フリブール、ビュル,グリュイエール


例の謎のフライ,チーズをネギかセロリのような野菜で包んで,揚げたものなのです。形はとりささみフライのよう。その野菜が,わさびのような辛さなのです。

バーゼルからベルンを通り,フリブールに到着するところから・・・

フリブールで、バスに乗り換える。バス停は1箇所,と思っていたら,駅の表出口と屋内駐車場のようなところと、2箇所ある。
「どうしよう!!乗り換えの時間,10分くらいしかないよ!急げ〜!!」表出口へ走る。
「あれ〜、こっちは近距離ばっかりだ」今度は反対側へ。
「あっ!!Bulleって書いてあるよ!これじゃないの?」
急いで飛び乗る。外はあいにくの雨。何とかグリュイエール到着までに止んで欲しい。----30分ほどで,Bulleに到着。
「ここから,私鉄みたいなのに乗り換えるはずなんだけど・・・」
電光掲示板の発車時刻をみると,Y子さんがSBBオンラインで調べてくれた時刻表と違う。
「まあいっか。お店とか見てみよう」そう言って数十メートル歩いていくと,
「おいおい,ちょっと待ってくれ!」さっきのバスの運転手さん。わざわざ乗換えを教えてくれようとしたのだ。SBBの方の時刻表をみせると,
「この(時間の)電車はないよ」そう、Y子さんが調べてくれたのは土曜日。日曜ダイヤと違ったのだ。
「Bulleにはきれいなお城があるぞ。ちょうど駅の向こう側だよ」おじさん、時間のつぶし方まで教えてくれたのだ!
「じゃ、お城見てみよっか」
相変わらず雨は降り続いている。日曜なので,飲食店以外の商店はほとんどクローズ。ちょっと残念。そして,石造りのお城に着いたものの,疲労と寒さが二人の顔から表情を奪っていった。友人は特に,体調の悪さもあったのだろう。
「そろそろ,戻ろうか・・・」
気を取り直して,GFM鉄道のホームへ。友人は,電車の写真を撮るのだという。私もつられて,至近距離でシャッターを切る。その小ささが,箱根登山線みたいだ。
あっという間に,グリュイエールの小さな駅に到着。オフシーズンなのであろう。人はまばら。日曜なので,やはりインフォメーションは閉まっている。グリュイエールは,私の一番行きたいところだったので,宿の選択は私に任されていた。(その節はありがとうございました)ユースで経済的に済ませた分,ちょっとゼイタクをした。駅で電話をすれば,迎えにきてくれるとの事だったので,早速公衆電話へ。
「この番号であってるよね・・・、もしもし」名前を告げる。
「はいはい、いま,駅にいるの?待ってて!5分で行くから!」
すごいや、もう宿泊客だとわかったんだ。しばらくして、ジープのような車が走ってきて,中から現れたのは・・・

お姫様の山小屋。 

車の中から現れたのは・・・、わ、若い!もしかして、まだ20代!?こんな若い女性がオーナーなのかしら?疑問をよそに,車は、丘をくねくね登っていく。・・・と、次の瞬間,目の前には石畳!おうち!お城の入口!
「うわーっ!!」2人して歓声を上げる。
嬉しそうに運転席から振り返る女性。車は,石畳の中ほどで止まる。えっ!?もしかして、このかわいいおうちが今晩の宿!?うわあーすごい!!(写真でお見せできないのは残念です)
木の玄関ドアを開けると,そこは別世界。余談だが,オーナーの女性を含め,スタッフの皆さんは,美男美女ばかりであった。細い階段を上がると,廊下には赤い絨毯。ドアには小人の絵が描いてある。
気になるお部屋は・・・「うわあ、お姫様の山小屋みたい(なんじゃそりゃ)!」
傘もコートも放り出して,はしゃぐ私。古風な鍵のついた白い窓,花の描かれた緑色のベッド,まさにお姫様気分である。テレビだけは5つ足の金属製のユニークなスタンドに載っており,60年代っぽかったが。窓から見える町並みがまた最高。夢中で写真をとりまくる。
「夕ご飯ついてないんだよね。真っ暗になる前に,レストラン行こっか」
「もろきゅう、どこがおすすめって言ってたっけ」
「えーと、スイスシャレーだったかなあ。お城の入口にある・・・」
「お城って、どこの?」
「・・・聞いてみようか」


