Detour 04-3 in Vietnam
Ho Chi Minh City〜Da Lat(21th)

 まだ暗いうちから、ベトナムの街は活気付いてきます。ベトナム人の朝はとても早いといえるでしょう。我々の感覚では、まだ夜が明けきらないうちに人々は動き始めます。
したがって、彼らが動き始めるとなると、バイクでということになりますから、一日中バイクの音だけは止むことがありません。これに慣れないうちは、はっきり言ってチョット苦痛です・・・。
表通りに面したホテルなら、こんな程度ではすまないんじゃないかと思うと、自分の選択のすばらしさに自画自賛といったところでしょうか。

『さあ、でも今日はどうしよう。』
朝起きたのはいいとしても、どこに行くのかまだ決まっていません。
とりあえず、どこへでも動けるように荷物をまとめて、そしてブンタオ行きのバスの出ているサイゴンホテルの位置を頭に入れて、ホテルをチェックアウトすることにしました。そうして、やって来たのがシンカフェの前なのです。





 シンカフェ



シンカフェの前には数台のバスが並んでおり、『一体何事?』と興味を持った私は、シンカフェの店の中につられるように入っていったのです。
店に入ると、
「何かお探しで?」ときたんで、
「ブンタオと、ダラット行きのバスを見に・・・。」と私。
「ダラット行きのバスなら表のそれ、もうすぐ出発しますよ!」
「ハァ、席は・・・ありますかか?」
「さあ急いで、」
ものの弾みか、気まぐれか、運命のいたずらか・・・。
こうして私は、7ドルでダラット行きのチケットを買わされ、そのバスに乗ることになりました。
実は、初めからこの選択肢(ダラットに行く選択肢)も心の中では、あったのです。でも、今回は海に行こうと思っていたのに。

 バスは私を乗せるとすぐ走り始めました。さて、そのバスなのですが、今までにベトナムでは乗ったことのない大型バス(50シートの大型バス)。ダラットは私の予想以上に人気がある場所なのですね。特に西洋人にとっては・・・。たぶん、この暑さで彼らは、少々ばて気味になり、避暑地を求めてダラットに行くのでしょうか。

もともとダラットの発展は、そういう考えのもとフランス統治時代に、フランス人が夏場の間だけ政府機能をダラットに移したことに端を発します。でうから、ある意味“ベトナムでフランスらしいところ”、ということになるでしょう。

そうそう、後でダラットに付いた時に紹介しますがエッフェル塔なんてものもありますよ。
『さて、いざバスに乗ってはみたものの、果してこれでよかったんでしょうか?』
もう少しは早いと思っていた到着時間も、夕方4時過ぎなるそうです。
・・・ということは、今から7〜8時間もかかるということになります。当然ですが、同時に帰りの時間も同じだけかかるということです。

『ハ〜ァ。』
バスに乗ってしまったものは、いまさら考えても仕方ない。気を取り直して、外の景色を楽しむことにしましょう。
『あっ!』

バスの窓から見える景色は、当然ベトナムそのものです。全く3年前とおんなじ光景がそこにはあります。
この時、私はずっと何かの勘違いをしていたような気がしていたのに気が付きました。
ホーチミンがベトナムを代表する町ということは間違いありませんが、そこはもうベトナムではなく、単なるどこにでもある近代化した都市に過ぎないのです。ですから、逆にベトナムとしての味わいはだんだん減少していると言っても過言ではないと思います。現在の東京のの日本橋に江戸の古き良きものが感じられないのとおんなじだと思います。

外の景色を見れば見るほど、なんだか嬉しくなってきました。同時に、『ダラットに向かってよかったのかもしれない。』という気になってきました。そして、『少なくとも、ホーチミンにはいなくてよかった。』という、気持にだけは変ってきました。
バスは、1度の昼食休憩と2度の停車をはさんで走りつづけました。

一度目の停車は、水上生活者(いかだの上に家を建てたような住宅に住む人々)の村。もちろん、近くまで見に行くことは出来ませんので、詳しくその様子はわかりませんでしたが、村の規模的にはたいしたことないかな?
『昔カンボジアのトンサップ湖で見た住宅のほうが、はるかに規模は大きかった。なんせ、大きないかだの上に建てた家のその場所で豚やニワトリといった家畜まで飼っていたぐらいなんですから。』

 

そして、バスが山に登り始め、しばらくして、今度は高原にさしかかったぐらいの時に次の停車がありました。辺りには何にもありません。畑を除いては・・・。
2度目の停車はプランテーション。いわゆる、大規模農園というやつです。右手には、お茶畑。左手にはコーヒー畑が一面に広がっています。そして、このダラット近郊のお茶やコーヒーは量や質においても、ベトナムでは有数だそうです。
ということは、ダラットも近いということなのでしょう。
 
   コーヒー園       お茶園



 更にバスは走りつづけます。そして、山の頂上に差し掛かった時、急に目の前の視界が開けたのです。それまでの、木々だけの景色から、その木々に混じってオレンジ色の屋根と薄い黄色の壁を持つ家が目の前に現れてきたのでした。東南アジアではよくある、コロニアルスタイルの家です。ここまで来れば、私の知識の範囲に入ってきたと言ってもいいでしょう。


 コロニアル風な家々

そしてその光景を見ると、これまた3年前に初めてここに来た日のことが思い出されます。
『初日は、あそこに行ってから・・・。』
バスは、街の中心部をゆっくりと一周してから、きっとシンカフェと提携しているのでしょう、ダラットのブッキングセンター(予約事務所)を兼ねたホテルへと入っていきました。

