●:=: Angkor 5 days :=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=○

     ア ン コ ー ル 5 日 間 ★ 徒 然 日 記

 第3号 1日目の3――ソーハツキに乗ってシェムリアップ到着 の巻

                        発行責任者 ちはる
                        2001.8.6  発行
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§--< Attention! >-------------------------------------------------§
▼この日記は、ちはるが実際にアンコール・ワットのある町、シェムリアッ
 プでつけていた日記をもとに、加筆、修正、再構成したものです。
▼もしかしたら文中に、不適当な発言、あるいは間違った記述があるかもし
 れません。その場合はどうぞ容赦なくご指摘ください。ただし、旅の折々
 で胸の内に生じた感情については、あえてそのまま書いている場合もあり
 ます。どうぞご了承ください。
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《2001年5月27日−3》

■シェムリアップ[Siem Reap]へ

 ED(出入国)カードを書いているうちに搭乗が始まった。
 飛行機まではバスで移動である。

 バスの中はけっこう混んでいた。わたしが立っているところからは手すりに
はつかまれなかったが、「まあ、大丈夫だろ」とタカをくくっていたら、あな
どるなかれバンコクのバス、非常に運転が荒かった。

 あー、車が右に曲がるなー。曲がる、曲がるっ、曲がる――っ! と思った
時にはわたしの身体は慣性の法則にしたがって左側にすっ飛び、横にいた豊満
なバストの赤毛の白人女性に思い切り体当たりをくらわせていた。
 ひーん、ごめんなさーいっ!

 「そ、Sorry!」とこんな即座に英語で謝罪の言葉が出てきたのは、生まれ
て初めてではなかろうか?
 その女性は英語圏の人ではないようだったが、「仕方ないわね」という様子
で苦笑していた。

 「バンコクの運転は荒いからなあ。遠慮しないでちゃんとつかまっときなー」
とくだんのおっちゃん連のひとりがなぐさめのつもりか声をかけてくれたが、
わたしはあまりの恥ずかしさに顔をあげられず、申し訳ないが無視させていた
だいた。

 その後もいくどか体当たり攻撃(をしてしまう)の危機をきりぬけ、どうに
かバンコク・エアウェイズ(Bangkok Airways)の機体が駐機しているところ
に到着。

 おおー、事前にわかってはいたことだが、本当にプロペラ機だ。

 後ろにいたおっちゃん連のひとりが、機体を見て「ソーハツキだ」とつぶや
いた。

 「ソーハツキ」が何であるかはわからないが、「双発機」とすぐに漢字変換
できるあたりが日本人だよなあ、と自分を思う。

 帰国後に調べたら、「双発機」とはその名の通り、エンジン(発動機)をふ
たつ(双)積んだ飛行機のことだそうな。
 確かにわたしたちが乗った機体は、左右両翼に1つずつプロペラがあるタイ
プの機体だった。もちろん、プロペラはそれぞれにエンジンでまわっているの
で、当然エンジンも2つ。よって双発機ということになる。

 じゃあ、単発機ってどんなんだ? と思ったら、機体の先頭にだけプロペラ
がついているようなタイプのものだそうな。

 単発機はひとつしかないエンジンが止まってしまったらその場で人生アウト
なので、単発機だとわかるとその便の飛行機には乗らない、という人もいるら
しい。

 バンコク・エアウェイズのプロペラ機に単発機があるのかどうかは知らない
が、とにかくわたしたちは無知ではあるが、運はよかったようだ。

 プロペラ機に乗るのは初めてなのでばしばし写真を撮っていたら、マダムが
「あら、どうしてカンボジア・エアウェイズじゃないの?」とおっしゃる。

 何寝ぼけたこと言っとるんじゃー、と思ったが、どうやらマダムはこれから
カンボジアに行くので、すっかりバンコク・エアウェイズのことをカンボジア
・エアウェイズと思い込んでいたらしい。

 おまけに機体には「Siem Reap Air」と書かれていたのでよけいわけわかん
なくなったようだ(Bangkok Airとも書かれていた)。

 わたしが説明したので「ふうん」とはうなずいたが、あいかわらず疑わしそ
うな目で飛行機を見ていた。
(※Atteition! 「カンボジア・エアウェイズ」は存在しません)

