<後編>

 

 
3/8 <ホテルで警報。めぐる妄想>

 辻は観光に行き、私は1人で遅くまでごろごろしていた。うちの中学校の人たちが出てくる夢をみた。私はなぜか警察に追われていて、 大学時代に知り合った某先生に助けてもらうという夢だった。その先生には現実でも助けられてた。なんと自分に都合の良い結末だろう・・と少々感傷的になる。 全ての感傷を捨ててくる旅でもあったはずなのに。
 テレビで「奥様は魔女」を見た後、外をぶらぶらする。わりとすぐ戻ってきて半身浴をしたり部屋でごろごろしているうちに、なぜか部屋の警報が鳴る。 まずはじめに自分に原因があるのかと思ったが、そもそも何もしていない。次に「火事か?」と思ったが、のぞくと廊下は静かである。どうやら他の部屋の 警報もなっているらしいが・・皆、観光に行っている時間なのだろう。人の気配がない。
 ここで妄想が開始される。(脱出するときにはやはり荷物を置いていくのが筋なのか、でもこのスーツケースぐらいは持っていけそうだけど・・ 後が面倒だし燃えて欲しくないなあ。窓から落とせば良いのか。4階だから多分大丈夫だろう。あ、辻の荷物はどうしよう。あの大きなスーツケースを 窓から落とせる自信はないなあ。でも自分の荷物だけ持って出たら辻に何を言われるやら・・。あーそういや私にもついに死ぬときがきたのかあ。 なんとなく海外で死ぬのもいいかもとは考えたけど、まだちょっと早いような・・・)
 しかしいくら部屋で様子を伺っていても何もおきる気配がないので、警報のことは忘れることにした。悲観的なのか楽観的なのか単なるバカなのか。
 そしてその後、なかなか辻が帰ってこなく、心配になった。妄想第2弾。(もし辻が事件に巻き込まれていたら、1人で状況を英語で的確に説明できるだろうか。 全く自信がない。そして初海外の私が1人で無事帰れるのだろうか。それも自信がない。辻が買った大きなチョコはどうすれば・・・?  辻の両親にやはり届けるべきだろう。しかしどうやって顔を合わせればいいのか。やはり2人旅旅行中に片方が死んだら、たとえ自分に原因がないにしろ、 もう片方はとても重い責任感に押しつぶされるだろう。顔合わせはとても出来ないなあ・・いやしかし)などと悲観的に考え、「連れが帰ってこない。 警察に連絡したほうがよいだろうか」などとホテルのフロントに相談する英会話を考えているうちに、辻が到着した。
 辻に警報のことを話したら「荷物のことは考えるな」「さっさと逃げろ」と言われた。ごもっとも。
 

 

     

↑結構キレイに撮れた?橋        ↑ピカデリー・サーカスから

 

 
3/9 <ロンドン観光>

 大学時代に好きになった人がなぜか辻の旅日記を読んでいる、という夢をみた。ああもう。
 今日は1人でがっちりロンドン観光。まずタワーブリッジ。ここからの眺めは最高!! 天気がよく、朝日が川に反射してきらめいている。イヤー、絶景だ。 思わず往復してしまう。その後、バッキンガム宮殿。観光客多し。セント・ジェームズ・パークを散歩。これまた素晴らしい。今日が快晴っていうのもある のかもしれないが、景色が輝いているようだ。桜も水仙もキレイ。あと色々な種類の鳥がいて良い。
 歩きながら、国会議事堂・ビッグベン、ウエストミンスター寺院を眺め、すぐ逆戻り。美術館を目指したが、どうやら違う通りを歩いていたらしく、 エロスの像&ピカデリーサーカスに到着。しばし迷ってようやくナショナルギャラリーに着く。はじめは宗教画が多くて「うーん・・」という感じだったが、 やはり緑とか牛とかの絵もあって良かった。モネの有名な橋の絵もあった。その後またセントジェームズパークを散歩。リスに呼びかけているおじさんとかがいた。 猫語とインコ語は少々イケルと思っているカンチガイな私だが、リス語に関してはよく分からなかった。
 景色は本当に良かったが、ひとつ気づいたことがあった。それは生足を露出していた(膝丈スカートをはいていた)のは私だけだったという事実である。 他は皆無(ランニングの人とかは除く)。その後ロンドンを見回しても、ほとんどの女性がズボンだった。日本と違うところだなあ。まだ寒いからなのか? 治安の問題?習慣?
 その後グリーンパークを抜け、大英博物館へ。さすがに大きい博物館である。ミイラばかりのイメージだったが、そうでもなかったので少々がっかり。 私的にはアジア美術やたくさんある壁画・彫刻なども良かったと思う。
 そして少々興味があったベーカーストリートへ。ホームズにはそれほど執心はないけどミステリ大好き人間ゆえ、とりあえず行っとこう、という感じ。 ここは駅もホームズ柄。ホームズ像の写真を撮る。ホームズのコスプレ?をしているかっこいい兄さん発見。写真を取れなかったのが残念。
 帰り道の駅でなにやら人だかり。なにやら暴れる女性を警官が2人がかりで押さえつけている。女性はなにやらきたない言葉をわめいている(ようだ)。 何があったか知らないが、珍しいものが見れてよかった。
 

