仕掛け&タックル


オーストラリアの代表的な釣りといえば、まず海、河川、湖沼など水域を問わずルアーやフライ
による大物釣りが思い浮かぶ。一方餌釣りも人気がないわけではなく、磯からグレやチヌを狙
っている釣り人をよく見かける。特にシドニーのあるニューサウスウエールズ(NSW)州は、オー
ストラリア産グレ類5種のうち4種類が生息しており、グレ釣りの盛んな地域である。


 シドニーのグレ釣りの最大の魅力は、40〜50cm級がアベレージサイズで、60cmオーバ
ーのモンスターサイズも夢ではないことである。事実、ドラマーのオーストラリア記録(76cm、9
kg)はシドニー近郊の地磯から出ている。釣り場まではシドニー中心部から車で30分から1時
間と近く、公共交通機関の便利がよいのでバスや電車での釣行も可能である。サシエ、マキエ
とも磯に付着しているアオサを使うので餌代はかかならい。私も釣竿1本とリュックサック1つで
手軽に釣りを楽しんでいる。


 このように手軽にいつもグレ釣りが楽しめればよいのだが、難点もある。オーストラリアには
渡船システムはなく、釣り場は地磯に限られる。釣り場の多くは満潮時には水没するような足
場の低い地磯で、うねりの強い日は危険である。休日だけに限れば安全に釣りが出来る日
は、3回に1回あればよいほうだ。ライフジャケットを着ない人が多いことも重なって、磯での事
故が後を絶たない。しかしながら、釣り人を磯に寄せ付けない日が多いことが、釣り荒れを防
いでいるとも言えよう。


シドニーの代表的なグレ2種の釣り方


ドラマー


ドラマーの魅力は、尾長のパワーと口太の重量感を兼ね備えたような強烈な引きにある。針掛
かりした瞬間、一気にシモリに突っ込むので3kg以上の大物を取り込むのは至難の業。バラ
せばバラすほど頭に血がのぼり、多くの釣り師はこの魚にのめり込んでいく。太仕掛けにしな
いと話にならない。


(釣り場の特徴)

30cmくらいまでの小型魚は内湾域の磯でも釣れるが、それ以上の大型は外洋域でないと釣
れない。ドラマーを釣るための釣り場選びの条件は、シモリがあるかどうかに尽きる。この魚は
定着性の強い魚で、シモリからほとんど離れないため、瀬際か沈み瀬の周囲がポイントとな
る。いくら沖にいい潮目が出来ていてもその下に沈み瀬がなければ、ドラマーは釣れない。釣
り方によって適した水深があり、アオサを餌にしたフカセ釣りの場合は水深2〜3mのゴロタ浜
が向いている。こんなに浅くても本当に魚がいるのかと半信半疑になるようなところで、3〜4
キロクラスがアタって来る。一方、水深5m以上の深場ではアバロンガットなどを餌にしたブッコ
ミ釣りが向いているが、グレ釣りというよりは5目釣りになってしまうので、これ以上の説明は省
略する。


(仕掛け)

竿は、日本製の5mくらいの磯竿で、インナーなら2号以上、外ガイドなら3号以上の竿が望ま
しい。オーストラリアでは、日本製の磯竿は売られておらず、地元釣り師は4mくらいの並継ぎ
竿を使っているが、日本人には重たすぎて使えない。道糸は3〜4号で蛍光フロートタイプが使
いやすく、サラシがきついオーストラリアの磯では、サスペンドタイプはラインコントールが難しく
なるので不向きである。ハリスは瀬ズレ対策のため、道糸よりも太いフロロカーボンの5〜8号
を用いる。針は太軸のグレ針タイプでサイズは10〜12号が適当である。ウキはポイントが近
く、タナが1〜2ヒロ前後と浅いので棒ウキあるいは円錐ウキのどちらでもよいが、波にのまれ
ないようにするため、余浮力をある程度持たせる。ドラマーは餌が流れて来た時に一気に急浮
上して呑み込むので、ウキの余浮力はあまり気にする必要はなく、むしろ瀬ズレ対策のため常
に浅めのタナをキープさせることを心がけた方がよい。


(釣り方)

