最近読んだ本 その9
『竜馬がゆく』全8巻(新装版) 司馬 遼太郎・著 文春文庫
『おーい!竜馬』全23巻 武田 鉄矢 ・原作 小山 ゆう・作画 小学館
『龍馬』 津本 陽 ・著 角川書店


竜馬がゆく おーい!竜馬
今回は、特集形式でいきます。ん〜、どうでしょう(?)。
歴史小説との出会い、そして坂本龍馬特集。
おそらく、読書好き、歴史小説が好き、という人は、高い確率で司馬遼太郎(以下敬称略)の小説を読んでいると思います。え、読んでないって?今すぐ読みましょう。
僕が司馬遼太郎の小説に出会ったのは、高校二年の時だったと思います。それまでは、”歴史小説なぞオヤジの読むものである”という思い込みがあったので、敬遠していました。現実的に僕の親父(かなり読書好き)が、最近池波正太郎に、ハマッているようです。うーむ。ノンベといい、読書といい、そして顔といい確実に親父の血をひいていますなあ。
司馬遼太郎の小説に出会うまでの経緯ですが・・・ある時、『おーい!竜馬』を本屋で見かけました。その時に坂本龍馬に対して持っていた予備知識は、”何か知らんけど、高知の海岸に銅像のある人だろ?”ということだけでした(オイオイ)。もちろん、幕末に活躍したのは知っていましたが、”活躍した”というのを教科書で見たことがあるだけ・・・。
で、漫画なら気楽に読めるなあと思って、ふと2冊だけ買ってみたのです。・・・・・・ハマリましたね(笑)。記憶はあいまいですが、その頃にNHKで『おーい!竜馬』のアニメもやっていたと思います。そんな影響もあって、お年玉を迷わず投入し、瞬く間に既刊分のコミックを集めてしまいました。
そうなりますと・・・やはり先が知りたい。ヤングサンデーをリアルタイムで読むのもダルイし、話がつながるのを待つのも面倒くさい。万事ものぐさな僕が向かったのが小説でした。それで、なぜ司馬遼太郎の小説だったかというと、本屋で最初に目に付いたからです(笑)。
”坂本龍馬の小説は・・・(本屋を見まわす)” ”あった、あった文春文庫で司馬遼太郎?” ”そういや中学校の時の友達が『項羽と劉邦』(新潮文庫)を貸してくれたことがあったよなあ・・・でも上巻途中で挫折したけど” ”他にめぼしい小説もなさそう(単に探すのが面倒くさいだけ)だし、これでいっか”
・・・・・・・・・・・・
うーむ。司馬ファンに聞かれたら、抹殺されそうなことを考えてますね。
まあ読書が好きでも、雑食性でしかも歴史小説を読んだことのない高校生の反応なんて、こんなもんじゃないかなとは思うのですが。
そんな僕ではありましたが、あっという間に『竜馬がゆく』(当時は旧装で6巻組)に、ハマッてしまいました。おそらく小説だけなら、これほど夢中にはならなかったと思います。『おーい!竜馬』で具体的なイメージが浮かんでいたからこそ、ここまで急速にハマッたのでしょう。漫画のいいところ(導入がしやすい)が出た結果と、さらには『おーい!竜馬』が、『竜馬がゆく』を下敷きにしているからということもあったのでしょう。
学校での休み時間は、机から離れずに読んでいましたね(うーむ、暗い高校生だな)。昼休みは弁当をすばやくかき込んで、歯も磨かずに読んでいましたね(磨けよ!)。そして、冬休みになって、勉強もせずにベッドの上でひたすら『竜馬がゆく』なのでした。今まで気分転換ぐらいでしかなかった読書が、メインの趣味になったのは、この頃ではないかと思います。
第6巻を読み終えて・・・思わず泣いてしまいました。魅力ある竜馬という男の物語が、突如として終わってしまったのですから、無理もありません。で、結末を知ってしまったものですから、『おーい!竜馬』は買わなくなりました(今は全部ありますが)。
今、僕がバイクであちこち走り回っているのも、この時に知った人物達が見た、そして感じた景色や気候を自分も見たい、感じたいという気持ちがあるからです。考えてみれば、バイクに乗って走っていこうと思ったあの日(謎)、根底には幕末の志士のごとく駆け回ってみたい(僕は無目的に)という気持ちがあったのであります。
その後、未知の地域にツーリングする前に時間があれば、『街道をゆく』を読むのが恒例になりました。その地域の歴史を知るには手っ取り早いし、他のガイドブックを読むよりはずっと情報が集約されていると思います。テーマパークの情報なんて、僕には全く必要がありませんから。
司馬遼太郎に興味を持たれた方は、本を読むだけでなく、ぜひ東大阪市にある”司馬遼太郎記念館”を訪ねてみてください。いかに司馬遼太郎という人が色々なことを考えていたか、日本の行く末を心配していたのか、ということがわかるはずです。
ちなみにこの記念館の館長は、自他共に認める”司馬マニア”なんだそうです。



なぜ3冊か? 続巻を買うお金がないから(涙)
時代は下って、上の本と出会いました。津本陽(以下敬称略)といえば、昔から剣豪小説!というイメージがあります。歴史小説嫌いだった僕が、なぜそんなことを知っていたかというと、和歌山放送のせい(謎)。四国は、サンテレビや和歌山放送が入ります。
ある日、ぼんやり和歌山放送を見ていると、清酒のCMに津本陽が出ていました。”和歌山が生んだ文豪、津本陽、その津本陽がうんたらかんたら・・・”というナレーション、そして小説の表紙、最後におちょこで飲む津本陽、清酒の名前。そういう郷土心丸出しの、いかにも田舎くさいCMでした。尤も、四国では深夜になると静止画像のCMが流れる(知らない人が見ると、放送事故か?と思うらしい)ので、どっこいどっこいですが・・・。
それで、その名前だけ知っている剣豪小説の津本陽による『龍馬』なのであります。POPには、”『竜馬がゆく』の後、判明した新事実をもとに新たな龍馬像を構築!”などと書いてあります。これは買うしかないでしょう。買いましたとも。おかげで買うつもりだったCD諦めたけど(涙)。
『竜馬がゆく』に限らず、あくまで歴史小説は、歴史小説。時系列に沿って事実のみを並べていく歴史書である必要はないのです。そこには必然的に”創作”がある。もちろんこの”創作”は、”事実を調べた上で、歴史上の人物を自分なりに描く”ものでなくてはならないのですが。
例えば、龍馬脱藩時に姉の栄が陸奥守吉行(刀の銘)を与え、後に自害するという話や、勝海舟に龍馬が会いに行ったのは、初めは斬るためだったという話(勝海舟談)などは、この『龍馬』では否定されているようです。龍馬が脱藩したのは、100%血気にまかせてのものではなく、最終的には江戸に出て勝海舟に師事するつもりだったらしい。
ふーむ。合理的な男です。当時の土佐藩は、上士が政治を専断していましたから、郷士のセガレでしかも次男坊の龍馬なんて、上士からしたらハナクソみたいな存在です。藩内での栄達など、全く望める状況ではない。もっとも龍馬が藩内での栄達を望んでいたかというと、そうじゃないんでしょうけど。
『竜馬がゆく』も面白いですが、この『龍馬』も面白いです。『竜馬がゆく』は小説的に面白く、幕末の状況を俯瞰するのに向いていると思います。『龍馬』は、坂本龍馬にぐっとズームをあてたような描き方です。どちらから読んでもいいとは思いますが、歴史小説の入り口としては『竜馬がゆく』がふさわしいと僕は思います。
さあ、歴史を楽しみましょう!!
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