シンドバードにみる千夜一夜に登場する国々
 千夜一夜物語に登場するのはどんな国でしょう。
 アラブ、ペルシアは当然として、多くの物語に登場するのはアフガニスタン、中央アジア全域です。
中央アジアには特に詳しくてメルヴ、サマルカンド、ヘラート等現在まで残っている都市名が登場して 楽しいです。

他にアラブでない地域で登場するのはビザンチン、スペイン、アゼルバイジャン、アルメニア。
 インドや中国は割と出てきますが、もはやお伽の国です。
アラブ、ペルシアの商人は、8,9世紀頃既に中国の港に出入りしていたそ うですが、一般のレベルではまだ未知の国だったのかもしれません。当時は中継貿易でしたから。

 ただし、『海のシンドバードと陸のシンドバードとの物語』では現パキスタン付近をあらわす言葉が出てきます。
シンドバードの物語には幾通りかの種類がありまして、版によっては"陸のシンドバード" が "陸のヒンドバード" になっているそうです。

・シンド(身毒)=インド
・ヒンド=インダス河やモヘンジョダロ、パラッパーの地域を指す

そうです。

 さらにシンドバードが巡った島々がどこなのか検証している研究者も いるようで、スリランカやマダガスカル等はその中に入っていた気がします。 東南アジアはマレーシア、インドネシア。シンガポールはあったようななかったような・・・
架空の島々も含まれていると思うのですが、全てが根拠のないものではないようです。
 そもそもシンドバードとは「インドの風」という意味だそうで、インド洋に吹く風を利用 してインドとの交易が盛んだった頃のムスリム(イスラム教徒)商人の総称だそうです。
バグダードに集まる商人達の様々な話を集めて作られたのがシンドバードの冒険です。
そういえば、モンスーンはアラビア語が起源です。


-*おまけ 中央アジア*-

 中央アジアを指す名称は幾つもあります。

1.トゥーラン:
 ペルシア文明の及ばない"アム=ダリア川の向こう地"を指す。ペルシア語。
 具体的にはアム=ダリアとシル=ダリア両川の間の地方を指す。

2.トランスオキシアナ
 オクサス川(アム=ダリア)。"トゥーラン"と同じ意味のギリシア語。

3.マーワラー・アンナフル
 アンナフル(アム=ダリア)を"トゥーラン"と同じ意味のアラビア語。

4.ホラーサーン
  ホールは太陽、アーサーンは上昇の義で"日の昇る国"を意味。  イラン東部の地域を広く指す。北東部をアムダリア、南部をヒンドゥークシ山脈、西部をファーリス地方に囲まれた地域が本来のホラーサーンだが、トランスオクシアナやジンスターンをも含めていう場合もあった。主要都市はニーシャープール、マルウ、ヘラート、バルフ、バーミヤーンなど。現在はアフガニスタンやトルクメン共和国のうちに入った部分も多い。 *1

5.フワーリズムKhwarizum
 ホレズムなどとも発音する。モンゴル時代以降はヒヴァとも呼ばれて来た。
 アム・ダリア下流域の極めて古代から高い文化が発達したデルタ地帯で Chorasmiaという古名を持っている。
 新石器時代は西紀前4千年代に、青銅器時代は前2千年代にさかのぼるという。
 フワーリズム(フワーラズム)とは低地を意味する説が有力だが、 "日の出る処"の意味を持つという主張や、フルリ人の国という意味であるという説もある。
 現ウズベクとトルクメンに跨っている。*2

*1,*2 東洋文庫「アラビアン・ナイト」巻末の索引から抜粋

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