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■ 出発
朝5時起床。家を午前5時50分に出発。空にはまだ月と星が出ている。暗い。
飛行機は10時10分発なので、8時10分までに空港のカウンターに行けばよいのだが、連れの銀(ぎん)の都合で少し早めに成田で待ち合わせることになっていたので、この時間の出発となった。
駅には意外にも人が多い。幸いにも、成田まで行く電車はちらほらと席が空いており座れた。
7時30分成田着。約束通り、銀とJALカウンター前で合流。チェックインの時間にはまだ全然早かったが、念のために行ってみるとすでに受け付けていた。さっさと荷物を預けたいので、チェックインする。
特に問題なく手続き終了。「シートはビジネスでどうぞ」と言いながら係の人がパスポートと搭乗券を渡してくれた。ビジネス?
確かに搭乗券を見ると「EXECUTIVE CLASS」と書いてある。
ラッキー。広いシートに座れる。どうやら席が空いているので、好意でまわしてくれたようだ。

これがわたしたちが本当にEXECTIVE
CLASSに乗ったという証しだ!
カフェテリアで休憩。銀に向かって、わたしが以前、やはりビジネスに座った時の話をする。その時の飛行機は、全席エコノミー・クラスだったのだが、座席自体は飛行機にビジネス用のシートがついたままなので、シートはビジネス、サービスはエコノミーという扱いの人々が一部生じた。わたしもそのひとりだったのだ。
「まあ、今回もそんなところだろ」
と、その時はあまり期待していなかったのだが、実際に飛行機に乗る段になって驚いた。ビジネス・クラスはあちら、という矢印が出ている。
うわあ! 今回はサービスもビジネスだ!
広いシートに座るなり、わたしは飲み物のメニューを確認した。
なんじゃあ、この飲み物の種類の数は! カクテルからリキュール、シャンペン、吟醸酒もある!
「ドリンクサービスになったら、わたし、シャンペン飲む!」
とわたし。貧乏人根性丸出しである。
そんなわたしに銀はあきれていたが、そういう銀もシートの機能チェックに余念がない。フットレストや飲み物用のミニテーブルがあることを確認している。
「銀、おまえは飲み物何にする?」
「そうだな、ワイン・・・いや、やっぱりシャンペンかな」
「リキュールもあるよ」
「甘い酒はちょっとなー」
離陸後のドリンク・サービスの打ち合せに夢中のわたしたちのもとに、ひとりのスチュワーデスさんが近寄ってきた。そして、
「お飲み物をお持ちいたしました。シャンペンはいかがですか」
「・・・・・(わたしと銀、ともに絶句)」
そんな、まだ頼んでないぞ。まして飛行機はまだ飛んでいないじゃないか。
はっ、そうか。これがうわさに聞いていた「ウェルカム・ドリンク」だ。
すごい。すごすぎるっ! これがEXECUTIVE=ビジネス・クラスのサービスか!
この後もわたしと連れは、EXECUTIVEのサービスの波状攻撃を受けた。
まず、荷物。コートを座席の上の荷物棚にしまおうとしたら、さっとスチュワーデスさんがやってきて、「お客さま、お預かりいたします」といってどこかに持っていった。
(これは後で知ったが、ビジネスには専用のクローク(clork)があるのだ。飛行機を降りる時には、こちらが請求する前に持ってきてくれた)
次に新聞と雑誌。両手にあふれんばかりに抱えて、スチュワーデスさん持ってくる。
いつものエコノミーでは、わずかしかない部数をみんな争うようにして取っていくのに。そうか、エコノミーで配られる新聞と雑誌って、もしかしてビジネスの余りなのか?
ちなみにわたしは日経新聞と読売新聞を、銀は週間朝日を所望した。
ああ、でもあまりわたしを甘やかさないでくれ。身分不相応だよう。旅行会社には、飛行機代とホテル代(朝食付き)をあわせて63,000円しか払っていないんだよう。
うれしいやら申し訳ないやら、もはや感情は大混乱だ。しかし、混乱しながらも未使用のスリッパをカバンにつめるのは忘れない。銀は記念にと、食事メニューをカバンに入れていた。
離陸後、水平飛行に入るとすぐに食事。いつもはテーブルにじかにトレイを置くのに、今日は深紅のテーブルクロスがかけられた。ワインもJALのマークの入ったガラスのグラスに注いでくれる。いつもはプラスチックのコップなのに。ナプキンは厚手の布製。色は深紅。ナプキンリングにはまっている。
食事前のドリンクと一緒に配られるおつまみも、なんと2種類配られた。
食事も日本の航空会社ならではの繊細さ。わたしは甘鯛が主菜の和食、銀は牛フィレ肉のステーキが主菜の洋食を頼んだが、どちらもちょっとしたホテルのランチ並みの手の凝りようである。食器はすべてNoritakeだった。バターはプラスチック容器に入ったポーション(個包装のもの)ではない。ちゃんと陶器のバター皿に入っている。ちなみに、主食のご飯とパンは、おかずとは別にあたためられて配られる。選択も可だ。
「どうする? もう一本ワイン頼む?」と白を頼んでいたわたし。
「うん、頼もう」と赤を頼んでいた銀。
しかし、こちらから頼むよりも早くスチュワーデスさんが現われ、
「もう一本ワインはいかがですか?」
・・・いつもは頼まなければ持ってきてくれないのに!
「はい、いただきますっ」
力強くわたしは答え、赤をGet!
うーん、すごいぞ、EXECUTIVE。
一生に一度は体験してみるものだ。
シャンペン1杯とワイン1本半で、もはやわたしたちはベロベロのウハウハである。
ビジネス・クラスで唯一スニーカーをはいているふたり組を乗せて、飛行機は上海に向かっていったのであった。
おわり
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