 

 

     

↑イギリスも桜がきれい         ↑ピーターパン像

 

 
3/10 <ついにきたロマンス>

 朝6時起床。夢は3本立て。中でも、混声合唱団の人たちがたくさん出てきた。起きた後考えてみると、今頃フェアコンをやっている時間。 こういう不思議な力は海をも超えるんだなあ。
 今日はまずハイド・パーク&ケンジントン・ガーデン散歩。。抜かりなくピーターパンに出会い、写真を撮る。かなり寒い・・けどわりと散歩やジョギングの人がいた。 あと、ここでは犬が放し飼い。何もかもステキだ。そして湖では、海のように足元まで波が寄せていて良い感じ。 さて、ここで待っていたのがロマンスなのである。
<その後追いかけられたり、何かをすられていたり、暴力を振るわれたりということがなかったのでこれはロマンスと断定>
 30歳代半ばから後半の超ステキな紳士と散歩中バッチリ目が合い、挨拶をきっかけに歩きながら少々お話をすることになった。 はじめは天気のこととかロンドンのこととか、ありきたりな話題だったのだが、次第に恋愛系に。
 恋人はいるのかとか聞かれ、即いないと答えると「君はこんなに魅力的なのに。恋人がいないのが不思議だ」と。 (日本でなら「I think so.」とか答えるところだが、・・やめておいた。)
 この方の随所での褒めまくり(しかも褒め方がスマート)求愛で、私はかなり癒された。もちろんそこに下心とか上記に挙げた危険性とかを考えない 訳ではなかったけど・・というかそんな不安でいっぱいだったけど・・色々話をして、いい人と断定。一瞬国際結婚&海外生活の妄想が膨らんだ・・ (英会話には不自由するものの、生活すればなんとかなるだろう。休日にこういう公園を散歩するのが趣味の人なら、性格も合いそうだし。 なによりこの人には私の求める包容力があるようだ。一人身だし、求められるところに行くのが幸せなのではなかろうか・・・)等等。
 しかし・・。ここに来てみた夢がよくなかった。まだ日本に忘れ物をしている気分。加えてこの日はかなり寒かったので、早く帰りたくなって しまったのもロマンス向きではなかった。
 そして「ぼくはこっちに行くけど・・」「私はあっちに行く!じゃ。」という感じのおなじみの別れ方。別れ際に握手ーかと思いきや、 そのままぐいとハグ&キス。こういうことに慣れてない私はやや動揺。ま、そういう強引さは本来好きだけど・・しかしねえ。
 まあとにかく、最終日にしてやってくれたよ、イギリス。最高!! 甘く切ない気分と極上の癒しをありがとう。日本に帰ってからも自信を もってやっていけそうな気がするよ。
 そしてホテル近くの公園を散歩して、早めにホテルに戻る。夕食では、辻がなぜか買ってきたオーストラリア名物ベジメイトなるものを食す。 二人の評価は「おいしくない」。なんというか味噌のようだった。パンには合わないのでは? 
 最後の夜は辻とかなりしゃべった。ロマンスがあったと聞くとかなり悔しそう?だった。そんな辻にはこの旅でロマンスはなく、 ハ゜リで初めてチカンにあった(笑)ことがそれらしい思い出のようだった。かなり笑える。その後、小中高と大学時代のこと、 恋愛、童話・怪談のことなど色々話した。しかしどの話でもそうだが、思い出すと思い出すものだ。昔のことは、普段まったく考えない。 従って固有名詞も大部分忘れていたのだが、話しているうちに次から次へとよみがえっていく記憶。不思議だ。まさに記憶の「再生」って感じ。 ちゃんと「保持」はされているんだなあと実感。辻には私のように過去を「悪いことも含めてすべて良い思い出」にする機能はないらしく、 そこのとこが意外とネガティブだなーと思った。かなりたくさんしゃべって、寝る。
 

