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┏ 第62号 2005.08.14 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
    国際バックパッカーカップル日記 〜フランス滞在編62〜
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■はじめに……
これは、日仏国際カップルの2001年度フランス滞在記。

今日のお題は……【願わくば…】。
では、最終号です。
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■国際バックパッカーカップル日記 〜フランス滞在編 62(最終号)〜
(2001年9月27日(木)晴れの日記より…)

【願わくば…】

2日後のパリ行きTGVチケットをとった。
フランスに再入国してからの2ヶ月間もあっという間だった。
5ヶ月間のフランス滞在…
長いヴァカンスをとった私はむしろ、
日本に帰れば仕事を探し、ちゃんと働くと思う。
それと共に、こういう生活
〜 ある時は共に旅をして、またある時は共に生活をして、
  でもある時は、それぞれの国でそれそれに過ごす生活 〜
に、そろそろ区切りをつけなければいけない、っても思う。

   *:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…*:…:*:…

夕方、私たちはパンとチーズにワインを持って、
リュベロンの山にドライブに行った。
カヴァイヨンとシュバルブランの村がぐるっと見渡せる
西側の斜面で車を止めてピクニック開始。

そよ風が、山に自生するタイムの香りを運んでくる。
ほんの数カ月前、今年は例年になく山の緑が濃いとフレッドが言っていた。
しかし、それらも乾燥したプロヴァンスの夏を超えて、
すっかり枯れてしまった。枯れ草が夕日で金色に光っている。

眼下で、デュランス河の流れがのっぺりと大地から浮き出ている。
夏、ニコやシルヴィア、フレッド、そして
犬のベベルと何度も泳いだ河。
水嫌いのサリエット(←犬)が泳げなかった河。

始めて、このリュベロンの山につれてきてもらった時、私は
「こんなに美しい山がすぐ近くにあるのだから、
わざわざネパールまで行く必要なんてないじゃん。」
と、フレッドに言ったことがある。
その意味は、フレッドもよく分かっている。
でもこの人の人生は、旅しないではいられない人生。
そして、彼はそんな自分自身に正直なんだ。

だから、私たちは離れてはくっつき、
くっついてはまた離れる生活を送ってきた。
これはもう何度も何度も、話し合ってきたこと。
そして、やっぱり今回も新たな形に踏み切れずに
私達は共同生活の時間を終えようとしている。

願わくば、またこの地に戻ってきて… 

とその時、
「うああああ、ストップ、ストップ!!!」
突如、私は車を止めてもらう。
私たちからそう遠くない山の斜面に、一匹の鹿がいた。
ベルベットをまとったような若い角が生えている。
鹿は私たちを警戒するふうでもなく、黙々と枯れ草を食んでいる。
夕日に黄金色に照らされたその姿は、優雅で荘厳だ。
「すっごお〜い。きれい!!」私は感嘆のため息をつく。
「リュベロンで鹿を見たのははじめてだよ」とフレッド。
それはもう、息を飲む美しさだった。

もしも、人の人生が永遠であったなら、
人はこの一瞬一瞬の輝きに気づかないんじゃないだろうか。
限りがあるから今という時間に集中し、
そしてそれが、輝く瞬間になるんじゃないだろうか。
時は満ちる。そして全てに終りがあるからこそ、
全てが美しくありうるんじゃないだろうか……

*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…*:…:*:…:*:…
願わくば、またこの人と素晴しく美しい時間を共に過ごしたい
*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…:*:…*:…:*:…:*:…

なんてことを考えつつ、
私は今、この瞬間を忘れないとギュッと心に思った。
                             (おしまい♪)

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