私としては、そんなところには縁がありません。昔行ったホテルを探すことにしましょう。
決して大きなホテルではありませんが、私を駆り立てたのは、とにかく『現在はどうなっているのか?』という好奇心でしょう。
さて、ホーチンの変わりようと比べると、このダラットの変わりようは隔世の感がありま。それほどと言ってもいいほど、何もかもが変わっておらず、不思議にうれしくなります。
探していたホテルもそのままの場所にありました。しかし、外見だけはリーフォームしたのでしょうか、若干のきれいになっていました。
さらに、嬉しいことには玄関を入っていくと、昔見たような顔がそこに揃っているではありませんか。受付の、アオザイを着ているお姉さんも、きっと昔見た人と同じ人でしょう。
さすがに私の通された部屋までが、当時と同じままとはいきませんでしたが、これでも十分満足です。
昔は、窓もないような隅部屋で宿泊したのですが、気温が低かったせいか、なんともその狭さが妙に心地よく感じたものでした。
夜は、湯たんぽなるものまで用意してくれてたほどなのですから。 


『さあ、行こう。』とばかりに、いらない荷物だけをリュックから取り出して、さっき通った道を戻っていきました。
まだ日が沈むまでは時間もあり、ちょっと街中をうろついてみたいな、という気持ちがあったからです。
 ダラットの中心街は、昔フランスが造った役所を山の頂点を中心として、それを取り巻くように街が発達しています。



 エッフェル塔(?)




すぐ前には、Cho”(ベトナム語で市場)があり多くの人が行き交っているのが見えます。そして、右手にはワンホアン湖があります。この湖はダラットでも、一位二位を争うぐらいの大きさと、美しさを簡素なえた湖でもあります。ホアンスワン湖というぐらいだから、そこにはスワンボート(白鳥型の足こぎボート)なんかもあったりします。さらに右手には、エッフェル塔を模した鉄塔があり、またそのすぐ右手にはカトリックの教会なんかがあったりします。
そんな空間が私は好きで、前回も一日中その辺でぶらぶらしていたものでした。
 ダラットにいざ来てみたものの、今回もやはり特別な予定というのはありません。そこで、充分に普段着のダラットを満喫すべくカフェにはいりまいた。
『やっぱり、ダラットのコーヒーはうまい?』
たぶんは気分的なものだけなのでしょうが、コーヒーの産地が近いことだけは間違いありません。だってさっき、見てきたんですから・・・。
 ベトナムでコーヒーを注文すると、アルミ製のフィルターにコーヒーとお湯が入った状態ででてきます。そして、コーヒーがカップに落ちてくるのをまってそれを飲むことになります。そして、それを飲み終えると、急須に入ったジャスミンティーがでてくるのが普通です。これで、ちゃんとした店でも40円程度ですし、屋台の店や小さな店ならば20円程度で充分です。しかも、何時間でいてもOK!
ただ多くのカフェでは、これもサービスなんでしょうが、音楽がガンガンにかかっており、ものすごくうるさい。(というよりも、やかましい!)
 
 このパソコンで原稿を仕上げながら、日が暮れるのをカフェで迎えることにしました。
日が沈みかけ、しだいに日が落ちると、急に暗くなります。山の上だけあって、夕焼けという光景は見られないのかな?

さて、ここからがダラットの第2幕。もっとも面白いところです。
夕方までは花屋だったり八百屋だったりした店舗が、夕方になると店じまいを始めます。これはごく当然のことですよね。
そして、それに代わるように屋台が次々と出始めまるのです。規模は大小さまざま、でもほとんどが小さな屋台ばかりです。
ほんの買い物カゴ一つ分の荷物だけで、お店を開く人さえいます。
(昼間は警察の取り締まりが厳しいそうなのですが、申し合わせたように夜になると何故だか警察の取り締まりはなくなるそうです。)
そうして、日が暮れるのにしたがって、その屋台の数はどんどん増えていくのです。
私は、次々と目移りしそうな食べ物を目の前にして、慎重に今日のメニューを考えます。最初は、するめから・・・。ベトナムとするめ。なんだか妙なこの組み合わせがとても好きなんです。どこ行っても、するめとビールがあれば・・・満足。
地べたに座って、見上げる街、行き交う人々、遠くでライトアップされているエッフェル塔。

  

ボーッとしているのには、この上ない場所です。


それから、春巻き食べて、ゆで卵食べて・・・。広くアジアで食べられるゆで卵。実はアヒルの卵が多いのです、そして孵化しかけの卵をゆでて食べるのです。卵をチョコのような器に立て、コンコンコンとスプーンで卵の端を割り、スプーンで中身をすくって食べるのです。ヒナになりかけの卵ですから当然、ヒナはヒナの体をしています。ちゃんと頭と胴の区別もできれば、骨をあるし体には毛も生えている、そんなゆで卵なのです。それを食べて、よく観察していると、今どこを食べているか分かるほどです。
最初食べるのは度胸がいりますが、慣れるとけっこういけますよ。
今回は、地元の人と楽しい酒盛りというのはありませんでしたが、十分食事を楽しめるところです。
その後も、食っては歩き、食っては歩き、食いつかれてホテルに戻りました。
『だって、もうこれ以上食べれないもの!』