08.真夜中のバラ
私の身体はすぐに嘘をつくけれども、
あなたの手指は正直だから
あなたの方を私は信じる。
幸せのかたち
幸せは、冬の月の光のようだと思ってた。
宙高くから頭の頂きに向かってまっしぐらに降りてくる光、
もしくは神の声。
光の降り立つ額の一点から、
身体を斜めに射貫かれて恍惚とする。
それが幸せのかたちだと思ってた。

微笑みに出会うまで。

あの人が笑うと、空気に色がついて
笑いが空気を笑わせ光を笑わせ
私の皮膚を伝い、細胞をくるみこんで
ふるふる笑わせるの。
笑いが振動となってゆるやかに伸びて拡がってゆく。

心の指の細胞の隅の隅まで。
ゆるゆると。

温かく、湿っていて、じんわり重たくて、充実していて、滴っていて
身を投げ出さなくても取り込まれてしまう
やわらかくて泣けてくるもの。

あなたを思うたびに幸福で涙が出てくる。