16話   Full moon in Zazen
“フルムーン“、なんと美しい響きなんだろう。
静かで果てしない広がりを感じさせるようなこの響き。
そんな美しい響きに、私の興味のある”ザゼン(座禅)“までくっついていやがる。
私の心は、飢えた野獣の嗅覚が、獲物の匂いを鋭敏にキャッチするように、
心の奥を揺さぶるようなこの誘惑の響きに、ゾクゾクと惹き付けられる何かを求め、
私はこのワークに参加することにした。
それが、自分の中に眠る野獣を目覚めさせることになるとも知らずに・・・・。
野獣が待ち伏せしている地獄の洞穴へ突き落とされることになろうとも知らずに・・・・。
このワークというのは、満月の夜だけに行われる坐禅会である。
9時に集合し、林の中にある長い廊下みたいな場所で坐禅を組む。
45分の3セットであり、休憩時間には、林の中をゆっくり散歩したり、
フルートの生演奏を聴いたりする。
もちろんその間、私語は慎まなければならない。
こんなマニアックなワーク好きの仲間たちが集まり、いよいよ始まった。
気持ちいい1本目の坐禅が終わり、満月の月明かりを頼りに、林の中を静かに歩いた。
そして問題の悲劇は、2本目の坐禅の途中に起こってしまった。
なぜだろう?今でもよく分からない。坐禅の途中で突然目を開けてしまったのだ。
その瞬間「わっ!暗い!」と思い、何かがぐらっときた。
暗闇の中での坐禅であり、目を閉じている時と同じ暗さが、目の前にあるだけだった。
あたり前のことだった。
ところがその瞬間から、ぐるぐると目が回り始め、吐き気を催し、
座っていることさえ苦痛なほど、最悪な状態が襲ってきた。
横になることはできず、気絶しそうなほどの苦しさを
膝を抱えたまま太鼓の合図を待つしかなかった。
私が見た「暗さ」とは、私の中の眠っていた「闇」だったのだ。
見たくもなければ、触れたくもないようなネガティブな闇。
それは、サマディーでの瞑想で私が認識したゴミたちに他ならない。

私が私たるを阻害している悪の根源とも言える。

それがチャンス到来とばかりに、無意識層深くから噴き出してきたのだ。
マグマのごとくグツグツと、地上に大放出されてしまった。
そして私の悪夢は始まった。
この瞬間をターニングポイントに、夢のような極楽浄土の日々はどこかに消え去り、
脳みそをぐちゃぐちゃにされ、怒りに打ち震える地獄の日々へと突き落とされた。
2003/6/14
oshoタロット より