ヴェニスの商人

 落ち葉の絨毯

こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

町でみかけた紅葉の写真を、日記の10月23日から今日まで、HPの方は10月21日と28日の分につけてみました。日記では最初に出てくる写真は小さいのですが、クリックすると少し大きくなります。よかったらお時間のある時にご覧ください。
その紅葉も、もう終わりにかかっています。

アル・パチーノに乾杯

原作を一度は読んだはずなのに、お恥ずかしながら、どんな話だったか全く覚えていませんでした。ただ、撮影現場を何度か見かけたので、公開されたらぜひ見たいと思っていました。
ヴェネツィアは映画館が元々少ない上、小さいので、1つの映画は通常1週間のみ、うっかりすると2,3日で終わってしまいます。この「ヴェニスの商人」、イタリアで劇場公開になったのが、ちょうど去年の今ごろだったでしょうか、はじめに映画館にかかったときにはちょうどバタバタしていて、見逃してしまっていたのでした。
イタリアは、基本的には全て吹き替え。なのですが、たまに、何かの特集などで、原語で上映になることがあります。やはり半年ぐらい前だったか、1日だけオリジナル言語、つまり英語での上映があるというので、今度こそ、と思い行ってみました。イタリア語でも映画やテレビが100%わかっているとは言いがたいけど、それでも英語よりはまし。うーん、英語でいったいどのくらいわかるものか、まあそれでもものは試し、今回見たいのは主に映像だからわからなくてもいいか、という気分でした。

冒頭、「1594年ヴェネツィアで・・・」と数行英文が流れはじめ・・・一生懸命読み始めると、続けてイタリア語も。あれ?それならイタリア語のほうがいいかも、とイタリア語を読み始めるものの、それを読み終わらないうちに次の英語のフレーズ、続けてイタリア語・・・。この部分、英・伊いずれも各フレーズの最初の1-2行だけ読んでいる、というおかしなことになってしまいました。
そうして出てくるイタリア語を必死に読んでいたら、いつのまにか、映画が前に進んでいました。そう、この日は、音声は英語、なのでそれにイタリア語字幕がついていたのですね。これまた、しばらくは英語を聞くべきか、イタリア語を読むべきか・・・頭が混乱したまま、気が付くとどんどん流れていました。
そして細かいことなのですが、英語圏の方が、イタリア語やイタリア人の名前を発音する時の癖が、気になって仕方がないのです。例えば、イタリア名Antonioは、実はカタカナでアントーニオ、と発音するのが最も原語に近いのです。ところが、英語圏の方は、最後を母音「オ」で止めることがどうしてもできないらしく、アントゥウォーニゥオウみたいになります。Lorenzo(ロレンツォ)は、ロゥウレンツォウ。それを聞くたびに、心の中で、「ア・ン・トー・ニ・オ!!!」「ロ・レ・ン・ツォ!!!」と突っ込んでしまっている私。で、気が散る。突っ込んでるくらいならまだましですが、やはり英語はきいていてもいまいちわからない上、何人かの名前が全く聞き取れないことに気付き、途中からは字幕に集中することにしました。

お話は、おそらく原作にかなり忠実なのでしょう。映像もロケの部分がよく生きているし、スタジオ撮影であろう場面とそう違和感がなく、とてもきれいです。時代考証も、専門家が細かく言い出せばいろいろあるのでしょうが、一見したところ、わりと忠実に反映しているように思います。
興味深かったのは、室内装飾なども、16世紀ヴェネツィア地方のそれをうまく表現していたことです。特に、ポルツィア(ポーシャ)のお屋敷は、ちょうどその頃ヴェネツィアの貴族が、ヴェネト各地に競って建てた「ヴィッラ」のスタイルをきっちり再現していて、あ、うまいな、と思いました。
ただし、原作通りなのでしょうけど、残念だったのは、そのお屋敷が離れ小島にポツンと建っているというところ。海(水)に囲まれたお屋敷のお姫様に勇敢な騎士が求婚に行く、深い森の中のお屋敷と同じで、いかにも中世的です。
これが、陸地側の川沿い、運河沿いの、農地に囲まれたお屋敷であれば16世紀のヴェネツィアとしては一段とリアルなのに・・・。

まあ、それでも、なんと言っても、アル・パチーノの演技には、心底魅せられました。ほんとに、うまい!!!うわあ、これがアル・パチーノか、と。ほんとに、ほんとに、うまいです。本物のシャイロックなんじゃないかと思いました。
映像の自然な美しさ、含みを持たせた終わり方、見終わった後に、ぐっと悲しい塊が残るのとで、アメリカ映画というのはちょっと意外でした。
機会があったら、もう一度みてみたい映画です。

日本で現在公開中、と聞きました。よかったら、ぜひ。
ではまた。
Fumie

03 novembre 2005