第5話   ストーンヘンジ
とうとう来ました「ストーンヘンジ」
2ヶ月前まで名前も聞いたことない世界七不思議の一つの古代遺跡。
ここに来る為に、何かを感じる為に会社まで辞めてきたのだ。
この地方では珍しい快晴が、私達を祝福するかのように広がっていた。
ここで涙の一つでも流れるのが、普通なのかもしれないが、なんだか淡々としていた。
今思えば、その石の建造物は、想像していたより小さいような、よく見ると巨大な石群であった。
矛盾しているように、要するによく覚えてないのである。
感動のあまり頭が真っ白になってた訳ではない。その逆で、クリアーなすがすがしい気分であった。
そのすがすがしい感覚は今でもすぐに蘇る。
しかし、会社まで辞めてくるほど、思い入れてたストーンヘンジをどう感じたのか表現する事はできない。
「言葉で言い表せない」というよりは、「何も感じなかった」に近い気がする。
そもそも私はこのストーンヘンジの何にそんなに惹かれたんだろう。
何を目的でここに来たんだろう。そう考えると、何一つ答えは出てこない。
じゃあ、会社まで辞めてここまで来たことに、少々の後悔でもありますか?と聞かれたら、
「それは全くない」と答えるだろう。
そして、ストーンヘンジはこうだ!という経験をして、2ヶ月前にタイムスリップしたとしても
私は会社を辞めて、もう一度ストーンヘンジを感じる為にここに来るだろう。
そう考えると、ストーンヘンジは私が何も感じることができないほど、圧倒的なパワーを私に放っていた
のかもしれない。そう思えてならない。
今から”大海という海原”に漕ぎ出すパワーを与える為に、ここに呼んでくれたのかもしれない。
ストーンヘンジの脇の芝生の上に寝っころがり、青い空を見ていると、何か込み上げてくるものがあった。
それは、感動と呼べるものではないような気がする。
すがすがしさの中に生きてる実感があった。
そして何も感じてない丸裸の自分がいた。ありのままの、本当の自分がそこにいた。
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