釣り始める前に撒き餌をするが、足場が低い場合はスパイク靴で磯に生えているアオサを削
って、足下まで来る潮に乗せる。足場が高い場合は、バッカンに細かく刻んだアオサとパン粉
を混ぜ合わせてヒシャクで撒く。刺し餌のアオサは柔らかい新芽を針いっぱいに大きくつける。
仕掛けの流し方は、サラシのある瀬際か沈み瀬の周囲に仕掛けを浅タナで丹念に探ることに
尽きる。一見して、沖の潮目は好ポイントのように見えるが、ドラマーの場合はあてはまらず、
沖に沈み瀬がある場合を除けば仕掛けをひたすら流し続けるのは時間の無駄である。ドラマ
ーは1つのポイントであまり数の出る魚ではなく、いれば最初の数投でアタルことが多いので油
断は禁物である。ドラマーは針掛かりした瞬間、一気にシモリに突っ込んでくる。2kgクラスま
ではなんとかなるが、それ以上になると瀬ズレでバラす確率が非常に高い。大物を取るために
は糸を出すことは厳禁で、竿を寝かせぎみにして底に潜らせないようにして瀬ズレを防ぐしか
ない。基本的なパターンとして最初にドラマーが2〜3匹アタッた後は、ルダリックばかりとなる
ことが多い。こんなときはポイントを休ませた方がよい。しばらく休めるとまたドラマーがアタっ
て来ることがある。最初からルダリックが連発するようなポイントは変わった方がよい。


ルダリック


ルダリックはシモリに突っ込まないので、ドラマーに比べると遥かに取り込みやすい魚である。
テクニックによって釣果にかなり差が付くので、掛けるまでのプロセスを楽しむ。細仕掛け、小
針に小餌が秘訣。


(釣り場の特徴)

ルダリックは外洋域の磯に限らず、内湾域の護岸や桟橋の下にも40cmクラスは生息してい
るが、外洋の方が警戒心が薄いので釣りやすい。この魚は群れで磯の周りを回遊しており、撒
き餌で寄せてしまうと数釣りが可能である。撒き餌によってシモリのない砂地のポイントに寄せ
ることができることが、ドラマーとは大きく異なる。したがって、撒き餌の溜まる沖の潮目がルダ
リックの好ポイントとなる。


(仕掛け)

ルダリックはシモリに突っ込まないので、ドラマーに比べると柔らかめの竿でよいが、玉網を使
わず抜き上げるので、インナー、外ガイドの区別なく1.5〜2号クラスがよい。道糸は蛍光フロー
トタイプの2〜3号、ハリスは1.5〜2号で、針は細軸のグレ針タイプでサイズは5〜6号が適当
である。ウキは棒ウキあるいは円錐ウキのどちらでもよいが、ルダリックのアタリは小さいの
で、なるべく余浮力を小さくした方がよい。うねりが強い場合は、ハリスにガン玉を段打ちにし
て、仕掛けを安定させる。ただし、夏にはアイゴの餌取りが増えるので、なるべく軽い仕掛けで
釣った方よい。


(釣り方)

撒き餌は、ドラマーの場合と同じ方法でよいが、群れを寄せるまでに時間がかかることが多い
ので、釣れ始めるまで撒き餌を絶やさないことが必要である。浮き下は撒き餌のほとんどが表
層を流れるので、浅めの1〜2mに設定する。刺し餌のアオサは柔らかい新芽やLuderik weed
と呼ばれる繊維状の緑藻を針に巻き付けるようにして小さく付ける。仕掛けは張りながら、沖
の潮目など撒き餌に溜まるところを探しながら流す。ルダリックのアタリは小さく、最初ウキをつ
つくような前アタリの後、じわーっと沈んでいく。餌が大きいとアタリがわからないうちに餌だけ
取られるので、小針に小餌が重要である。針掛かりしたルダリックはシモリに突っ込まず、ボラ
のように首を振りながら横走りするだけなので取り込みやすい。一旦、ルダリックの群れが寄
ると入れ食い状態になる。磯で何人か並んで釣っていると特定の人にだけアタリが集中して自
分は釣れないことがよくある。そんなときは、当然のことだがよく釣っている人の仕掛け、餌の
付け方および狙うポイントを参考にしたほうがよい。

 
 


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