*第15章 少年チュンニ *
はっ!そろそろ次の目的地に向かう為の段取りをしなくては!
もっとバラナシの町でのんびりしていたいけど、数日後にはカルカッタからバンコク経由で帰国する事が決まっているのだから。
その翌日からは仕事だ。旅と仕事の両立は私のポリシーだもん、“帰国失敗”は許されない。
早速、何でも屋『ガンガー・カフェ』でカルカッタまでの交通手段を聞き、チケットの予約をお願いする。
このお店には、チュンニという11歳の少年が働いていた。この一家の使用人のおっちゃんの子供で、お店の手伝いなどをして食事の面倒をみてもらっているそうだ。年齢の割りには、小学校低学年くらいにしか見えない小柄な男の子。学校には通っていないとの事。(インドの就学率にはいろんなデータがあるけど、絶対誰もちゃんと数えてないやろ!と思う。人口さえもあやしい。)
このチュンニ、子供ながらとてもしっかり者で、仕草もクールでオトナっぽい。
お客からの注文や、オーナーからの雑用等もテキパキこなす働き者。
たまに小さな失敗をしては叱られたりもしてるけど、全くへこたれない。
お客から受け取ったお釣りの小銭をもらっていいかとオーナーにお願いしたり、チャッカリした一面も。
私がぶらぶらと町の路地を歩いていた時、「Hey、ユミコ!」と突然大声で誰かに呼び掛けられ驚いた。振り向くと、買い物途中のチュンニが遠くから私に手を振っている。
「君のチケットの手配がついたみたいだよ。カフェに戻って早目に確認してきた方がいいよ。」とアドバイス。
「あ、そう?分かった。ナイスアドバイスありがと。」
すると、「いいってことよ!」と言わんばかりに、片手を上げ軽くウインク。
全く、オトナっぽいったらありゃしない。
ある時、カフェのオーナーの腕に彫ってあるデカい刺青を見ながら、その彫り方だの、どのくらい痛かったかだの武勇伝(?)を聞いていた時の事。
それを聞きつつ、私は無意識にすんごい痛そうなしかめっ面の変な顔をしていたらしく、それを見たチュンニが、思わずキャハハハと大笑いした。
クリっとした大きな目が三日月の様になり、真っ白い歯がキラキラしてる。
そのこぼれるような笑い方がとってもかわいらしく、私はハッとした。
初めて見たチュンニの笑顔。初めて見たしっかり者チュンニの子供らしさ。
「チュンニも、大きくなったらこんな刺青してみたい?こんなに痛いんだってさ〜。」って聞くと、頭を横に大きく振りながら、私の顔を見て笑い続けた。
もっとチュンニを笑わせたくて、もっともっとキャハハハという笑い声が聞きたくて、私はこれでもか、これでもかと、変てこりんな顔をし続けたのだった。
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