 

 

↑散歩していたら鳥がスゴイことに・・

 

 
3/11 <あっという間の帰国日>

 ゆっくりとホテルにて過ごす。たっくさんの買い物をしていた辻も無事にパッキングできたようだ。
 空港に行くと、またもやチェックでビーっと引っかかる。くぅ・・金属は持ってないはずだけど・・。今回はカメラ3つをポケットに入れていたのだが、 体を触っていたお姉さんが「持っている機械を通してからもう1回通りなさい」という。あわれ私のカメラたちはX線まみれに。あとから青いかごに入れて おけばよかったのでは?と気づくも後の祭り。はあ。ま、無事に現像できたのでよかったけど。
 酔い止めの薬をしっかり飲んでいたせいか、今回の離着陸は全然無事。機内食も完食してしまう。映画「ラットレース」を観る。なかなか騒がしいが基本的に コメディー好きなので良しとする。辻は私が全部英語で聞いていたことに驚き、私は辻が日本語で聞いていたことに驚いた。そりゃ全部が分かるとは言わないけどさあ ・・やはり英語で見たいっていうか・・。
 12日の昼に日本到着。何も目新しいニュースはないようだ。リムジンバスでは爆睡してしまう。帰ってきて、メールのチェック(やはりかなり携帯と合わせて 200近く溜まっていた)をし、録画していたビデオを見る。アリーはもちろん、「結婚と出産のあいだ」もかなり感動的だった(笑)。こういうの好きだなあ。
 そしてなんと旅行中に辻から葉書が来ていた。しゃれたことをするのう。
 

 

 

 
まとめ

  そんなこんなで旅は終わった。約2週間の日程だったが、辻と終日共に行動していたのは なんと2日だけだった。これでは2人旅というより1人旅だ。私はあくまでも初海外だったのだが・・。その件について辻は「ま、君は1人で何でも出来るから」 とあっさり片付けた。そのセリフ、大学でも何度言われたことか。とんでもない誤解なのだけど・・・自信がついたことは確かかも。何でも出来るとは思わないけど、 1人でも出来ることは多いと思った。
 添乗員もガイドもいなく、自分で全部の予定を立てるというのは、初海外(知識ゼロ)の私には非常に大変だった。時間もなかったし。 「語学もある程度できないと!!」「地図と交通も把握しないと!!」と、もう必死。行く前はかなりのストレスで、「次は絶対ツアーにしよう」と か思ってたけど・・・終わってみると、自由な旅はそれはそれは素晴らしかった。
 そしてスリとか強盗とかそういう危険なことが何もなかったのが良かった。年頃の日本娘が一人で街をぷらぷらしていても全然平気だったし、 夜のメトロにも無事乗れたし。まあ、ラッキーだったのでしょう。基本的に性善説支持の私は「人を見たら泥棒と思え」というのはどうも、ね・・。
 この旅行記にはあまり食事は出てこない。というのも食費を削るため、簡単に食事を済ませていたことによる。この件では辻に少々申し訳なかった。 2人旅なのに「リッチな外食したいなら1人でどうぞ」っていう態度だったから。旅ではその土地ならではのちゃんとした料理をしっかり食すべき、 という向きもあるかもしれないが、それは余裕がある人の場合。(お金に限らず)限られている多くの場合は、何かを得れば何かを失うわけで・・。 ま、次の旅ではぜひお酒をたしなみたいとは思うけど(笑)
 あと、この旅では芸術にたくさん触れたことが良かった。美術の知識はそんなにないけれど、「心で感じるものだ」と割り切って鑑賞。かなり良かった。感動した。
 色々吸収したつもりだったけど、何か自分に変わりはあったのか・・行く前は女を磨いて帰ってくる!と宣言してたけど・・うーん。 とにかくまた海外旅行に行きたいと思えた。良い旅だった。半ば強引に連れて行ってくれた辻、ありがとう。大変感謝してます。
おしまい。