Detour 06-5 in Egypt
Aswan〜Luxor(11st)

 朝6時に電話がなりました。
“Good morning!

『約束の時間は6時半なのに・・・。』
『まっいいか。昨日はシャワーも浴びずに寝てしまったから、シャワーを浴びるにはちょうどいいだろう。』
身仕度を整えてから、2階のレストランに朝食をとるために行ってみました。すると、お見事。
そこには誰も、しかも人の気配さえありません。それじゃと、1階のフロントに行くと、さっきのウェイクアップコールの電話の主がいました。
“Good morning, sir!”

 仕方なく、彼にレストランを開いてもらうように頼み、パンとジャムとコーヒーだけの質素な食事をすませました。あとは、言われるがまま車に乗っていれば、アスワン空港に着きますし、飛行機に乗れますし、飛行機から先のバスは飛行機の代金に含まれていて、バスの時間と飛行機の時間は連結しているということなので、どうやら乗り遅れたりする心配もなさそうです。ただ、見学の時間は1時間30分という制限が付きます。当然これはみんな同じことでどうしようのないことです。現在のようにアブ・シンベル神殿に行く方法が飛行機しかないような状況ではいたしかたないことなのでしょうか。たとえ、危険があるとはいえ、何だかもの寂しい感じがします。
アスワン空港は、予想よりもかなり立派な建物を持つ空港です。この空港が、ドメスティック(国内線)だけでなくインターナショナル(国際線)を扱っているからでしょう。どっちにしても、観光産業の力の凄さをまざまざと見せつけられる気がします。もちろん建物の中も立派です。よっぽどカイロ国際空港よりも、きれいですよね。
私が乗ったのは、ヘリオポリス空港という聞いたことも無い会社でした。多分路線はここだけなのでしょう。飛行機の機体にはロゴの一つも書かれていません。真っ白な飛行機なんです。珍しいでしょ。
ボーディングパス(搭乗券)には、座席の指定も何にもなし。要するに、早いもの勝ちなのです。
そうするとおもしろいことに、みんな左側の座席に座るんですよね。
なぜなら、ガイドブックに“行きは左側帰りは右側からナセル湖の景色が見えますから、そのように座席をとるべきです。”と書いてあるからです。
ほんとに、みんな左1列、もしくは2列で座っています。
『飛行機のバランス大丈夫かな?』と、心配する乗客もいるぐらいです。
先に乗った我々には幸いなこに、あとから乗ってきた人は右側の座席に座ることを強制されなんとか飛行機のバランスは大丈夫みたいです。
だって、それで飛んだんですから!


 飛行時間は30分ほど、窓から見えるナセル湖は確かにでかい。琵琶湖の7倍半という広さは我々の想像の範囲を越えています。もちろん、人工湖ナンバーワン!
そして何よりも、湖と大地の関係。
『よくもまあ、この天候で水がなくならないもんだなあ?』
『それにしても、どこからこの水が流れてきているんだろう?』
『湖から水がしみでないものかな?』

いくら考えても、はっきりとした答えはでてきません。

飛行機が着陸態勢になり、高度を下げてくると右側にアブ・シンベル神殿が現れてきました。
『えっ?』
それが飛行機から見えるなんて聞いてませんでしたので、思わずびっくり。
もうすぐ到着なのですが、その僅かな時間さえも待ち遠く感じてしまいます。

空港に着くと、お決まりのバスが待ち構えていました。でも、他の団体旅行客に紛れてしまって個人の私は何をどうすればいいのかわかりません。
ぼーっとしていたら、急にフランス語なんかで質問されたりして、また焦る。
でも何とか、バスにも乗れアブ・シンベル神殿入り口までこれました。
『さて、いよいよだぞ!』
このために、飛行機に乗ったんですから!
ということはアブ・シンベル神殿のためだけに12,000円払った勘定になんですから!
先ほども言ったように、ここの滞在時間は1時間半。
ですから、フランス人団体のガイドが『11時集合だ。』と叫んでいたんでしょ。
たしかに、今は9時半ですから。
バスが着いたのは、ちょうどアブ・シンベル神殿のお尻のほうになります。そこに行くためには、・・・。お土産物屋さんが並ぶ参拝道には目もくれず、私はどんどん歩いていきます。

小さな丘を越えると、そこからは下り坂。そして坂を下りていくと・・・。
『あっー』

  アブシンベル大神殿

写真と見たのと同じです。でも、このためだけに、わざわざここまで来たという事実が、私にピラミッドを見たときとは違う感動を与えました。
それにしても“でかい”

