*第4章 タージマハールを臨む丘 *
私達4人を乗せた電車は夕方前にアグラに着いた。
まず暗くなる前に宿を探さなきゃ。
駅前にたくさん停車しているオートリキシャで市内に向かう事に。
誰が私達を乗せるか、リキシャの運転手さん達の客の争奪戦が始まる。
昨晩の事で警戒心バリバリのため、ヒンドゥ語の激しいやりとりが、勝手に悪い方に
翻訳されて聴こえてくる。「こいつらカモは、俺がもらったぜ。」とでも言われてるん
だろうか…?
「もしはぐれたら、ここに集合しよう。」と、分かりやすいホテルを決め、二人ずつに
分かれてリキシャに乗り込む。
案の定、それぞれ違う場所に連れて行かれ、なんとか途中で降りて自力で歩き、待ち
合わせ場所のホテルを見つける。だんだん旅のコツもつかめてきた。
そのホテルは、バン君たちが泊まってみたいと目星をつけていた「TAJ KHEMA
HOTEL」。庭からタージマハールが眺められるという事で有名な場所らしい。
さっそく小高い丘のようになっている庭に登ってみる。
十六夜月の明かりに照らさ
れ、うっすらとタージマハールのシルエットが見えている!夢のような景色だ。昨晩
からの事を思うと、今ここで安心して美しい景色を見ていられる事がますます夢のよ
う。
明日も早起きをして朝日を見よう。
* * * * * * *
昨晩丘からタージマハールを眺めた後からの記憶がほとんど無いくらい、いつのまに
かぐっすり深く眠っていた。
インドに着いて以来ず〜っと気を張っていて、自分で思ってる以上に相当疲れていた
のだろう。
夜明け前に起きて、みんなと一緒に庭に出てみる。
椅子を並べて夜明けのタージマハールを眺める事に。
まだ薄暗く、視界は良くない。
でも、何故か夜中鳴り響いているインド音楽の爆音と、赤ちゃんや犬や猫や牛や山羊
や豚や鳥や虫などの泣き声で、異様な空気感がただよっている。未開のジャングル
と、騒音だらけの大都市が重なり合ってるみたいだ。景色は見えないけど、何かの気
配と音とでびっちりと埋め尽されているみたい。どこだここ。
「魔界っぽい、やばい感じだよねぇ。」と、男の子達でさえ言う。
ほんとだ。ちょっと
“この世”とは思えない空間だ。うっかり違う次元に迷いこんだみたい。一人だった
ら怖かったかも。みんながいて良かった。
朝日を待ちながら、目を閉じて、いったい何種類の音がしているのか聞き分けてみよ
うと試みる。けれどとても無理だった。
そうしてるうちに、だんだん明るくなってきて、目の前にタージマハールが現れた。
思ったより近くてデカい。ジャジャジャ〜ン!と効果音が聞こえてきそう。
ちょっと
漫画チックで現実味がないくらい。みんなで「おお〜。」と感動しながら、少しづつ色
を変える白亜の建物をしばし眺める。
「それにしても、なかなか朝日が現れないね。そろそろ部屋に戻ろうか?」と、立ち上
がって振り向くと、大きな大きな太陽が昇ってた。
みんなで眺めた朝のタージマハール
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