
1997年6月14日、慶祐と恭子は結婚式を挙げた。
双方の家族だけのこぢんまりした式のあと、美容師さんが尋ねた。
「今日は成田泊まりですか?」
会話をしていると、一瞬の静寂が訪れ、自分の言っていることを
周りのすべての人に聞かれてしまうという経験をした方も多いと思う。
そして、この時の恭子がまさにそれだった。
「いいえ、実家に戻ります。」
タヒチは直行便が週一度・月曜日しかなく、式の日は土曜日。
新居はあったが、すぐに8日間開けるのに、食べ物を準備するのは
ばかげていると思い、双方の親にあきれられながらも、
二人ともそれぞれの実家に帰り、二宿四飯の世話になった。
二日後、新宿駅で待ち合わせた二人の、いよいよ第一回珍道中が
始まる・・・。