詩と諺

君を愛する者は君を泣かせ、君を憎む者は君を笑わせる
-アラブの諺-

何処へ?

おお素晴らしき船

真白き帆をこぞりてかかげ

西風に胸もたれつつ

-ロバート・ブリッジス「通り過ぎ行くもの」-

暗闇で3本のマッチをする

1本目はあなたをみるために

2本目はあなたの目をみるために

3本目はあなたの唇をみるために

残る暗闇はあなたを思い浮かべるために

-プレヴェール「パリの夜」-

天にまします我等が父よ

どうかそこに留まりたまへ

だが我等は地上に留まろう

時にはかくも美しきこの地上に

-プレヴェール「天にまします」一部抜粋-

時は春、

日は朝(あした)、

朝は七時、

片岡に露みちて、

揚雲雀(あげひばり)なのりいで、

蝸牛(かたつむり)枝に這ひ、

神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。

-ロバート・ブラウニング「春の朝(あした)」-

ランプは違えど光は同じ
-ジャラール・ッ・ディーン・ムハンマド・ルーミー-
「ランプ」とは宗教を指しています。「宗教は違っても導きは同じ」という意味です。

 眠るな 稀人 わたしの思想よ 今宵は
そのやさしい励ましの言葉に感謝しよう 今宵は

 汝 天使の息吹 天から降り落ちるようにわたしに立ち昇る
汝は医者 わたしは病夫 今宵は

 まどろみを追い払え 秘密が聖域をいで
われらが血に立ち入らんがために 今宵は

 明るく旋回せよ 天体の星たちよ 光へと
渦巻きながら魂が昇らんがために 今宵は

 宝石よ お前たちの墓所から輝き出て
甘美ないさかいとなって星に向かえ 今宵は

 羽ばたき上がれ 我が鷹 太陽へと向かえ
闇のなかでためらうことはない 今宵は

 ありがたい みなは眠っている 神とわたしだけが
この仕切られた場所に立っている 今宵は

 夜が 太陽のように明るくやさしく輝く
わたしが目をそらさぬようにと 今宵は

 なんという賑わいが明るい星の広場に目覚めていることか
すらりとした黄金の琴が鳴る 今宵は

 獅子と雄牛と山羊 それにきらきら光る
オリオンの刃が光を競って輝く 今宵は

 さそりと蛇は逃げ 冠が合図を送り
乙女は美酒で爽やかに元気づける 今宵は

 黙して舌を縛ろう 喜びに酔い
舌を動かさず 語れ 思想 今宵は

‐ジャラール・ッ・ディーン・ムハンマド・ルーミー−『コーヒーが廻り世界史は廻る』臼井隆一郎著より抜粋

恋する男は恋を知らざる者の言葉を聞かず
‐千夜一夜物語から−

ないものを無理に願うより、そばにあるもので満足しておけ。
‐千夜一夜物語から−

おお妙なる鼓持ちし乙女よ

君に憧れ、わが心乱れ飛び

君が鼓を打てば、胸底より叫ぶ

君は傷つきし心をば惑わせど

人びと、君の調べを希求すれば

憂いの言葉も明るき歌詞も

思いのままに歌い、奏でよ

恋人よ、快く面紗(ヴェール)をはずし

立ちて、肢体傾け、舞い給え

されば人皆君の技に酔いしれん

‐千夜一夜物語「バグダードの漁師ハリーファ(カリフ)の物語」より−

みずみずしき小枝、歌姫に

抱かれて幾多のウードとなり

貴顕の士ことごとく魅了せしか

歌姫巧みに指先操りて

ウード責め、妙なる調べかき鳴らす

そのさま金の鎖とて耐えがたし

※ウード:琵琶のような楽器のこと

‐千夜一夜物語「バグダードの漁師ハリーファ(カリフ)の物語」より−

他人があなたに対して持っている権利、これを忘れてはならない。
あなたが他人に対して持っている権利、これは忘れなさい
-イスラム法学者-

ボヘミアの民謡は
僕をひどく感動させ
心の中へ忍び込んで
心を重く悲しくする。

一人の子供が、馬鈴薯畠の雑草を抜きながら
おだやかに歌っているのを聴くと
その歌が 後で
夜の夢の中でも聞こえるのだ。

国を出て
遠いところで旅していても
永いとしつきが過ぎた後に
またしてもふと思い出す。

-リルケ「民謡」片山敏彦・訳-

プラーハの都の上に 大きく広く
夜は早や咲出でぬ、花のごとくに。
昼の光は蝶のごとく その輝きを舞い納めて
夜の涼しき花のふところに隠しぬ。

空高き月は 狡き矮人のごとき歪なる笑みを洩らし
