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歌えよ、食えよ、恋せよ
  ジェノバとその近郊はカラフル


  
取材:山口 汐莉
 取材協力:イタリア政府観光局

   
ジェノバの町並み イタリアではパーキングが大変  イタリアのジェノバ周辺はたくさんの旅行素材があふれている。リグリア地方特有のリゾートがあちこちに散らばっている。今回は日本の若い女性たちにどのような側面がアピールすのかを取材してみた。地元で作っている小物の類などに人気が集まりそうだ。
小物がすてきなリグリア地方 未開発の旅行素材が充満



 ■街並み
 秋のイタリアは、高い空にふわりと雲が浮かび、海沿いのリグーリアは、わずかな冬の気配を波に巻き込んで、そうそうと風を流しながらまだ強い陽ざしをあちこちに散らばせていた。
 まずは、ジェノバ市内を歩いてまわる。活気ある人々でにぎわう商店、服装や荷物からみて観光客がその多くを占めていたように思えたが、普段着に手ぶらで、いくらか紙幣を握って野菜やオイルを買い求めに来ている地元の人もちらほらいた。商店街と住宅街がごったまぜになったような建て物とせまい小道のなかで、実にいろいろな種類のお店やものたちが建ち並んでいた。動物もたくさん、いた。豊富な種類の野菜、小鳥、花、肉、魚、くだもの、パスタ、ハーブ、カフェテリア、フォッカチオやケーキ、パンの露店、きのこ売りのトラック、のそ のそ店内を歩きまわるふとったねこ、タオル屋、薬局、銀製品のお店、CDショップ、バール(BAR)と呼ばれるソフトドリンクや安い酒類を飲ませる店、ヘアサロン、足下すぐそばをすり抜けて走っていく犬、かご屋、靴屋、衣料品店、デザインタイル屋、軒先にひょこひょこと顔を出すピンク色のハト、じゅうたん屋、ろうそくの専門店、ビデオ屋、毛糸屋、かんづめ屋、びんづめ屋、シルク屋、シルクよりも自信あり気な白のアヒル、ガラス細工屋、古本屋、などなど。  また目につくのが、家々の扉だ。グリーンの門、青のかさのついたシャッターつきの門、赤いろの門、トゲトゲのびっしりついた黄いろの門、パール、オレンジ、うす茶色など、家の数だけ門の色も種類も無数に存在していた。
 古本屋に入ると、うっすらとかびのにおいがして、奥まったカウンターから外国の古い絵本に出てきそうな(ここも外国なのだけれど)、長く白いひげのおじいさんが「ボンジョルノ!」と笑顔で迎えてくれた。日本の「いらっしゃいませ」よりもずっと身近であたたかないい響きで、ひさしぶりの友達にあいさつをされているみたいだった。絵と本のボロさにひきよせられて、子供向けの絵本を3冊ほど買い求めた。すると、「ノン!」指を立てて、2、3回振る。顔は、笑っていた。片言の英語で、「この本はイタリア語でも言葉が古くて、解りにくいからこっちのほうがいいよ」と、別の本(絵もかわいい!)を薦めてくれた。値段も、36,000リラ(1800円)のところを、30,000リラ(1500円)にまけてくれた。このあと、バールにも入り、毛糸屋、ハーブとオリーブオイルのお店ものぞいてみたけれど、店員さんは同じように人間くさく、みんな親切ですてきな笑顔をしていた。
  