  全部ラムセス2世

それにしても、このラムセス2世、どういうやつなんだろう。
もちろん、強力な権力を持った王様には違いないんだろうが、これ全部(4体)ともラムセス2世というじゃないですか!しかも高さが20メートルもある像!
自己顕示欲は自己顕示欲なんでしょうがそれにしてもね。他にもいっぱいあるんですよ。エジプト中、ラムセス2世だらけといったら言い過ぎでしょうか?
そして、昔々これを造るために、ラムセス2世はわざわざここまで来てたといいます。
『でも、どうやってここまできたんだろう?』
『そして、どれぐらい時間をかけて来たんだろう?』疑問は尽きません。
それと、昨日のフィラ島のイシス神殿もそうであったようにこのアブ・シンベル神殿もダム建設でいったん水に浸ったものを、UNESCO(ユネスコ)の資金協力で、この高台に建築し直したといいますから、これも驚きものです。
1036個にも分解して数年がかかったといいますから・・・。
日本とは、神殿にしてもダムにしても、とにかくやることにスケールが違いすぎます。


 なにはともあれまず、神殿の中に入ってみることにしましょう。
神殿の内側の美しさは、外見から想像できる美しさとは全く異なります。繊細なうつくしさとでも言いましょうか。ここが神殿なので、当たり前といえば当たり前なのですがね・・・。
入るとすぐに、またもやラムセス2世の立体が8体(高さ10メートル)左右に並んでおり訪問者を迎えてくれます。そして、左手にはラムセス2世とヒッタイトが戦った様子が描かれていたり・・・。
話せばきりがないんで、もし興味のある人は写真集でご覧ください。なぜなら、エジプト史には、あまりにも多くの話がありすぎて、はっきり言って私は少ししか理解できていないからです。
神殿の中は、フラッシュをたかなければ写真撮影はOKでした。これは、非常に嬉しいことです。『もしかしたら、写真持ち込みのチケットがあるんじゃ?』と思っていたからです。
あまり明るくないので、写真をとっても成果は期待できませんが、とにかく何枚かは写真を撮ってみました。いかがですか?
ここでおもしろかったのは、職員の様子というか態度ですね。
もちろんここには、見張りの職員がいます。何を見張っているかというと、“フラッシュ”
ピカッと光ると一目散にその人のところに行って、写真機を渡せと言い寄ります。ひどいときにはそのまま、フィルムを抜かれます。でも、普段はそんなことをしません。
“バクシーシ”(捨銭)で解決するのです。
エジプトいやイスラム圏内であれば共通する考えなのですが、俗に言う“そでの下”悪く言えば“賄賂”
しぶしぶ、その旅行客はお金を払っていました。
『うーん、笑いたいけど笑えない・・・。』
そしたら、またピカッ!
職員も急がし急がし。気を付けておかないと、最近のカメラはあたりが暗いと自動で光りますからね。

 そこから30メートル離れたところにもう1つ神殿があります。さっきのが大神殿。こっちが小神殿です。見てのとおり、神殿の大きさの違いそして、大神殿はラムセス2世自信のもの、そしてこの小神殿は、奥さんネフェルタリのためのものです。
  アブシンベル小神殿

でもでも、正面見てくださいよ。ネフェルタリは2体で、あとはラムセス2世が4体でしょう!
もう、なんと言えばいいんだか?

私は一通り見回ると、ぼっーと遠くから神殿を眺めていました。それは暑さのためでもありせかせか写真を撮って回る観光客の自分に疲れたからでもあります。
遠くから見ていると、不思議ですよね。
『なんで、こんなところに世界中から人がいっぱい来てるんだろうってね?』
外国なんか知らない、敬虔なイスラム教徒がこの光景を見たら、やっぱり“神を冒涜する行為”として、何とかしないといけないと思うかもしれません。
テロ活動は極端かもしてませんが、何か自分たちの大切なものを土足で踏みにじられているように感じるかもしれません。
どちらにしても、少しだけここに来たことでアブ・シンベル神殿の陰と陽が見られたような気がします。

さあ、少し時間は早いようですがバスに戻りましょう。さっきも言いましたがここは暑いし、日陰になるようなところもないですから!