ラクレットで満腹。 



英語のできるスタッフは,「ル・シャレーのこと?すぐそこよ」
なるほど。数十メートルも歩かないうちに,こげ茶色の小さな小屋と,お城の三角錐の屋根が見えてくる。小さな入口をくぐって,正面奥の席へ。木のテーブルとベンチに、赤いチェックのカーテンとテーブルクロスがかわいらしい。メニューを見るが,うっ!おいしそうだけど、ちょっと高め。無理もない。今までずっと,お昼・夜をスーパーのパン+お惣菜+水程度で済ませていたのだから。
「チーズフォンデュが27sfr・・・うーん、どうしよう・・・、Yちゃん(友人の名)、一緒に食べない?」
「いいよ・・・私,まだ体調が悪いから・・・」
そう、彼女は前日から,「時差ボケが直らない体質かも」とこぼしていた。
「もろきゅう、1人で食べなよ」「えーっ!?食べきれるかなあ・・・」
迷いに迷っているうち、眼鏡をかけた背の高い店員さんがやってくる。そのとき,ポンと浮かんだフランス語。「まだ決めてません」
――「かしこまりました」にっこり笑って去っていった。
「もろきゅう!いま何て言ったの?」
友人はきっと,私がフランス語のできる人間と思ったに違いない。しかし,私はたまたま授業で習ったフレーズを覚えていただけ。(しかし、ちょっと素性のわからない,怪しい先生であった)完全なハッタリ。このフレーズが役に立つ日が来るとは・・・
再びメニューに目を通す。どうしよう、安いから,チーズの盛り合わせにしようかなあ。でも、ここまで来てあきらめるのはもったいない・・・!!
「ねえ、こっちのじゃがいもの、ラクレットはどう?少しなら食べられるんじゃない?」
私の提案,いや押し問答に,友人も「じゃあ、少しなら」と折れた。というわけで、友人はビーフコンソメスープ,私はラクレットを注文。
二人の前に,上から温める大きなヒーターと受け皿がどーんと置かれ,コンセントがつながれた。なんだこれは??そのうち、店員さんがフランスパン,つけあわせのピクルス,蓋つきの木の入れ物を持ってきて,ヒーターの下にチーズを置いてくれた。
「食べ方,わかりますか?このようにして・・・」
細長いフォークとナイフで、チーズを表面からすくいとり、木の入れ物から出した小さなじゃがいもにのせた。一口食べてみる。おいしい!ますますチーズ好きになりそう!これでもか、と思うほど大量に食べてしまった。友人も,少しと言いつつ,かなり食べることができ,満足した様子。しかし、体重計に乗るのが怖い・・・
もうおなかいっぱい、という頃,「デザートはいかがですか?」
甘いものは別腹といえども,これ以上入らない。残念だがお断りする。(あとで後悔する事になるのだが)
宿へ戻り,しばし部屋でくつろぐ。
「ラクレット、うちでもやりたいなあ〜」「すごくおいしかったよねー」