■サン・フルットゥオーゾ
 リヴィエラはポルトフィーノ、かつては天然の、深い入り江の奥にある古びた漁村だったところだ。戦後になって、富豪や世界中の著名人の観光、休息の地として脚光を浴びはじめた。テグリオ湾を出て、ボートでポルトフィーノへむかう。ボートは1Fも2Fも、退職して時間と財を両手に持った老人の夫婦でいっぱいだ。お尻の大きな貴婦人郡にすすめられて、幅30センチのベンチへ申し訳なさそうに腰かける。
 ボートはポルトフィーノへむかう途中、小さな入り江のビーチ、サン・フルットゥオーゾへ立ち寄った。実に小さな小さなビーチだった。奥行きも狭く、砂浜のむこうは山とがけに覆われていて、手前に石づくりの城のようなものがそびえ建っていた。聞けば、修行僧の訪れる寺院だという。このビーチへは、僧か、休暇を利用して安らぎを求めにやってくるリゾート客くらいのもので、現地の人間は殆ど来ないらしい。もっとも、日に何度か往復するボートと山道を上下に揺れながら何時間もかけて客を運ぶバスしか経由する乗り物のないこの地で暮らすとは、いかに陽気なイタリア人とあってもなかなかすてきな思いつきとは考えにくいのだろう。
 とはいえ、この島、と呼んでよいのだろうか、このサン・フルットゥオーゾは、本当に美しいところだった。何種もの青が混じりあった海水のさざめく音、砂浜に寝っころがる人々のささやき、他には音もなく、たまにやわらかく頬をなでる風は山のものか海から来るのか、そばの木々をゆらしてさわさわと鳴らしていた。砂浜の石を拾う。一所懸命、エメラルドのような丸い透明なつぶを幾つも幾つも拾う。10ほど拾ったところで、そばの人に自慢気に見せる。そして、「あ、それガラスの欠片よ」笑いと同情の入り混じった表情でやさしく石を捨てさせられる。立ち上がり、ひざについた砂をぱんぱんと払い、しばし波打ち際に目を落とし、海のむこうを望み見る。陽の傾きが海の日時計に時間を落としていた。
   ジェノバの町並み イタリアではパーキングが大変
  ポルト・フィーの港 「おじちゃんどこ行くの」
「おじちゃん、どこへいくの」
「サカナを釣りに」
「お土産持ってるね
     ポルト・フィーノの港
ポルト・フィーノの港 ポルト・フィーノは観光スポット
    ポルト・フィーノの港 ポルト・フィーノは観光スポットのひとつ  
感動的なサンレモの朝焼け ぽかぽか陽気・赤ちゃんの散歩
    サンレモの朝焼けは感動的だ 赤ちゃんのぽかぽか陽気でお散歩
サン・フルトゥオーゾのビーチ 丘の上の集落
サン・フルトゥオーゾのビーチはリゾート客でにぎわっていた。静寂でのなかでのリラクゼーションはおすすめ 丘の上の集落。クルーズの途中での海からの景色
小さな魚が沢山 イタリアは鉄道の国
この川は水量はそれほどでもないが、小さな魚がたくさんつかみ取りできそうだ。 イタリアは鉄道の国。全国あらゆる場所につながっている
ラパッロ駅
ドルチェアックの町 ドルチェアックの町の細い道路
ドルチェアックの町にある石橋はひびが入っているが、まだまだ頑丈だ。 ドルチェアックアでは細い道路のここ彼処にこういった窓飾りが何気なく散見される

■ドルチェアックア
 中世の町、ドルチェアックア。土くれと石をかためて築き上げたような古い、古い町だ。遺跡のような、今にも折れそうな橋を渡り洞窟の入り口みたいな石の大きな門をくぐると、そこには石だたみと住宅、小さなお店などがあった。ジェノバの街のように、犬やねこもいた。人々は確かに現在もここに生活しているのだ。壁にはツタがはびこり、石だたみの通りを照らすランプの灯り。大よそ150センチくらいだろう、背のひくい家々のドアが、800年の時の流れを証明していた。あまりの時間の壮大な積み重なりにため息をつくと、町ごとふき飛び崩れてしまいそうな脆さを感じたけれど、そうして古び時を長らえたものだけが持ちえる強さのようなものも、町全体から感じ受けることができた。照度は低いが人々は歌い、花を抱えて笑い、犬はじゃれあって転がり、陽もどこからか入り込み、風が、街の中をゆっくりと誘われて走っていた。
 「歌えよ、食せよ、恋せよ。」言葉の順は忘れてしまったけれど、イタリアで古くから使われている決まり文句だ。この旅で、ふたつは欠かさず自然と「して」いたなぁと振り返る。次は、残らずすべてを「する」ために、イタリアへ行こう。