DIARY

2002/08/16(金) 晴れ時々雨 雲の上の人へ

 密かに朝の1時から登って、頂上から朝日を拝もうという、かなりアホっぽい事を計画していたのだが、夜半過ぎから雨が降ってきてしまい中止に。富士山はかなり厳しい山道だったので、結果的に辞めてよかったのかも。そういうわけで、結局朝4時に起き、雲に隠れ見えなかったまでも五合目から朝日を見て、5時に出発することになった。その頃には雨は止んでいた。
  さて、今日の装備だが、頭:タオル鉢巻、体:ジャージ上下&Tシャツ、右手:軍手&杖、左手:ビニール袋に入った飲食料品、足:スポーツシューズ。腰に巻いたウエストポーチには、カメラ、飴、電池、懐中電灯、ティッシュ、携帯電話、などが入っている。リュックは持っていかない。歩くのに何気に邪魔になるので。こんなとこかな。
 須走口五合目は、海抜2000Mにあるので、1700Mちょい登らなければならない。実際にはジグザグに登るので、距離的には7.7Kmあるらしい。時間は5〜6時間を目安にするといいそうだ。
 おっし行くか、と気合をいれて登って行く。最初は森の中を進んでいく。まだ酸素は十分にあるので、力強く登って行くことが出来る。杖は役立ってるのかどうか、ちょっとわからない。ただ、杖に鈴がついているので、前に人がいるとこっちにすぐ気づき、道を譲ってくれたりすることが多い。そういうときは挨拶をしつつ、先に行かせて貰う。ガンガン先に進み、6時頃六合目に到着した。ここまで来ると、完全に雲の上に出てしまっている。五合目でも雲の上だったが、ここからだと眺めが段違いになる。下界の者たちは何をしてるんだ?と覗いてみるが、何も見えるはずはない。あーそれにしてもいい眺め!飛行機の中から見る景色が、遮るガラス無しで見れるんだもんなぁ。肌で直接空気を感じることも出来るし。ここまでは結構楽勝だった。
 七合目へ向かう道のりが最悪だった。道が最悪というわけではない。確かに砂地が多く、急な斜面もあったが、最悪なのは体調である。別に高山病にかかったわけではない。腹痛だ。高山病なんかより遥かにヘビーだ。素人のやる寸止めのように、いつあたってもおかしくない状況が永遠と続いた。や、やべぇ。ぐっと踏ん張り、ただの休憩を装い立ち止まるが、脂汗だらだらだ。七合目の小屋が見えたときは、神を信じる気になってしまったね。しかしその頃には限界間近。これでトイレが空いてなかったら、人生終わったーと思いながら駆け込むと、空いてたよぉ。トイレ使用量100円払い、完全復活。
 体調は全快になったが、登るスピードは上がらない。七合目からは岩道になり、険しさを増して行く。八合目の小屋は見えているのに全然近づいていかない。休憩の回数も上がっていく。ついでに息も上がりやすくなる。さすがに酸素が少ないようだ。高山病にかからないだけましかな。もう急ぐことは止め、ゆっくり確実に行くことにした。いったい、何度曲がり角を折り返したことだろう。 7:45分にようやく八合目にたどり着いた。ここで持ってきたお茶が底をつきそうだったので、補充することにした。さすがにお高い。500mlのペットボトルが、450円。出し惜しみをしてもしょうがないので購入。ところで、誰が運んできてるうだろう。
 八合目のすぐ上には新たな小屋が見えている。あれが九合目か?と思いつつ、登っていく。崩れやすい斜面を、亀のごときスピードでいく。この頃になると、曲がり角ごとに休憩を挟むようになっていた。自分と同じように休んでる人も多い。休んでる人を追い抜き、自分が休んでるときにその人に追い抜かれる。そんな繰り返しをしつつ8:15分、小屋に到着。本八合目だってさ。なんだいそりゃ。でも標高は3400M。頂上が目と鼻の先・・・には遠いかな。この時期に富士山登頂を目指す人は多いようで、上&下を見れば登山者が列を作っている。以外に子供や女性が多かった。しかも頂上からすでに下山してる人もいたし。負けてらんねぇ、と気合を入れ登り始める。
 気合とは裏腹に、体はそんな気合を無視してくれちゃってる。10メートル歩けば意気があがり休憩。ちょっとした岩を登って休憩。そんな繰り返しだ。景色を見ると、辺りは雲で覆われていて、下界を見ることはできなかった。雲はこちらをあざ笑うかのように斜面を駆け上り、上空で一つになって光を遮る。見ることが出来るのは高山植物ぐらいか。名前は知らないが、黄色の花を咲かせていた。光が遮られているので、すこし肌寒い。気温がかなり低くなっているようだ。そういえば七合目を過ぎた辺りから、汗がぴたりと止まってしまっている。よくよく考えれば凄いところにきてしまってるんだなぁ。
