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宿泊場所の三宮へ向かう。すごく早くいろいろと打ち合わせが済んで、出張としては異例の速さでホテルに向かったらしい。なにせ5時ごろにはホテルには入れたし。三宮は東京でいえば六本木とか新宿の歌舞伎町とかそういう雰囲気の繁華街。人が大勢いる。ビジネスホテルに泊まるのは初めてなので部屋の狭さに驚く。でも結構きれいだなーと思いつつ、シャワーを浴び、夕食までの時間ちょっと街に出てみる。
駅ビルに自分の担当しているブランドがあって、ちょっと店を偵察。うちの靴はセールで値段下がってないかとかこっそりチェック。下がってないのに安心してまた駅ビルを探検。今度は自分の楽しみのために洋服をみる。靴屋にも行く。でも神戸だから買えるとかないし、東京に戻ればまた買えるしと思うとわざわざ買うことないかと熱が冷めてくる。小1時間見てまたホテルに戻り、夕食を食べに行く。
夕食は社長の知っている台湾料理屋に行った。三宮の繁華街のなかにあって知らないと入れない。お好み焼き屋みたいな店構えなんだけど実は台湾料理。店のどこにも台湾料理らしき装飾がない。でももやしの炒め物とかはおいしい。ご飯を食べ終わると社長は街に消えた。どこにむかったのか。
昼間の疲れと緊張でベットのうえでテレビを見ていたらいつの間にか寝てしまっていた。目を覚ました時は、まだ12時前。バスタブに湯を張り浸かるが全然疲れが抜けない。体の筋が張ったままで緩んだ感じがしない。
出張報告書を書こうかなと思うが、備え付けのデスクの小ささにげんなりして眠ることにした。
夜中に大量の寝汗をかいて起きる。まだ2時だった。このときが一番しんどかったような気がする。身体の具合が悪いんじゃないかと錯覚するくらい。眠れず、初めて早く朝が来ないかと思った。

二日目 天気予報がこの夏の最高温度に達しそうだと伝えている。37度なんておそらく体験していても覚えてない。でも多分この日はきつく感じるだろうなと思った。朝食をとって外に出るとまだ9時前だというのに世界が妙にぬるい。またも新長田へ地下鉄に乗って移動。地下鉄構内の湿ったかび臭い空気がすこしひんやりして、すこしだけ呼吸が楽になる。今日は客先と神戸のメーカーで落ち合う。すごいこういうの仕事っぽいと思う。またもついていくのがやっと。自分の荷物と自分の面倒を見るのが精一杯でほかの事に気を回す余裕が出ない。
新長田は雲ひとつない。日陰を選んで座るけれどもそのコンクリートでさえも一定以上の温度になっている。37度に近づいている。汗ばっかりかくので体質が変わったのかと心配になった。車の迎えがありがたい。昨日行ったメーカーさんのところに少し寄り、今日、客先と落ち合うメーカーさんに歩いて向かう。本当にこの神戸の長田区は靴のメーカーが密集している。そこは徒歩5分くらいのところにあった。この徒歩5分の間にもいくつか製甲屋さんとか材料屋さんとかがあって、浅草を思い起こさせる。お昼前に工場をみせてもらい出荷前の製品をみる。本当にこれが全国のショップに搬送されていくのかと思うと不思議な気がしてならない。いまだに信じられない、というよりも慣れていない。お昼は近くの韓国料理屋さんで涼麺。食欲ないのか小涼麺。でもすごくおいしい。スープは乳酸菌がはいっていて程よく辛い。身体に良いらしい。冷房の効いたところと外の暑さを交互に繰り返していると身体が付いていかなくなる。
午後客先と落ち合ったときには、どうでも良いから早く終わってくれと思う気持ちと、どうやって話をしていけばいいかというのが半々で気力で乗り切ったような気がする。何とかやり過ごしたような2時間だった。どんな状況であっても人と話をしていると自分の立場や経験をいやでも意識せざるを得なくなる。向こうにとっての自分の立場とか、こちらにとってのむこうの立場とか。話し方でさえもいつも計られていると思う。判断されていると思う。
メーカーを出て、話の成り行きから客先と帰りの新幹線が一緒になった。しかし帰りの新幹線は混むので、私は社長と二人で座る。先輩と客先はひとつ先の車両で座っている。どうなんだろうかと先輩の様子を窺う。くたびれているのに眠れない。
途中、社長にアイスを買ってもらう。自分では判断できないが出張にも合格点をもらって、良かった。ちゃんと褒め方の上手い人に褒めてもらうのは嬉しい。出張に行った甲斐があるというものだ。
東京に戻ると夜8時だというのに暑さが引いていなかった。きっと東京も神戸みたいに暑かったんだろう。スーツのまま汗だくで帰りながらそう思った。そして同じ日の夜中、フジロックへと私は向かった。