情熱とドシャ降りのスペイン ついでにロンドンも 続き




3日目 本来の目的地、スペインへ

ここの寮は朝食付だったけど、フライト時刻の都合上、朝食をパスして、チェックアウト。
スペインへは、ヒースロー空港ではなく、ガトウィック空港。市内からは国鉄で移動。
列車の中で、名残の紅茶を飲む。

昨日から、何倍紅茶を飲んだことだか。
そして、例外なく、オイシイのだ! 駅の売店ですら。そして、こんな列車内販売の紅茶ですら。
ティーバッグは、テトラの形してるし(今でこそ日本でも見かけるが、当時、少なくとも私は見たことなかった)、1杯の紅茶に、ミルク(フレッシュじゃないよ、牛乳だよ)は2つもくれるし。
さすが紅茶の国、イギリス。あー 、これで、もう飲めなくなっちゃうんだぁ…。
本場のアフタヌーンティー、したかったんだけど、日程の都合上、諦めたんだよなー。
また、行きたいよなー。紅茶飲みに。(ホントに、そのくらいおいしかった)

エアUKに乗って、まず、スペインのマドリッドに向かう。
この、エアUKは、よかった。
何がよかったかって、
その1、機内食のミートパイ、私の今までの機内食TOP3に入る。(また食い物の話かいっ!)
その2、スチュワーデスが、働く!

まず、スチュワーデスさんが、デカい。そして、乗客の荷物を、それも、大人の男が持ち上げるのに持て余し気味だった荷物を、「えいっ」と、座席上部の荷物置き場に収納してしまったのだ!
それを見た私達。
「やっぱ、スチュワーデスさんは、働かなきゃ、なぁ」
「顔のいい、悪いなんて、どうでもいいよな。」
「そーそー。いくら美人でスタイルよくてもな。ただのベントー配りじゃ困るよな」
某航空会社を思いだし、頷いたのでした。

マドリッドから、国内線に乗り継いでバルセロナへ。
バルセロナの空港から、予約済みのホテルへは、タクシーで移動。
途中、「ガウディの建築物、見えないかなぁ」と、景色を見ていたけど、その時は出会えなかった。

「クリスタルホテル」に到着。しかし、疲れからか、めりがダウン。
「部屋で休んでるから、あんたら街歩きして、晩御飯も食べてき」ということで、ゆみと私は、早速くりだす。

確か、ホテルの近くに、「カサ・ミラ」があったはずだ…。大通りを歩いて(グラシア通りを北上)いると、左手に…明らかに、隣のビルとは異質の建物。

「あれ、ガウディの設計だよ、絶対、間違いない!」
カサ・バトリョだった。何とも異様な外観…。

しばらく歩くと、右手(グラシア通りを挟んで向かい側)に、何度も写真で見た、カサ・ミラが見えた。道を渡って、近づいてみる。
今では、午前10時から午後8時まで、最上階へ行けるようだが、確かこの頃は、午前9時から11時までと、かなり短かったような記憶がある。
夕方に到着した私達は、仕方なく外見だけをしげしげと見つめる。
(結局、カサ・ミラの内部に入る機会は、今回の旅ではなかった。ううーん、返す返す、残念)

カサ・ミラから、なんとかサグラダファミリアへ行って、外見だけでもチラッと見たかったんだけど、だんだん日は暮れて暗くなるし、初めての土地で、治安も悪いって聞いてるし…で、途中で引き返す。
途中、レストランで食事をとり、ホテルへ帰る。

1人になって、少し眠っためりは、だいぶ元気を回復していた。
私達が散策している間、近くの店で、パンとジュースの晩御飯を摂ったようだ。

「これ、売ってたでー」と開けた包みの中には…絶対食べたいと思っていた、ハモン・セラーノ(生ハム)!
初めての生ハムに舌鼓を打ち、その日は早い目に、ベッドに潜り込んだのであった。

だって、明日はもう、チェックアウト。朝早くに起き出して、私の第1の目的地、サグラダファミリアに行かなきゃ。



4日目 サグラダファミリアと、どしゃ降りと…そして、アルハンブラ宮殿

その日は…雨降り。
これが、この旅中、終始祟られた雨の、最初の日だった…。

いくら雨降りだからっていったって、上がるまで待ってられない。だって、今日の夕方、もうグラナダへ飛ばなきゃならない。
地下鉄に乗って、「サグラダファミリア」駅で下車。
地上に上がると…雨は本降りになっている。
雨宿りがてら、ホットチョコとチュロスの朝食を摂る。

しかし、雨は一向にやむ気配がない。逆に強くなってくる。
諦めて、折り畳み傘を購入し(この旅行中、ブッ潰れてしまったが)、すぐ目の前のサグラダファミリアへ向かう。

巨大で異様な建築物だ。
その形、レリーフ、構成、すべてに、ガウディの、「教会」というものへの思いが詰まっているんだろうけど。
キリスト教徒なら、理解できるのかもしれないけど。
残念ながら、仏教徒の私には、どんな思いだったのかはわからない。