朝ご飯と、お城 


友人がテレビをつけたままお風呂に入ってしまったので,私はぼーっと画面を見ていた。一番おかしかったのが日本?のCM。東電の社員、着物を着た女の子,柔道をやる男の子・・・。「○○に〜生きるぅ〜すぃあわすぇ(幸せ)〜」
一人で笑ってしまった。歌っているのはフランス人か。でも、振り返って,日本はどうだろう。カタカナ語,妙な和製英語の氾濫した歌。外国人からすれば,発音も下手で,おかしな歌に聞こえているんだろうなあ。そう思うと,笑えない。
フランス語の放送は,ちょっと分かりにくいので,その夜はもっぱらBBCニュース。天気予報のおじさんは,日本もこっちも穏やかなイメージ。
朝。時計をみると,7時を回っている。普段の私なら6時には起きているのだが。よほど快適だったのかもしれない。
8時ごろ,のんびりと階下に下りる。広いダイニングの隅のカウンターに,食事の準備がしてあった。その可愛らしいことといったら夢のようであった。ゆで玉子は,鶏の絵の付いた木製の保温ケースに収められていた。シリアルは麻袋の中。チーズはカーネーションのようなひらひらの花の形に盛り付けてある。飲み物は,牛や花の絵が描かれた瓶に入っていた。古い暖炉や床が、温かい雰囲気。ガラスを隔てた向こう側には,もうひとつダイニングスペースがあり,そのまた向こうの窓に,霧に包まれた山を望むことができた。(まさに↑の山ですね)
テーブルの上の装置,見覚えがある。
「あの、向こうに見えるのは,ラクレットのヒーターですか?」
「Ye――s!」あくまでも明るいオーナー。
のんびり朝食をとったあと,グリュイエール城を見物することにした。門の前まで来る。
「あっ、ちょっと待って!学生証,使えないかな?」
「ええっ!?日本のは通用しないんじゃない?」
「一応,出すだけ出してみよう」
結果は○。1人5sfrのところが2人で8sfrとなった。ちょっと得した気分。
中庭のようなところに出る。雪で真っ白。大砲があり,ちょっと驚く。お城だから当たり前か。
建物の中に入る。暗い。昔の台所のようだ。
「見て,すごい石!」足元をみると,丸みを帯びた細長い石が一面に埋め込まれている。貴族の生活した部屋に入ると,
「うわあ、すごい!」今度は私が驚く番であった。窓である。丸い瓶底のようなガラスがたくさんはめてあり、中央にはステンドグラス。家具は,ロココ調というのか,フランスの貴族が使っていそうな感じがした。しかし、私が心ひかれたのは、猫足の家具よりも,武骨でいて温かみのあるこげ茶色の家具であった。窓の外を眺めると、きのう来た石畳と町並みの屋根が良く見渡せた。窓のすぐ下には,○△□の形をした植え込みがある。おもしろいなあ。イギリスの迷路みたいだ。(フランス式庭園だった)
外の高台からは,さっきの町並みと,山,ところどころ雪の積もった草原が全部見える。お城の周囲には,枝の先がこぶのように大きくなった面白い木があった。苔むしていて,ちょっと怖い。夏になったらどんな姿を見せるのだろう。

雪国へ。 



きのうのレストラン,ル・シャレーの向かい側のお土産屋さんで、日本でいう落雁の木型のようなものを見つける。スケートをする女の子と,猫が彫ってある。
「これなんですか」と尋ねると,やはり、ビスキュイなどのお菓子を作る型なのだという。それにするか、木製のエッグスタンドにするか迷ったが、結局後者にした。他の地域へ行っても見かける、ありふれたものだったが、嬉しかった。
次なる目的地,ツェルマットに向かうには,乗換えが多く,時間もかかる。(4時間半だったかな?)雪国で寒そうだから,早めに着いておいたほうがいい。そろそろグリュイエールともお別れしなければならない。私があまりにも名残惜しそうなので,友人には
「もろきゅうだけもうちょっと泊まっていけば?」といわれる始末。しかし、もう次の宿をとってある。再びオーナーの車で、駅まで送ってもらうことにする。
「待ってて!5分で来るから!」そう言って,どこかに電話していた。
「今からちっちゃな日本の女の子たちを送ってくるから」――「ちっちゃな」というのが何ともおかしかった。車の中で,友人は
「とても気に入ったので,今度は母を連れてきたいです」とオーナーに言い,別れ際にお礼としてチップを差し出した。が、彼女は
「とんでもない!あなたのお母さんと会えるのを楽しみにしてるわ」と受け取らず,笑顔で去っていった。――今度来るときは,もっと英語,フランス語を勉強して,いっぱい話がしたい。そう思った。
再び,SBBオンラインの時刻表とのにらめっこが始まる。Palezieuxというところを通って,ローザンヌまで行き,フィスプで降りてBVZ鉄道でツェルマットへ行く。
検札のおじさんが来た。いつものように切符を見せる。ん?なんだか困った顔をしている。おじさん、切符を指さして
「これだと、ビュルからバスに乗る路線なんだが・・・」えっ!?切符を良くみると,確かにバスの絵が描いてある。バーゼルで買った切符には,グリュイエール→ビュル−(バス)→フリブール→ベルン→LOTSCHBERG→ブリーク経由という表示がされていた。
ビュルはもう通り過ぎてしまった・・・
「どうしよう!!」「うーん・・・次の検札で,買いなおしてって言われたらそうすればいいんじゃない?しょうがないよ」
心配性の友人と,どこまでも楽観的な私。そうこうしているうちに、GFM鉄道は小さな駅で停まった。


ゆきやま
雪国ツェルマット。

おうちへ。