02年大阪→東京 <第5日目>

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8月14日(水) 晴れ



ルート
 御前崎→裾野

走行距離
  109Km

宿泊
 カントリーベア― ファミリーキャンプ場

食事
 【朝食】コンビ二(パンなど)
 【昼食】マクドナルド
 【夕食】カップラーメン、お茶漬け


 <第5日目> まるでスカートめくりをする小学生の男子のように

 とても眩しく、とても熱い中で目が覚めた。テントを張っていたのが海辺でしかも東向きだったため昇った太陽が海面に反射しててテントの中はかなり明るかった。
 テントの中からはいだしてみるとすでに辻君は起きて海岸でひとり海を眺めていた。起き上がって歩いてみると昨日飲んだ酒が残っていて頭がフラフラだった。
「おっ、早いなぁ」 「えぇ」
ふたりでトボトボと石がゴロゴロしている海岸を歩き昨日たき火をしていたあたりまでいって昨日の残りの玉ねぎやらシメジやらを海に放り込んでテントの後片付けをした。
出発の時になるとふたりとも別れてそれぞれの道を目指した。
 それからは150号線を北上。焼津あたりで少しきつめの峠があり30分ほどで登りきった。登りでたっぷりと汗をかいたので頂上に着く頃にはだいぶ酒は抜けていた。10時ごろに頂上に着いたのだが、私が着いた時にはもうすでに反対側から自転車で登ってきた人がおり、休憩をしていた。
「こんにちは」と声をかけた。「やぁ、お疲れさん。」そう言ったおじさんをよく見るとなんと驚いたことに左足のヒザから下が義足だった。ビンディングのペダルとシューズ(スキーのように靴とペダルを固定できるようになっているもの。足を横にひねるとはずれる。)なので義足でも乗れないことはなさそうではあるが、そのような状態で乗っておられるのには驚きを感じた。
このおじさんにこの先の道のことを教えてもらったり、箱根のことも教えてもらった。頂上からは遠くまで見渡せるようになっていたのでそこから富士山も見えた(らしい)
おじさんは私に「今日はかすかに富士山見えてるね」と言って指をさした。その方向には山が連なっているのが見えたがあまり関東には縁のない私にはどれが富士山かさっぱりわからず「はぁ・・」とあいまいな相槌をうった。
その後は爽快な風を顔面に受けながら峠を下る。そのおじさんとは少しの時間話をしてこの先の道のことを教えてもらったり、箱根のことも教えてもらったのだが、結局おじさんの義足については何も聞けずじまいだった。色々聞いてみたかったのだがなんというのか、どうも聞くタイミングを逃してしまったのだ。
義足でちゃんと乗れるのか?痛くないのか?ビンディングでないと乗れないのか?どうして左足を失ったのか・・・
今思えばどうして聞いておかなかったのかとかえすがえすも残念に思うのだが、その時はその時で聞きにくかったのだ。というか聞いたら悪いような気がしてどうしても聞けなかった。
 この日の予定としては箱根まで行かずに手前で一泊して体力を温存し、明日朝一番で箱根峠を越えることにしていた。しかしその前になんとしてもやっておきたいことがあった。それはシューズをビンディングに変えること。私は普段ビンディングペダルを使っているのだがこういうロングツーリングの際は普通のペダルに普通のシューズで乗るようにしている。というのも基本的に私は夜はキャンプすることが多いのでビンディングシューズでは歩きづらいからである。
 しかし今回の旅は前にも書いたとおり1日目でヒザをいためてしまい、またいつ再発するかとても不安な状態にあった。そんな中、箱根越えである。上り坂で普通の靴だとどうしても踏み足中心のこぎ方になってしまいヒザに負担がかかってしまうのだ。だからその負担をすこしでも軽減するために引き足をうまく使えるようビンディングが必要だったのである。
さっきの義足のロードレーサーおじさんにビンディングペダルが置いているようなちゃんとしたスポーツバイク専門店の場所を教えてもらっていたので、そこに行った。
店の名前は「わたなべ」。かなり広い店舗でデ・ローザ、ピナレロなどの高級車もずらりと並んでいた。
 そこでSIMANOのSPDペダルとシューズを購入し、今のものと取り替えた。店員さんが取り付けをしている間、店長さんと無駄話をしていたらなんと意外な事実が発覚。なんと大阪で私がいつもよく行っている自転車屋の店長のことを昔からよく知っているというのだ。意外なところで人と人はつながっているものである。

ビンディングシューズ
赤マル のところに金具がついている。


ビンディングペダル

これだけ晴れているのに・・・
 その後も一号線をずっと東へ向けて走った。富士川を越えたあたり(だとおもう。よく憶えていない)から富士山らしきものが見えてきた。らしきものが・・・
なぜ「らしき」ものなのかというと、大きな山があるのだがその5合目あたりから上の部分はすっぽりと色の暗い雲に覆われていて見えないのだ。まわりの空はこれ以上の天気はないというくらいスカッと晴れわたって突き刺さるような陽射しが降ってきているというのにその富士山(らしき)のところだけなぜか雲がまとわりついているのである。まるでスカートめくりをする小学生の男子のように富士山見物を邪魔するためだけにあるような、なんともイジワルな雲であった。
私は大阪生まれの大阪育ちで富士山はあまり見る機会がないので結構楽しみにしていた。それだけにかなり残念だった。


 そこからはずっと1号線沿いに走り3時ごろ箱根の入り口、裾野に到着。この辺りには名古屋マスで一緒に走ったゆきさんが住んでいるのでTELをしてみたが、仕事中だったらしくつながらなかった。
 この日の宿は裾野から少し北にあるキャンプ場。5時ごろにキャンプ場についたのだがその少し前からひどい雨(おそらくさっき富士山にまとわりついていた雲がこちらに来たのだろう。ここ以外はやはり晴れていたらしい)で、キャンプ場についたころには全身びしょ濡れだった。雨の中テントを組み立ててTシャツを着替える。このキャンプ場は富士山のふもとにありので、晴れていたらおそらく富士山が見えるのだろう。しかし今日はあいにくの雨(しかも富士山周辺だけの・・・)で最悪の状態だった。
雨のおかげで外で調理するわけにもいかなかったので晩飯はテントの中でご飯を炊いてキャンプ場の売店で買ったカップラーメンと一緒に食べた。外は相変わらずひどい雨で洗濯物を干すわけにもいかずテントの中につるしておいた。テントの中で時おり身体をくねらせるぐらいしかすることのない退屈な夜だった。




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