1999年夏、南アルプス北部へ
VIATORはじめてのBIGまうんてん。
子供の頃から両親よりその素晴らしさを語られてきた、憧れの山域であった。
クラブの1年生として参加したので、手元にある記録には当時の感動と興奮が素直に綴られていていた。
- 7月31日
- 高速バスで大阪から伊那市へ PM9時頃、伊那市到着
バスターミナルにシュラフ(寝袋)を敷いて堂々と寝る。これを「ステーション」という。
VIATORはじめてのステーション(普通は駅前に寝る。駅寝という人もいる)であった。
- 8月1日
- 明け方のバスで着いた人たちの、私達を見てびびっている声をなかば夢の中で聞いた。
AM5時頃起床。
駅前の茶房『岳』が気になって覗いていると、「今店開けてあげるからね」とおやじさん。
アルプスの写真がいっぱい飾られたお店でコーヒーをまけてもらったのでした。
9時27分のバスで伊那市駅前を出発。戸台口で乗り換えて北沢峠へ。
戸台口からのバスは運転手さんがガイドをしてくれる。
途中、工事現場があり、バスを降りて現場むこうで待っている別のバスまで徒歩で移動。
11時30分着。この北沢峠は標高2030mである。
戸台口からは、バスか許可車しか入れない。
長衛小屋に移動し、テントを張る。
シーズン真っ只中だけあって色とりどりのテントが無数にある。
PM6時就寝
- 8月2日
- AM3時起床、4時55分出発。
ひんやりとした朝の空気。朝日をうけて金色に光る山がすごくきれいだった。
大平山荘を経て馬の背にAM8時到着、早々とテントを張る。
まわりは高山植物が咲き乱れるお花畑。天気もよくのんびりと過ごした。
PM3時20分就寝
- 8月3日
- AM2時25分起床、4時30分出発。仙丈岳(3032m)5時20分着、55分発
この仙丈岳が、VIATOR初の3000m峰なのだが、このときの感動は今でもはっきりと思い出せる。
天気は快晴、すごい景色。皆本当に良い顔をしていた。
人生観ががらっと変った。最高の眺め、それまでにみたことのない、すごいスケールである。
大仙丈岳、伊那荒倉岳を経て急坂を両俣へ降りる。PM2時30分到着。
- 8月4日
- 停滞日。良い天気に恵まれ、一日中サイト場で遊ぶ。川に入ったり、洗濯したり・・・
わたしは、この両俣小屋が大好きである。周りの高峰からはぐっと落ちたところにあり、展望はなく人も少ないのだがこの川沿いののんびりとした雰囲気が自分にしっくりくるのだ。
- 8月5日
- AM3時起床、5時53分出発。ガスと小雨が続く。野呂川越を経て三峰岳方面へ歩いていく。
2699m地点に9時到着、ちょっとした岩場だが、リーダーはその地点をパーティーの全員が越えるのは不可能と判断。9時40分、両俣に引き返し、12時30分到着。再びテントを張る。
熊の平小屋まで行くはずだった。翌日どうするかはリーダーが決める。
リーダーを120%信頼していたので納得はできたが、1年生の私は、ただ暗い気持ちだった。
その「危険な場所」をちゃんと見ていなかったし、途中で引き返すということは、とても悔しいことに思えた。
天候の不順が不安を引き起こし、今までに遭遇したことのないタイプの岩場が、実際以上に危険に見えたのではないか、と今は思う。
この「問題の場所」仙塩尾根の2699m地点に、私は3年後に再び、一人で訪れることになる。
- 8月6日
- AM3時30分起床、4時50分出発。朝から雨。
野呂川出合バス停まで林道を歩く。5時45分到着、バスを待って広河原へ移動。8時05分着。
一度「下山」してしまっただけにメンバーのモチベーションは低い。天気も悪い。
8時45分広河原出発、二俣を経て白根御池小屋へ。12時15分到着、テントを張る。
隣りのイカれたパーティーがうるさくてイライラ。PM4時就寝
- 8月7日
- AM3時起床、5時43分出発。雨。
二俣を経て北岳肩の小屋へ。AM8時53分到着、早くもテントを張る。
雨と風と霧で、テントを張るのは大変だった。雨なのでテント内でごろごろする。
- 8月8日
- AM3時起床、5時20分出発。ようやく、晴れ。テントを張ったまま、軽装で出かける。
日本第2の高峰、北岳(3192m)にAM6時03分着、7時発。
朝の北岳は最高だった。整った形をした富士山、秀麗な仙丈岳、真っ白い先鋒、甲斐駒ヶ岳。
当時のメモにはそれだけしか書いていないから、それだけしか分からなかったのであろう。
でも、そのとき私の目にはその他の周りの山々が全部見えていた。
皆で興奮して、記録をつける時間ももったいなくて、そこのところは後で編集された報告書の記録に頼るしかない。
ガスが湧き上がる間ノ岳(3189m)にはAM9時42分着、10時15分発。ここから引き返す。
この間ノ岳手前で、ブロッケンと雷鳥を見た。
北岳12時50分着、肩の小屋に戻ったのはPM1時05分だった。
この日の夕景がまたすごかった。そう、1日が終わるというのはただならないことなのです。
はじめてみる、素晴らしい夕焼けだった。その後の星空も、忘れられない。
月がなく空が澄んでいて、流れ星がたくさん、地球のかなたに落ちていった。
- 8月9日
- AM3時30分起床、5時17分出発。快晴。二俣を経て、広河原へ。AM9時36分下山。
登山
Ave Migratoria