原付哀歌 2




在りし日の(涙)、ライブディオ2号

 さて、悲しい原付の話。1回目の盗難時(ライブディオ1号)は、運良く出てきた。放置後、撤去されたのである。原付は撤去されると、引き取るのに4000円払わなくてはならない。僕のせいで撤去されたわけではないのに、4000円を支払った。その上に、合い鍵がなかったものだから近くのバイク屋にキーシリンダーから合い鍵の作成を要請した。これが7000円である。
 4000円に関しては、争う余地があったが、それにかかる労力を考えると嫌になった。何よりその時は夏の終わりで、絶対に妥協しないであろう撤去関係者にケンカをふっかけるのも面倒であった。

 この場合は、ガス欠になるまで乗ってくれていたようで(怒)、ガソリンをいれるとすぐにエンジンがかかった。季節的にも暖かかったためか、バッテリーも消耗していなかったのだろう。

 2回目の盗難時は、なんとなく予感があったので茫然とはしなかった。1回目は茫然自失、5分間立ちつくす、という状態。今回は、”車台番号調べて、警察行かなあかんなあ”と意外にも冷静であった。ちなみに、いずれの盗難も同じ阪神某駅周辺で起こっている。一般に神戸では山から南下していくにつれて、ガラが悪くなる、という法則があるが、それはまんざら嘘ではないようだ。阪急、JR、そして阪神と南下していくのである。

 そもそも、なぜディオ2号を阪神電車某駅に置かなくてはならなかったか、というと、友人のセローのハンドルを交換しに行くためであった。セローのハンドルは長くて、デイパックにおさまりきらなかった。かと言って、ジェベルのキャリアにくくりつけるのも、ひっかけそうで不安である。ではディオ2号で大阪の友人宅まで行くというのもしんどい。数年前ならともかく、今はおんぼろディオで10km以上はきついものがある。そういうわけで、ディオで駅まで行って、あとは電車だったのだ。
 ちなみに、ハンドルを持った僕が、乗客の中で浮きまくっていたのは言うまでもない。

 で、その某駅の有料駐輪場(1日200円)に置いたのは、これまた撤去されると4000円だからである。少しのお金をけちると、痛い目にあうのだ。駐輪する時、正面に携帯で話しているクソガキがいたので、なんとなく不安になった。”果たして大丈夫なのだろうか?”そう思いつつも、ハンドルロックとスタンドロックだけかけて置いた。これが間違いだったのである。
 その日は土曜日で、友人宅には2泊して帰ってきたのは月曜の朝であった。その時には、あるべきはずの場所に、2万3千キロ僕と苦楽を共にした原付は無かったのである。

 今、考えてみると、かなりくやしい。ホームセンターでちょっとしたロックを買って、ホイールにしておけばクソガキの”ハサミ攻撃”なぞ受けなかったはずだからである(結果論だが)。これぞ後の祭り、アフターフェスティバルである(謎)。ひょっとすると、近くのコンビニの前に置いておけば、人目を気にするヘタレクソガキなぞには盗まれなかったのかもしれないのである。ちょっと金をけちったほうが、被害を受けなかったかもしれないのである。これぞせっちん詰めである。世の中不合理なのである。


 それでも、警察に盗難届を出した頃までには、すっかり諦めていたのだ。”まともに出てこないだろうなあ”と。が・・・それは一本のメールによってくつがえされることになった。

 いつも通り大汗をかいて家に帰って、パソコンのメールチェックすると・・・とある友人(上とは別)からメールが来ていた。その友人には、原付盗難についてはまだ連絡していなかったが、”原付盗まれてないか?”とメールにはあった。上の写真の通り、僕の原付の左サイドには”熊出没注意”(笑)の黄色いステッカーが貼ってあるので特徴的である。

 その友人は、駐輪した阪神某駅から数キロの所にある店舗で、日曜日に夜勤だった。その店に、どうやら僕の原付で、クソガキ2人がやって来たようなのである。クソガキ=万引きはいつものことなので、大して気にしていなかったそうだが、そいつらの乗っていた原付がどうも見覚えがある。ナンバーを確かめることはしなかった(それが普通だけど)が、どうも気になる。次の日、夜勤上がりで帰っていると、またそのクソガキ2人を見かけたそうだ。



 そいつらやっ!




 いてもたってもいられなくなり、すぐにジェベルに飛び乗って、阪神某駅周辺を捜索する。バイクの盗難は初期捜査が肝心である。ひょっとすると、現行犯逮捕、あるいは再び乗りにくる所を捕まえられるかもしれない・・・・・・が、闇雲に走り回っても見つかろうはずもない。実際には2ヶ月半後に放置状態で見つかったようである。それは阪神某駅から、数百メートルしか離れていない路地裏であったが・・・。




 警察から連絡を受けたのは、友人宅でくつろいでいる時だった。夜の8時ぐらいのことである。友人宅にいることを告げると、”ほな、無理やなあ”と言う。この時間から取りに来いっちゅうんかい(怒)。明日の昼には受け取りに行く、というと、担当者の名前を言う。おそらくはこの電話をしているおっちゃんとは別人が引き渡し担当なのだろう。所詮はお役所である。3日に1日は休みなのである。いれかわりたちかわりなのである(謎)。

