第6話   袖触り合うも他生の縁
「袖触り合うも他生の縁」ということわざがある。
見知らぬ旅人同士が同じ木の下で、一時いこい宿るのも決して偶然じゃない。この世に生れる以前
からの深いつながりによるものだ、という意味である。
毎日、たくさんの人々に出会うが、そのほとんどの人とはすれ違いだけに終わる。
言葉を交わすどころか、目も合わさない。
言い換えれば、人と人が出会う偶然は神秘的であり、すごい確率で起こるドラマティックな出来事
であるとも言える。
この現象を、科学で証明するどころか、説明できる人もいない。
人がいたずらで仕組んで出来ることでもなければ、宇宙人がやってる訳でもない。
しかし、みんなが実際に経験していることであり、否定するどころか、大いなる何らかの力を感じる
瞬間でもある。
私が実際経験した”なんて狭い世の中なんだ!”と感じた出来事を2,3紹介したい。
毎日の生活の中で、道を尋ねた人でさえ凄い偶然の出会いであると思うけれども、
そもそも偶然なんて存在しないのかもしれない。
私は宮崎市で生れ育ち、福岡の大学に行った。そしてゆかりも何もない都城市に就職した。
都城に住み3年が過ぎた頃、ふと予備校に通っていた時知り合った1人の女性のことが頭をよぎっ
た。彼女は遠い都城から通学していた子で、私が都城に来る前に唯一知っている都城人であった。
私は都城の地名もある程度分かっていたので、家はどの辺りだったのだろう、と考えたのであった。
しかし、探す手段は何もない。
ところが、その3日後にひょんなことから判明した。我が家の目の前の家であった。
そんなことはつゆ知らず、そこに引越てからずーと仲良くその両親とお付き合いをさせて頂いていた。
私達だけでなく、近所の人達もビックリ仰天! 
またその彼女も1週間後に、5年ぶりに都城に帰省してきた。
また、高校時代の恩師から電話がかかってきた。都城に出張で行くので一緒に飲もう、という誘い
であった。久しぶりの再会であった。そして今、都城のここに住んでます。というと先生はビックリし
ていた。なんと先生の奥さんの実家がすぐ近所であり、その先生自身も近所に住んでいたこともあ
ったそうで、2人して大笑い!!
こんな話をするときりがないんで、最後にこの話を紹介したい。
私はある送電線建設工事の会社で働いていた。よく他の会社との共同工事も行われる。
ある時、福岡のある会社との工事があった。この会社とはよく一緒に仕事をするんだが、
宮崎と福岡のそれぞれ田舎なのになぜ仲間なのか、そこから奇妙な縁である。
また、この福岡の会社がうちの嫁さんの実家のすぐそばであった。
ここまでは、別にある話かもしれない。しかし、ここからがすごい!!
その会社にとても好感のもてる男がいた。何度か仕事はしていたが、実際話したことはなく、
あいさつ程度であった。
ある時、同じ鉄塔の、同じ電線の上で2人だけで仕事をする機会が訪れた。
そんな時、自分達の彼女の話になった。私はすでに結婚していたが、お互いけん制しながらも、
それぞれの名前だけは探り合った。
その夜、嫁さんに電話で確認してみると、その彼女はなんと小学校からの幼なじみであった。
それも小学校は20人足らずの小さな学校の幼なじみであった。
次の日、顔を合わせるなり、大笑いになったことは言うまでもない。
結局、彼らは結婚し、今はその会社も辞め、別の道を歩んでいる。
話が”不思議な縁”で遠回りしてしまったが、第5話のハリーがイギリス人である”ひらめき”まで
戻ることにしよう。
ハリーがイギリス人だったと気づいて、直接聞くまでに2週間程の空白があった。
ハリーが急に忙しくなり、道場に来れない日が続いたためである。
私はその間に、ハリーのBFである”シゲ”に何度も「ストーンヘンジについて聞いといて・・・・!」
とお願いしといた。
しかし、彼はハリーに会うたびその事を忘れていた。
これも後になって思えば”直接聞きなさい!”というメッセージだったのかもしれない。
そして、運命の時はやってくる。しかし、それはほんの10秒ほどで終わってしまう。
一応、片言の英語で会話したんだが、私の頭の中には日本語として記憶されている。
   哲     「ハリー、ストーンヘンジって知ってる?」
   ハリー  「えっ?イングランドの?」
   哲     「そう!」
   ハリー  「私の家のすぐそばにあるよ!」
   哲     「・・・・・・・・」
この瞬間、今でも鮮明に覚えているが、動きが止まった!呼吸が止まった!時間までもが止まった!
今まで予定されていた私のこれからの人生の台本が、全て書き換えられるために、時間までもが
止められたんだろうか?
それともこれも筋書き通りのストーリーの一部なのだろうか?
でも、こんなことってあるだろうか?
今現在、来日しているイギリス人の中に、ストーンヘンジのそばに実家がある人が何人いるだろうか?
また、その人と出会う確率は?
逆に、私がイギリスに行った時に知り合ったイギリス人から、「私は今、日本の青島というところに
最も興味があるんだけど、青島って知ってる?」て聞かれるようなもんである。
もう私の人生は見えない方向へと動き出していた。もう誰にも私を止めることはできない!!
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