しかし、ガウディの傾けた情熱の強さが、さらにこの教会の雰囲気を異様なものにしているのかもしれない、と感じた。

そして、どんより曇った空と、どしゃ降りの雨が、さらに回りを重苦しくしている。

完成し、教会としてすでに使っている礼拝堂もあるが(礼拝中にもかかわらず迷い込んでしまい、睨まれた)、まだ外枠すら完成していない。クレーン車はあったが、雨のため工事は中止。
屋根もないから、内部も雨がザンザカ降り注ぐ。
本当は、内部を見上げたかったんだけど…。塔にも登って、バルセロナの町並みを一望したかった。外から外観を、振り仰いで見たかった。

この当時は「ヘコむ」という言葉は、今のように日常的に使わなかったけど、私の気持ちは、まさに「ヘコ」んでいた…。

この雨に負けて、サグラダファミリアを出て地下鉄に向かい、とにかく戻ることにする。
地下鉄を出て、どしゃ降りに辟易しながら街を歩いていると、

「あ、マンダリーナダックだ」と、めりがお店を発見。
この旅に、デイパックで望んだゆみと私。みやげで肩が食い込んでた。ちょうどいいや、キャリーバッグって持ってないし、で、キャリーバッグと、丸っこいリュックを購入。(このキャリーバッグとリュック、今も現役バリバリで活躍している。)

Mandarina Duckのホームページ

お気に入りのバッグをゲットし、ほくほく。
しかし、雨はさらに、激しくなってくる…ホテルに向かい、てくてく。キャリーバッグは、「荷物を詰めて、引きずって」こそ役に立つものであって、ショップの紙袋に入れて歩くには、異常に邪魔なんだよー。
雨にうたれて、弱くなった紙袋は、途中で「バリッ!」荷物を雨の路上にぶちまけてしまった。ハズカシー。
(拾ってくれたスペインのおにいさん、ありがとう)

だんだん疲れて、放心状態になってくる。
放心状態で、てくてくてく。と、途中で、デリカテッセンを、発見。
お、生ハムが、棚に並んでいる!

今日の晩のおつまみにでもできる!
食いしん坊のめりと私は勇んで、ゆみは後からちょこちょこと入店。
しかし、いかんせん、雨と疲れで、放心状態が戻っていない。
「ハモン・セラーノ!」と、とにかく言って、棚の上を指差す。
スペインの生ハムは、豚の腿足を、まんま熟成させる。お店ではその腿足から、希望の分量を、大きな包丁で「削いで」くれるのだ。
これがイタリアだったら、スライサーでスライスするんだけど、同じ「生ハム」でも、違うんです。
棚の上には、何個か生ハムの腿足が並んでいる。店員さんが、私達の指差した生ハムを確認して「値段が張りますよ」と言う。値段を聞いてみて。
「OK。切って切って」
疲れで頭が回っていない。(でも、2・300gで1200〜1300円くらいの値段だったと思うんですが、よく憶えていない …でも、これが、激ウマ! 詳しくは後ほど)。その他、いろいろ食べ物を買い、とにかく一旦、ホテルへ。もう、チェックアウトしなきゃなんない。

荷物を整理し(これでやっと、キャリーバッグは本来の役目を果たす!)
フライトの時間は夕方。まだ時間に余裕がある。
近くのバルで、昼食。
バルは、いい。日本で言う「大皿に盛ったお惣菜」が、カウンターにずらずらっと並んでいる。
指差ししたら、店員さんが皿に取り分けてくれる。衣のついているものは油で揚げてくれる。暖かい方がいいものには、レンジで「チン!」してくれる。

で、うまい。ほんとに、おいしい。
見た目、素材そのままの素朴な感じなのが、とてもおいしい。
で、注文しすぎて、こそこそとお持ち帰り。

どしゃ降りだった雨も止んだ。
時間は、まだある。タクシーに乗って、グエル公園へ。ここもぜひ行きたかったのだ。が、さっきまでの雨で、もう諦めていたのだ。

本来なら、何十棟もの住宅が立ち並んだだろう、都市計画跡。もしプロジェクトが最後まで完了していたら、どんなになってたんだろう。
でも今では、お茶目なモザイク柄のトカゲが口から噴水している、憩いの公園になっている。高台にある、いかにもガウディらしい、モザイクの埋め込まれたベンチに座って、サンドイッチ食べて、ちょっとピクニック気分を味わえたら、気持ちいいだろうなぁ。

しかし、残念なことに、さっきまでの雨のせいで、ベンチに水が溜まっている。
もっとも、雨のせいで人出が少なかったかもしれない。(後々、テレビで見るグエル公園のベンチには、いつも大勢の人が座っているもんね)

周囲をぐるりと見て回って、そろそろタイムリミット。
ホテルに預けている荷物を持って、グラナダに飛ばなきゃ!
(あー、私達ってば、港町にいながら、全然海見てないじゃん! コロンブスの像って…どこにあるの?)