 それで、翌日に引き取りに行った。受付の兄ちゃんに”地域課の○○さんお願いします、盗難原付の引き取りの件で”と頼むと、しばらく待たされる。うーむ、やはりお役所なのである。同じ建物で同じ階で働いていても、机が離れるとどういうことか分からないのである。別に期待はしていないが、待たされるのは嫌いである。待つのはデート(死語)の時だけでいいのだ。僕は5分前には、待ち合わせ場所に行く主義である(謎)。

 3,4分は待たされたが、お役所にしてはなかなかのレスポンスである。担当の○○さんは丸々太った人だった(お前が言うな!)。もう1人、女性警官がついてきたがどうも役立たずの新人のようである・・・。警察は依然として男社会のようだ。

 地階の保管庫兼車庫に行くと、証拠車両やら盗難車両やらが一杯置いてある。バイクも一杯ある。定番のスクーターから、レプリカ、ネイキッド、そして僕のバイク・・・。役立たずの新人と○○さんが、鎖をほどいて取り出す。別の警官もやってくる。”ホコリまみれやなあ”・・・あたりまえやんけっ!おめーんとこの車庫がホコリだらけなんだよ、この糞警官(八つ当たり)!。よく見ると、何かしらんが役立たずの新人は、笑顔である。さわやかである。こんな時だけに気持ちを逆なでされる。

 精一杯のドンブリ五杯分ぐらいの作り笑顔で、ディオ2号を引き取ると、車庫を出た。天に向かって唾を吐きたい気分だった。梨本小鉄ではないので、自分の顔にかかるだろうが(謎)。

 冷静になり、ディオ2号の状態を確認する。ホコリ以外、外装は特に問題はない。相変わらずヤレてるが(笑)。メットインは・・・破損しているが、キーで何とか開く。イグニッションは・・・駄目だ。ONとOFFの中間地点で止まっている。オウマイガッ!ジーザスクライストッ!これは僕に与え賜うた試練なのですか?神よ、お答えください(僕は真言宗徒である)。キーは回らないどころか、差し込むこともかなわない状態である。

 ふと気になって、ガソリンタンクを開けてみる。ここの鍵は大丈夫である。キャップを開けると・・・ガソリンは少しだがまだ残っており、タンク内はさびさび状態。確か僕が駐輪したときは、ガソリンの目盛りが1目盛りぐらいだったから、30〜40km走って、ハサミイグニッションがおしゃかになった、ということであろうか。ひょっとしたら、盗まれてから夜に阪神某駅周辺を走り回っていれば、ディオ2号に乗ったクソガキに出会ったかもしれないが、それはあくまで結果論である。くやしいがどうしようもない。

 警察署から、懇意にしているバイク屋までディオを押している間、この原付の処分の仕方について考えていた。正直なところ、修理してまた乗りたい。が、今は金がない。キーボックスの修理だけでも1万円は必要だろう。ジェベルのリアタイヤはそろそろ終わる頃である。タイヤは6〜7000円はする。前後のブレーキパッドも減ってきた。前後セットで社外品でも7〜8000円はするだろう・・・。

 ほぼ2ヶ月半丸々放置されていたスクーターだと、間違いなくキャブレターの整備も必要だろう。キーボックスとあわせて2,3万か。ひょっとしたらバッテリーも弱くなっているかもしれない。バッテリーは高い。それにもう変速ベルトもすり減ってきているようである。エンジンもそろそろオーバーホールしなくてはならない。金銭的な面からすれば、この原付に乗り続けるメリットはゼロである。フルに修理する金で、中古ならカブ90が買えそうである。

 バイク屋に行って、おっちゃんと話す。盗まれるちょっと前に、おっちゃんからスクーターのリアタイヤ交換を教えてもらったので、その話になる。盗まれたのはタイヤのヒゲがとれてすぐだったのだ。やはり惜しい気はする。2ヶ月半の放置のことを言うと、やはりキャブレターの清掃と整備が必要らしい。キーボックス、キャブレター、バッテリーと総合的に判断して、”廃車”という結論に達した。


 盗まれていなければ、乗りつぶすまで3万キロは走っていただろう。もう一緒にツーリングすることはなくても、お買い物には便利だった。愛着が無いわけではない。むしろ有り余るぐらい愛着はある。初めて乗ったバイクが、このライブディオシリーズだったのだ。

 色々な思い出がある。思い出すほど、ディオ2号に対して申し訳なくなる。それだけに、もうこのライブディオとの物語は終わりにしたい。また新たなお買い物号を買う頃には、このディオ2号のことは忘れるだろう。

 しかし、このディオ2号で行った、ツーリング先で見た景色は、一生忘れないと思う。

 ありがとう、ライブディオ。

 そして、セカンドバイクを買うお金が貯まったら、今度はカブ90を買おうと思う。盗まれないために。

 もちろんロック類もきちんと買って・・・。



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