銀の金屑の
房のかずかずを
モルダウの流れに撒く。

やがてにわかに腹立ちし身振りして
月は 光の筋を回収す、
そは 己の敵手にきづきしゆえに、
--塔の時計の 明るき円板に気づきしゆえに。

-リルケ「夜となりて」片山敏彦・訳-

世紀が革まるちょうどその所に私は生きている。
大きなページがめくられるために起る風が感じられる。
このページに とが書き記し
それは高いところで 見知らぬ手でめくられる。

早や 新しいページのきらめきを人は感じる。
このページの上でこれから万事が生成し得るのだ。

さまざまな静かな力が それぞれの拡がりを試みている
そしてそれぞれの力が互いに幽暗に顔を見交わしている。

-リルケ「世紀の革まる所に」片山敏彦・訳-

恋のない人生はなんと平安なことか
しかしなんと退屈なことか
‐映画「薔薇の名前」から−

そうして恋はたちまち消えてしまうのだ
音のように儚く
影のように素早く
夢より短く
‐シェークスピア「真夏の夜の夢」から−

愚か者に対して黙っていれば、恐れているんだろうと言われる
‐アラブの諺−

何かをしたいものは手段を見つけ、何もしたくないものは言い訳をみつける
‐アラブの諺−

自分の縫ったシャツは自分で着る
‐アラブの諺−

帝王の我侭なら百年も辛抱しようが、人民の我侭は一年でも辛抱できぬ
‐千夜一夜物語から−

服従されない者には権力なし 
‐アルファフリー−

人はその境遇に応じて物事を理解する (人は自分達の期待したものしか見出せない)
‐ハルカーウィーの訓話から−

わたしの選んだものは ただひとしずく
広大な海は今でも岸辺に打ち寄せている
‐17世紀トルコの詩人 ツィヤ・パシャ−

人は何を守るかでどんな人間か決まる
‐出典不明−

われらが来たり行ったりするこの世の中、
それはおしまいもなし、はじめもなかった。
答えようとて誰にはっきり答えられよう--
 われらはどこから来てどこへ行くやら

-*-
創造主が万物の形をつくり出したそのとき、
なぜとじこめたのであろう、滅亡と不足の中に?
せっかく美しい形をこわすのがわからない、
もしまた美しくなかったらそれは誰の罪?

-*-
来ては行くだけでなんの甲斐があろう?
この玉の緒の切れ目はいったいどこであろう?
罪もなく輪廻の環の中につながれ、
身を燃やして灰となる煙はどこであろう?

-*-
ああ、全く、休み場所でもあったらいいに、
この長旅に終点があったらいいに。
千万年へたときに土の中から
草のように芽をふくのぞみがあったらいいに!

-*-
地を固め天のめぐりをはじめたお前は
なんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか?
紅玉の唇や蘭麝の黒髪をどれだけ
地の底の土の小筥(こばこ)に入れたのか?
-*-
幼い頃には師について学んだもの、
長じては自ら学識を誇ったもの。
だが今にして胸に宿る辞世の言葉は--
 水のごとくも来たり、風のごとくも去る身よ!
-*-
天輪よ、滅亡はお前の憎しみ、
無常はお前の日頃のつとめ。
地軸よ、地軸よ、お前のふところの中にこそは
かぎりなくも秘められている尊い宝!
-*-
一滴の水だったものは海に注ぐ。
一握の塵だったものは土にかえる。
この世に来てまた立ち去るお前の姿は
一匹の蝿 -- 風と共に来て風と共に去る。
-*-
この幻の影が何であるかと言ったっても、
真相をそう簡単にはつくされぬ。
水面に現れた泡沫のような形相は、
やがてまた水底へ行方も知れず没する。
-*-
知は酒盃をほめたたえてやまず、
愛は百度もその額に口づける。
だのに無常の陶器師(すえし)は自らの手で焼いた
妙なる器を再び地上に投げつける。
-*-
天国にはそんなに美しい天女がいるのか?
酒の泉や蜜の池があふれてるというのか?
この世の恋と美酒(うまざけ)を選んだわれらに、
天国もやっぱりそんなものにすぎないのか?
‐オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」小川亮・訳−

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