翌日、夏休みの校庭で「乗ってみい。ギアを入れるのは無理やけど、走って止まるだけやったら、自転車と一緒じゃ」といわれ、スロットルを回しました。

 「おぉ、漕がないのに走るっ」

と喜んだのも束の間、校庭の端が近づく!

 カブとはいえ、自転車よりもはるかに重いバイクを砂地でバンクさせられるはずもなく、祈るような気持ちでハンドブレーキをかけてどうにか止まれました。おばちゃんスクーターみたいに、両足で制動もかけてね。

アブラゼミの声、一陣の砂埃。
遠くでニヤニヤ笑いのいとこ・・・

 決定的な出会いは高2の夏、山の上の観光地で旅館をしている2つ年上のいとこの家へ遊びに行ったとき訪れました。

蝉時雨にすっぽり包まれるような麓の駅に降りたち待つことしばし、「ルルル」と音をさせてカブが迎えに来ました。

  「二人乗りで上まで行くから」。

 バイクに乗せてもらうのは初めての事で、緊張してしがみつきました。今までに感じたことのない風を顔に受けながら、青葉の滴る木々のトンネルの中、つづら折れの急な坂道をどんどん上がっていきます。駅は遥か眼下に小さくなり、カブは「ガルル」と一生懸命僕たちを上へと運んでくれます。

そんな初めての感覚に嬉しくなって、以前見た映画の記憶だかなんだか [ 後ろ座席に横座りした女性が、運転する彼氏にスカートをなびかせながら話しかける ] そんな絵が想いだされ、風に負けないよう話しかけていたら「そんな大声出さんでも聞こえるぞ」と言われ、赤面。

バイク乗りへの道
K's Pathos