 帰りのバスはなぜかしら、来た時以上に人でいっぱい。
『ほんとにこれで帰れるの?』と思うぐらいです。
バスは1度ではいかず、ピストン輸送を余儀なくされていたようでしたが、飛行機に乗れないといった心配はないようです。
逆に、あとのバスに乗ったおかげで、空港ターミナルからは先に飛行機に乗船することができ、おかげで帰りも右側の座席という、ベストポジションをゲットすることが出来ました。
飛行機に乗っている時間は30分ほどなので、すぐにアスワン空港に着きました。そして、市内まで15〜20分程度。あっという間のアブ・シンベルでした。
 午後2時前に、いったん私はホテルに戻りました。そして、そこからは自由行動。
夜の8時にルクソール行きの列車がでるので、7時半にはホテルに戻ってくることというタイムリミットがありましたが、それでも十分な時間があります。
『とにかく、お腹がすいた。何か食べ物を探しに行こう!』
シシカバーブ(マトンの焼肉)のサンドウィッチが無性に食べたかったのですが、昼間はあんまりないんですね。
それで、いろんな屋台をのぞきこんでいたら、その一軒のおやっさんに捕まって、一転サンドウィッチ(枝豆をつぶして団子状のものを油で揚げて具にしたサンドウィッチ)が今日もまた昼食となってしまいました。
エジプトって、サンドウィッチは“サンドウィッチ”で通用しますし、しかも何でもはさんだらそれでサンドウィッチだし、値段は2個で1ポンド(約35円)という安さだし、とにかくサンドウィッチは便利な食べ物なのです。おまけに、ほとんどの店でサラダは無料で付きます。
 この店でも、実際おいしかったのですが、「おいしい、おいしい!」と誉めたらもう一皿持ってきて、私はもう満腹です。
腹ごなしにナイル川を見ながら川沿いを歩こうとしたのですが、いかんせん昼間は暑い。
それじゃあと、公園の木陰で昼寝でもしようとしたのですが、くつろげるような公園は見当たらず。これも却下。
それじゃ、それじゃ・・・。
適当な場所があったんで、ナイル川の土手を下りていき、船着場のテントの下でしばらく休憩することにました。
『どうせすることとないんだし、ナイル川を堪能しよう!』ってな気持ちですかね。
やはり水の上を滑るように走るフルーカは見ものです。ここだけ時間の流れが違うように優雅な気持ちになれます。
そういえば、昨日出会ったサミーはこのフルーカで、今頃ルクソールに向かっているはずです。
急行電車なら3時間のところを、2日かけて優雅に運航中のはずです。
船中の食べ物は船長が船の上で調理してくれるそうです。私には想像もできませんが、きっとすばらしい旅なんでしょうね。
気持ちも晴れ晴れ、そして時間もたっぷりあるので、絵葉書でも書くことにしました。頭の中で数人の候補が浮かんだのですが、結局この時は一通だけしか書きませんでした。
“今、ナイルを見ながらアスワンで手紙を書いています・・・。”ってね。
考えてみれば、この3年位絵葉書を書いてなかったんですよ。旅行の期間が短かったのというのも理由ですし、これといって何かを伝えたいという人がいるわけでもありませんでしたから・・・。
今回は、なんとなく“そうしてみたい”気分になったのです。
おまけに、すべて英語で書いてしまいました。これもやはり、“そうしてみたい”気分だったからです。
いろんなことを考えながら、1時間ぐらいそこで絵葉書を書き終えると、郵便局を探しに再び町に戻っていきました。
しかし、何ということかすでにクローズ!GPO(中央郵便局)3時には閉まってしまうような!
そんな所もあるんですよね。
私は、これで急に白けた気分になってしまいました。
『ハア〜!』
それじゃあと、近くにあったインタネットカフェに行ってもみたのですが、ここでも従業員がおらず、何もできない状態・・・。
『ハア〜!』
それじゃと、『シャイ(紅茶)でも飲もう!』とカフェに入っても従業員が出てこず・・・。
一体ここはどうなってるの?

