合宿の最初の大仕事は結婚式(披露宴)。
能登に出発する1週間前から、淳隊長が宴会の演出を練り、演出に必要な品々を手配、準備した。
前日に新郎新婦やご両親との話し合いをし、プロフィールなどのヒアリング。
司会、進行はブー隊員の役割となる。
ミルカ隊員も、式のなかで人気を集めていた。
会場となったのは、能登町の百楽荘。
古くからある旅館で、最近は設備に投資もしてお客の呼び入れに成功しているようである。
ここでは、百楽荘の様子を報告しよう。
百楽荘は変化に富んだ景観の九十九湾に面して建つ。
九十九湾はリアス式海岸で、場所によっては急峻な断崖を成している。
百楽荘も数十メートルの高さに位置し、窓から山肌が落ち込んでいくのと、入り組んだ様子が見える。
九十九湾らしい眺めが堪能できる。
披露宴前の待ち時間に皆まちまちに建物内を探検。
そのときに、披露宴参加者から緊急通報が入った。
「地底トンネル発見!」
なんてことだろう。
ごく普通の旅館に、地底トンネルが隠されているとは。
事前にそのような情報はつかんでいない。
秘密の軍事施設か、それとも国際救助隊サンダーバードの基地か。
ともかく、即調査である。
急遽、淳隊長、ブー隊員、披露宴参加者2名による機動調査隊を結成。
地底トンネルに通じるという古いエレベータに乗り込んだ。
地上3階分のボタンから離れ、ずっと下のほう隠すようにつけられたボタンを押した。
扉は閉まり、静かに下降を開始した。
長い沈黙が続く。
地底トンネルの秘密を知ったとき、われわれは無事地上に戻れるのだろうか。
万一のとき、披露宴は、そして何より楽しみにしていたお料理はどうなるのだろうか。
せめて、食事がすべて終わってから地底に潜入してもよかったのではないか。
いろいろなことが頭をよぎる。
小さな振動とともにエレベータは止まった。
そして、扉がひらく。
「おおっ」
左右両方向に地底通路が続いているではないか。
確かに地底トンネルだ。
薄暗くたいへん湿った感じがする。
足元は濡れ、滑りやすい。
●地底トンネル
とにかく先に進もう。
われわれは、なだらかな下りスロープとなったトンネルを進む。
エレベータの古さとは裏腹に、トンネルは綺麗に整備されている。
数十メートル歩くと明るい光が漏れてきた。
どうやら地上に出るようだ。
そこに広がるのは海。
海洋生物の生態調査(釣りとも言う)が可能な桟橋が設けられ、人知れず調査が可能のようである。
要人たちが会食できる離れも建っている。
茅葺古民家風の造り屋根で、100年くらい前なら、一般民家と区別がつかないだろう。
敵からの攻撃を避けるためのカモフラージュと考えられる。
中からも海洋生物の生態調査(釣りとも言う)が可能である。
いったい、誰が何のためにこのような壮大な秘密施設を建設したのだろう。
●秘密の桟橋
●秘密の迎賓館
トンネルの反対側は、温浴施設のようであった。
厳重に立ち入りが禁じられており、詳細な様子は不明である。
さらに調査したいところではあるが、重要な本来の任務と披露宴料理の誘惑には勝てず、このまま引き返すことになった。
恐るべし百楽荘。
冒険心をくすぐる。
披露宴料理は、地元の食材を取り混ぜた、美味しいものであった。
刺身にマグロはない。
サザエ、皮霜つくりのタイ、そうめんかぼちゃ、赤飯かと思いきや、古代米(赤米)のごはん。
どれも工夫されている。
●式場
披露宴も、淳隊長の演出はたいへん好評であった。
一夜漬けのブー隊員の司会も、まずまず。
BOO総研Jの事業として、イベント企画事業を増やしても良いかも知れぬ。
地底トンネル事件があったにもかかわらず、無事、美味しい食事を堪能できた。
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