| 今回のエッセイは私ごとで恐縮ですが、サッカーについて書かせていただきました。興味のない方には退屈でしょうが、最近の中田、名波、城等の海外での活躍などを見ますとまた違う世界が見えてくるのではないかと思います。ご一読頂ければと思っています。
<世界一のクラブチームはどこだ!>
'98・ワールドカップ・フランス大会に於いて悲劇のヒーローとなったのはイングランド代表のデヴィッド・ベッカム(プレミア・リーグ/マンチェスター・ユナイテッド)であった。ちなみに'94・ワールドカップ・米国大会ではイタリア代表のロベルト・バッジョ(セリエA/インター・ミラノ)である。
ベッカムはフランス大会の一次リーグにおいて同じく18歳で代表に選ばれたオーエンと共にベンチを暖めていたがイングランド代表の調子の悪さに母国イングランドでは、国民から何故ベッカムを、オーエンを使わないのかと批判が巻き起こっていた。その意を汲んだかどうかは分からないが、監督は2人を使わざるを得なくなったわけである。そこで、登場したMFベッカムと、FWオーエンは芸術的なフリーキックと高速ドリブルによる得点を上げ勝利に大いに貢献し、世界的なデビューを果たした訳である。
ところがイングランドの国民は一転してベッカムを非難することになる。
決勝トーナメントにおいてアルゼンチンと対戦したベッカムはレッドカードを受け一発退場となった。アルゼンチンはこの才能溢れるMFを徹底的にマークし、汚くてずるくて巧いアルゼンチンの術中にはまり、ちょっとした報復行為を行った。結局、引き分けによるPK戦になったわけであるが、このPK戦によりイングランド代表は敗退した。
結局、ベッカムに対する期待の大きさが、イングランド代表の敗退の責任を彼のA級戦犯という形で噴出したのだ。彼が居ればイングランドは負けなかったと。
(ロベルト・バッジョは米国大会決勝においてブラジルと引き分けPK戦においてPK失敗によりイタリア代表の敗退が決まった)
その後、フランスから、ベッカムはイングランド国民の大ブーイングを受けイングランドへは帰らずにNYへ行くこととなった。NYのマジソン・スクエア・ガーデンではスパイスガールズのNY公演が行われていた。彼の当時の婚約者はスパイスガールであった。
(その時、私はNYのホテルでイングランドvsアルゼンチンをスペイン語チャンネルのTVで観戦していた。また、スパイスガールズがNY公演を行っていたことも知っていたが・・・)
さて、それからの一年はベッカムにとって試練の一年となった。ピッチに立っても観客の容赦ないブーイングに悩まされることになる。しかし、ホーム・チームであるマンチェスター・ユナイテッドにおいてベッカムは徐々に信頼を得ることとなる。
勿論、英国プレミア・リーグを制し、ヨーロッパ・チャンピオンズリーグを制し、UEFA・カップリーグを制し、3冠を達成した。残るはトヨタカップであった。これはクラブチームとしてヨーロッパ・チャンピオンと南米チャンピオンが中立地区である日本において激突して世界一を決めるわけである。多分、日本人にとってこれがどれだけ重要なゲームであるかを理解している人はほとんど居ないのであろう、と思われる。
サッカー後進国である日本においてワールドカップよりオリンピックが重要な日本においては当然の考え方かも知れない。しかし、世界の大勢はワールドカップの重要性を優先するのだ。その為、日本五輪代表にもメダルの期待がかかるのではあるのだが。世界は五輪サッカーを大して重要視していないからだ。
長くなったが、そんな歴史を背負ってマンチェスター・ユナイッテドは南米王者パルメイラスと対戦するためにやってきた。
結果は皆さんご承知の通りである。あの厳しいヨーロッパを勝ち抜き、また現在もプレミア・リーグを、チャンピオンズ・リーグを戦っている真っ最中であるマンチェスター・ユナイテッドが傷だらけの栄光を手に入れることとなった。
さすがに南米王者であるパルメイラスもしぶとくかなり攻勢に転じていたが、GKの神懸かり的な好セーブにより前半にあげたギグスとキーンの連携による1点を守りきり世界王者となった。サッカーの母国とも言えるイングランドに初めてクラブカップ世界一をもたらした。
パルメイラスにはJリーグでも活躍した選手が何人か在籍していて昨年の元旦、天皇杯を制した横浜フリューゲルスのサンパイオやかって在籍していたジーニョも国立のピッチに立った事は感慨深い出来事でもある。
さて、初の世界クラブ選手権が今年1月にブラジルにおいて行われた。(今まではトヨタカップが事実上のクラブチーム世界一を決定するものであった)
昨年アジア・チャンピオン・シップを制したのはなんと日本のジュビロ磐田であった。しかし今年のクラブ選手権はその前年度アジア・クラブ選手権を制したサウジアラビアのクラブチームの出場となった。結果は皆さんのご存知の通りである。
なんとも、精彩の欠ける選手権となった。南米ブラジル勢の圧勝である。フラットに考えれば世界的な在り方としてはヨーロッパが主流となりつつある。ヨーロッパは今リーグ戦やカップ戦、チャンピオンズ・リーグで息つく暇もない状態の中、やりくりして参加しているのは明らかである。本来優勝候補である、マンチェスター・ユナイテッドやレアル・マドリッドが優勝候補であることは間違いのないところであった。ゲームを見て一目瞭然である。本来の姿ではないヨーロッパ勢を見ればこの選手権がその程度のものと認識されても仕方がない。
本来ヨーロッパで行われている、幾つかのリーグ戦の方が彼らにとっては最も大切と言えるのであろう。そういう意味では興味を欠いてしまった。残念・・・。
本来は、トヨタ・カップにてクラブ世界一は決まっていたという認識のはずである。
そういう意味では今年のクラブ選手権は第一回目にして価値を高めるところには至らなかったような気がしている。
以上は、私・素人の単純な感想である。皆さんはどう思うのか知りたいところでもある。
但し、ジュビロ磐田が出場すると言うことになれば、これはまた楽しみである。
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