 そうそう、この登山道には九合目はないんだってさ。正確には山小屋が無い、かな。鳥居があるだけだった。
  始めの勢いはどこへやら。九合目の前辺りから休憩の回数は飛躍して増大する。3メートル歩いて休憩。三歩歩いて休憩、などという休憩時間のほうが長いんじゃないかと思えるくらい、休憩回数が多くなる。どんどん追い抜かれるが、こっちはそれどころじゃない。すぐに息があがってしまうのだ。心臓がばっくんばっくんいってる。休憩して収まっても、たった三歩で息切れ。これは自分が軟弱なだけだろうか。うーむ。しかし、そんな蟻のようなスピードで登っていたとしても、歩いているのだから、いつかは頂上へたどり着くはずだ。そう、そしてその時が来た。こんなところにどうやっ持ってきた、と問いたくなるような狛犬が鳥居の両側に鎮座している。その前で写真を撮る人々。あぁもしかしてここが頂上か。
 鳥居を抜けるとそこには、山小屋数件と、”富士山頂上浅間大社奥宮”とかかれた石柱がそびえ立っていた。やっとこさついたー。万感の思いだ。時間は、10時ジャスト!5時間で登頂に成功!登山素人にしちゃ、いいタイムではなかろうか。登頂記念に杖に焼印をしてもらう(焼きじゃなかったかな)。火口周辺も歩き回る。うー凄い景色だ。おにぎりでも食べようかと思ったが、さすがにその気力は無かった。時間をおけばなんとかなりそうだったので、ベンチで休憩させてもらった。1時間くらい散歩&休憩をして、食事を出来そうになってきたので、買ってきたおにぎりを食べることにした。苦労して持ってきた会あって美味かった。八合目で買ったお茶は尽きていたので、ここで水を購入。400円だった。ついでに登頂記念のお土産も買った。
 はぁ、なんか降りるのがもったいない。いつかは下りなければならないのは解ってるんだが、名残惜しい。もう二度と登ることは無いだろうから。こんな疲れるのは一回でいいです。さすがにいつまでいるわけにも行かないし、すでに二時間も休憩しているので、さすがに下りることにした。寒いし。震えるくらい寒いよ。
 須走口を選んだのには、マイカーOKの他にもう一つ理由がある。下りでは砂走りが出来ると聞いていたからだ。砂走りとは、自分が鳥取砂丘でやったような、砂の上をスケートのように滑ることができることである。これによって、須走口の下山時間は、他のところに比べ大幅に短縮できる。
 少し天気が悪く、雨が降ったりしてきたが、下山を開始した。しょっぱなから滑りまくる。ザー、ザー。いったい登りであれだけ苦労したのはなんだったんだろう、と思ってしまうくらい景気良く滑っていく。あっという間に八合目まで下りてきてしまった。全然疲れた無いので、下山を続ける。ザー、ザー。いったい何人の人を抜かしたことだろう。みんな慎重に下りていて、滑っている自分が馬鹿みたいだ。それでもこの下り方は辞められない。10人、20人、いやもっと多くの人を抜かし、快調に滑り降りる。雨が強く降ってきたが気にしない。靴の中に砂が入りまくるが気にしない。ただ、この下り方にも欠点はある。滑ってる最中平らな石があると、その上を滑り、吹っ飛びそうになる。時折硬い砂地があって、そこを踏んでしまうと腹に衝撃が思いっきり来るとか。あとは、靴&靴下は廃棄処分逝きになるかも。そんぐらいかな。
 おかげで六合目まで、あっという間にこれた。1時間でこれたかな。六合目から五合目は森の中を行くので、砂走りはもうできない。結構地獄の時間帯だ。踏ん張らないといけないから、疲れるし、足が痛くなる。それでも他のルートよりは、楽なんだからと言い聞かせ30分間森を歩いた。
 そして懐かしの小屋が見えてきた。終わったーと思うと、疲れを一気に感じてしまう。小屋の前の休憩所でアイスを食べつつボーとする。そうか、帰りは1時間半で下りてきたのか。凄い早かったな。それにしても、ほんと疲れた。今日は良く眠れそうだ。
 体も汚くなったことだし、まずは温泉、ということで、”天恵温泉”で疲れを癒す。その後夕食を取り、車のメンテをする。イエローハットで冷却液を買い、補充する。ようやく機嫌が直ったようだ。3Lくらい減ってたかな。やば過ぎだった。機嫌のいい車で渋滞に巻き込まれつつ、道の駅”山北”で今日は寝ます。
明日はいよいよ最後の県、神奈川県です。旅ももう終わり・・・。

走行距離 39.1Km (総計 11470.8Km)
出費
飲食代 2248円
温泉代 700円
お土産代 900円
雑費 500円
合計 4348円

山頂にはブルドーザーがあった。すげぇ。ここまでこれるのか。
物資もまさかこれで?


BACK NEXT