紅茶など、やはり水分量の多いものもこちらの人はあまり飲まないようです。とはいっても、その後「さらなる消化のために」食後酒などを、これまたくいっといくわけですが・・・。
暑い夏でも、原則的にアイス・コーヒーは存在しません。何年か前から、コーヒー・メーカーが夏になると宣伝しているのをちらほら見かけますが、街で飲んでいる人はあまり見かけません。冷たいものが欲しいときは、ミネラル・ウォーターかジュース、あるいは、ヴェネツィアならスプリッツという朝から飲んでもいい(?)カクテル、またはプロセッコという地元の発泡白ワインなど。目的が違うんですね。
ついでに言うと、このカップチーノやエスプレッソ、朝食を除いて、食事中は飲みません。コーヒーはあくまでも食後で、食事中に飲むのは冷たい飲み物、パニーノなどの軽食でも同じです。また、朝から、カップチーノとともに甘いケーキなどを朝食にしたりするのに、昼食、夕食の場合は、コーヒーはデザートが終わってから。一緒にいただこうと思っていると、待ちぼうけを食らうことになります。もちろん、これは頼めば問題なく持ってきてくれますが。
あのエスプレッソはちょっと、でもその、くいっの感じを味わいたい、確かに食後はカップチーノでは量が多いかも、そういう方には、マッキアート(macchiato、元々は「汚れた」、の意)がお勧めです。エスプレッソの上に、カップチーノ用の泡立てミルクをちょこっと乗せたもので、あのエスプレッソ用の小さなカップで出てきます。これなら食後でもまったく問題ありません。料金もふつうはエスプレッソと一緒、なんとなくお得感もあります。
ちなみにイタリア人は、エスプレッソ、マッキアート、カップチーノ、必ずお砂糖を入れます。日本の方でたまに、エスプレッソにもお砂糖を入れないのを見ると、こちらの人は目を丸くします。「だって苦すぎて飲めないよ、そんなの」。コーヒーはあくまでも濃く、そして甘く。イタリアの原則です。

それでは、また。
Fumie

3 agosto 2005