『えーわ、ただで場所を提供してくれるんなら。』と、この原稿を今書いています。
おかげで2時間もナイルが見えるテラスで原稿を書き足せました。さっきも言いましたが、もちろんただです。
原稿を書くのに飽きてくると、私はその店を後にして、みたび夕方になって活気のでてきたスーク(市場)に向かっていきました。
『そろそろ、お土産になりそうな小物を調達しなければいけませんしね。』
私のお目当ては、小さなピラミッドの置物、そしてパピルスのしおりぐらいでしょうか。
次々と声をかけてくる店主の店を覗いて、気に入ったものがあれば値段を聞いてみたり、ブラブラ歩いていました。それにしても、なんて多い数のお店があるんでしょう。こんなんで、本当に商売になっているのか、逆にこちらが不安になるほどです。
『その分、利幅が大きいのかな・・・?』
 何か物を買うときの値段交渉って、私にとっては旅の面白さの一つです。
でも、普通の観光客はとても嫌うんでしょうね、定価がない物を買うことを!
私は、気に入ったものがあれば2日でも、3日でもそこに行って値段交渉をする用意があります。
しかし、それでも何も買わないってこともありましたがね。
しかし、時間のない今回ばかりはそんなことできやしません。
ですから、適当な店で値切って、値切って、それでもまからないかと、最後にはおまけをつけてもらって、ピラミッド5個とパピルスのしおり30枚とおまけのピンバッジ1個をつけてもらって***ドルでまず第1段のお土産を仕入れました。
それでわかったことは、エジプト人の交渉はなかなか巧みだということです。
あなたが店の主人で、仮にお客さんに値段を聞かれたら、すぐに値段を答えますよね。
そして、お客から多く取ってやろうと考えたならば、値段を高めにふっかけてきますよね。
そして、徐々に下げる。それが普通でしょ。
それが、ここの店主の多くは、最初ふっかけた値段を言ったあと、すぐに値段を下げるというようなことをしないんです。で、どうするかというと、決まって「じゃあ、いくらなら買うんだ?」そして、絶対自分からは値段を言いません。
ここで、お客が値段を言おうものなら、もう“ネギをしょってきたおいしいカモ”
たぶんそれを買わざるを得ない状態にされてしまうでしょうね。
これが、エジプトでの買い物がそれが面白いといえば面白いし、面倒といえば面倒という所以なんでしょうね。

約束の7時半までにはまだ時間があったのですが、ホテルに帰ってもすることがない!
じゃあというとこで、昨日ちょっと話をしていたパソコンショップに立ち寄りました。
目的は、インターネットでメールの送信!
初めて見ました。アラビア語のWindows98!書いてあることはわかりませんが、アイコンのマークはや使い方は全く同じなので、なんとなく使えます。使えるはずでした・・・。
料金は1時間で10ポンド(350円程度)。ということで、PCを借りてネットに接続しました。
『あれっ?』
いつものようにyahooを呼び出し、さあyahooメールを・・・。
『あれ待てよ、表示がおかしいぞ!』
普通なら、“エンコード”で文字のタイプを選べばなんていうことないのですが、文字のタイプがアラビア語でずらずらと並んでいますから、どれを選んだらいいのやら?
『いかん、英語のWindowsにしとけばよかった。』と気付いた時には、まさに“あとの祭り”
これが“新規作成ボタン”、そしてこれが“送信ボタン”と、昔見たときのかすかな記憶をたよりに、メールの送信にこぎつけました。これで、送れているはずです・・・たぶん・・・おそらく・・・?

 さあ、あとは少しばかりの腹ごしらえをして、ルクソール行きに備えなければなりません。
また、サンドウィッチだったんですが、ここで食べた“レバーのサンドウィッチ”かなりの絶品でした。
 
 ホテルに戻ると、約束の時間どおりにガイドが戻ってきました。
実はこれってすごいんですよね。日本にも地方に行けばあるそうですが、ここにも“エジプシャン・タイム”というものがあります。“エジプシャン・タイム”はわかりやすく言えば、時間にルーズ。つまり、時間を全く守らないということなんですね。
そんな中にあって、今回のガイドの人たちは時間をきっちり守ってくれますから、私としても安心感を持てます。

そして約束通り、列車の時間に間に合うように、アスワン駅まで送ってくれました。もちろん、自分の座席までの案内つきで!

  アスワン駅


 ルクソールまでの所要時間はほぼ3時間、8時にアスワンを出発した列車は11時過ぎにはルクソール駅に到着しました。
そして、ここでもガイドは難なく私を見つけることができ、滞りなくホテルまで直行できました。

でも、でも、明日のスケジュールを聞いていると・・・。聞いているだけで、ハア〜疲れました。
朝7時にウエイクアップコール、8時には王家の墓にはに出かけて帰ってくるのは昼2時過ぎ。そして、4時からはルクソール神殿とカルナック神殿のツアーに行くそうです。普通の人の2日分。そして、今日きたのと同じ時間の列車でカイロに向かう。まさに、ハードスケジュール!
果たして、体調は大丈夫なものでしょうか?
『そういえば、少し寒気がします。気のせいでしょうか?』

それだけ聞くと、私は部屋のカギをもらって、ホテルの部屋にいき、そのままシャワーも浴びずに横になってしまいました。