小さなグラナダの空港から、バスで市内に向かう。グラナダでの宿は、街の中にある。
本当は、アルハンブラ宮殿のそばにあるパラドール、サンフランシスコに泊まりたかったのだが、満室のため断念。(非常に予約の取りにくいホテルだ。このロケーションでは当然だが)

この日に、グラナダ着を決めたのには、訳がある。
週2回、アルハンブラ宮殿の外壁を、ライトアップするのだ。(これは、当時の話。今は、冬季は金・土曜日、それ以外の時期は火〜土の間、夜間公開を行っている) これは、行かずにはなるまい。

地図を見ると、街からアルハンブラ宮殿までは、そう大した距離ではない。
それでは歩こうか、と、ホテルを出て歩き出す。
しかし、どうも歩いている方向に、ライトアップされた、それらしき建物は見えない。
方向は合っているはずなんだが…と、通りすがりのスペイン人に聞いてみる。

「アランブラ?」
(「アルハンブラ」は、現地では通じません。「アランブラ」と言いましょう)
彼女達は、何で行くつもりかと尋ねる。「ウォーキング」と、身振りで答えると(あ、英語はこれっぽっちも通じませんでした)、大げさな身振りで「ひゅ〜うっ!」と驚いて見せる。
あ、現地の人では考えられない距離なんだ。(でも、…なら、この地図の距離は?)

歩いている道は合っていたようだが、私達は彼女達の忠告に従い、タクシーを拾った。
タクシーの運転手は、夜にアルハンブラ宮殿まで行こうとする東洋人に、不思議そうに「もう閉まっているけど」と(いうようなこと)を言う。
「ライトアップを見に行くんだ」と言うと、それでも了解した、という顔つきにはならなかった。
…地元民が、知らないのか?
(ま、8年前の話なので、今は有名かもしれませんが)

地元の人が「え、歩いて行く気なの?! ひゅ〜うっ!」と言ったわけが、わかった。
タクシーは、どんどん山を登っていくのだ。
昼間なら、散歩コースでも行けるだろうが(途中、お店が並んでいた)、夜は当然閉まっているし、街灯もないし、ずずーっと上り坂だし、これは大変だ! 地元の人の忠告は、聞くべきだね。

タクシーは、「グラダナスの門」まで乗りつけてくれる。まだ、ライトアップは見えない。
とにかく、門の中の坂を登っていくと…おおっ!

なんとも幻想的に、ライトアップされた、アルハンブラ宮殿か、暗闇に浮かび上がってくる…

「…きれー…」
「うわー、来て、よかったぁ」

あまり知られてないのか(ま、地元の人が知らなかったくらいだから)、観光客は数えるくらい。しかし、その中に、日本人のカップルがいた。
さすが日本人。きっと同じガイドブックで、ライトアップを知ったのだろう。

「中も、ライトアップされているって、ガイドブックにかいてあったと思うんだけど…」とめりは言うが、入場口らしきものがなく、断念。(今のガイドブックに書いてある「夜間公開」(2001年度版の、るるぶ)は、実際どうなのかはわかりません。)
もと来た道を戻り、たまたま別の客を送ってきたタクシーに乗って、ホテルへ戻る。

その頃、疲れが溜まってきたせいか、ゆみの調子がちょっと悪い。
周辺のレストランもよくわからないし、で、ホテルの部屋の中で食事を済ます。
買ってきたパン。勝手にテイクアウトした昼ご飯の残り。そして、バルセロナで飛び込み購入の、生ハムと魚介のパテ。

「…おいしいっ!」
「なにこれ、食べたことない!」
…ハモン・セラーノに、感激!!

日本でもおなじみの生ハム。1996年当時は、スペインの生ハムは輸入されていなかった。パックの生ハムは、うすくて塩辛くて、肉の味あまりしない。
でも、この、スペインの生ハム!
スライスされて食べるイタリアの生ハムより、包丁で削がれてるため、厚みが不均等で厚め。そして、イタリアのものより乾燥の度合いが高いのか、もう少し生っぽくない。
肉の味が濃い。熟成の度合いが強い。そして何より。

「チーズ食べてるみたい!」
「なんで、肉がチーズの味になるのぉ!」

感激! 超、感激!

少し、塩味が強いこの生ハムを、フランスパンに挟んだのを、お日様降り注ぐグエル公園で食べたかったぁぁぁ。

その後、レストランへ行くたび、口を開けば「ハモンセラーノ!」。しかし、この、バルセロナで買った生ハム程のものはなかった。
「生ハムを食べに、スペインに行く」というセリフを吐きたいほど、おいしかったぁ…。



−5日目へ続く−