ハリーポッター
その日、昼食前の最後の授業―魔法薬学のそれを終えて、ハリーが、(常から如くと)スネイプ先生に、命じられた、面倒で危険で詰まらない、片付けを、手伝いながら、ハーマイオニーが、
「東洋にはね、牛鬼と言う、妖怪がいるのですって、姿形は、ある種、有蹄類のよう、山の中にと現れて、偶然、通り掛かった人間を、ジィッ、と見詰めて、目を逸らさない、」
 こんな風、と、同じく、ハリーを手伝っている、ロンの顔を覗き込み、
その視線、湿濃く、掴んで、追い回す。
「やめてよ、」
 ロンが呻くのに、
「それで、ハーマイオニー、どうなるの、」
 漸くにして、助け舟、ハリーが訊くと、
「牛鬼は、決して、目を逸らさないから、見詰められた人間は、すっかり、疲れ切ったら、死んじゃうわ」
「えぇ、そんな、逃げられないの、どうしても、」
 ロンの(心底)問い掛けに、
「逆さ事を、唱えれば良い」
 答えたのは、何時の間にやら三人の、背後に立った、ドラコ・マルフォイ、
「即ち、石は流れる、木の葉は沈む、牛は嘶き、馬吼ゆる」
 簡単な話だろう、と
(常から如くに)高慢ちきな、態度―、
「それって君の、得意だね」
 ハリーが言うと、マルフォイは、(常から如く)足音立てずに、姿を消した。


 
牛鬼に、見詰められ、やがて疲弊し、死ぬことを『影を飲まれる』と言う話。

ヴァキンガム宮殿
セントポール寺院
高さ53mのドームがあるローマ・カトリック教会です。