 飛行機には、飛行機のドアがバクッと上から下に開くと、そのままタラップ
になる式の階段で乗り込む。
 中は狭い。今まで乗った飛行機の中で一番せまい。天井も低い。
 座席は左右に2列で並んでいた。全部で70人くらい乗れる機体だったろう
か? きっと、大柄な人にはかなりシートも狭く感じられるだろう。
 まあ、ほんの50分、と思えば耐えられる。

 わたしとマダムは一番前の席。わたしのすぐ右斜め前、50cm離れてるか
離れてないかくらいの距離にスチュワーデスさんが立っている。
 スチュワーデスさんとお話するのが何より楽しみ、というわたしの知人など
にはおいしすぎるロケーションだ。

 カンボジア・エアウェイズのスチュワーデスさんは、真っ青なワンピースに
赤と白のストライプかなんかのスカーフをしていた。ほっそりした身体がより
細く見えるような、シンプルなデザインだ。

 さて、いくつかまだ空席があるが、すでに乗客は全員乗り込んだらしい。
 ふと気づくと、スチュワーデスさんはわたしのすぐ側で両足を開いて仁王立
ちになり、サッ、サッと通路の後方に向かって手旗信号のように腕をふってい
た。
 一瞬ぎょっとしたが、ああ、後ろにもスチュワーデスさんがいて、合図を送
りあっているんだろうな、と想像する。

 安全確認が終わったのだろうか、スチュワーデスさんは薄いドア1枚くらい
しか隔たりがないであろうコックピット側をふりかえると、壁と壁のすき間に
収納されていた自分が座る座席を引っ張りだした。
 おおっ、何てコンパクト。
 さすが小さな機体、ムダなく造られている。

 そしてスチュワーデスさんは通路の真正面にセッティングされた座席に、客
席側を向いて座った。

 そして時刻は6時。機体は滑走路を走りはじめた。
 小さな機体のせいか、すごく速度を感じる――っていうか、おい、プロペラ
がパラパラ回る音が聞こえるぞ! そういうもんなのかっ!?

 たいした距離も走っていないのに、あっという間に機体はぴゅんって感じで
宙に浮いた。
 ひー、いつもと違って何だか気持ちわる〜〜

 機体は左に大きく旋回した。左下に夕暮れのバンコクの町が見下ろせる。

 濃い緑の町の中に、白い建物が目立つ。タイならではの派手な色のお寺が、
いくつか見えた。

 窓の外を水滴が流れた。雲の中に入るんだな、とわかる。

 雲は厚くなく、ところどころの切れ間からバンコクの町を眺めることができ
た。

 離陸と同じく、あっという間に水平飛行に移る。
 すると、背後から何かが忍び寄る気配がした。何だろう、と思ったら、なん
と機内食のサービスだった。

 うっそー、たった50分しか飛んでないのに、機内食が出るのー? しかも、
こんな狭い機内で。

 しかし、ちゃんと機内食は出るのであった。しかもカートでサービスされる。
本格的。

 まず最初に、おしぼりが配られた(よくお弁当とかに入っているアルミ個包
装のものではあったが)。

 んで次に機内食。ロースト・チキンみたいなのにサラダ、パン、デザートに
はパイナップルとパパイヤ。
 量は多くないが、透明なブルーノプラスチック製ナイフとフォーク、スプー
ンもついていて、ちゃんとした機内食である。

 すごい。まさかこんな小さな飛行機で機内食が出るとは思わなかった。

 最後にまともな食事をしたのは、JALの機内で食べた昼食で、すでに7時
間以上たっている。お腹が空いていたので全部食べてしまった。味の方も、ど
の料理もくせがなくおいしかった。

 食後にはあたたかいコーヒーも出た。わたしは飲まなかったが、マダムに聞
くと「パリで飲んだコーヒーみたい」とのことだった。
 ということは、めちゃくちゃ濃いのであろう。

 おなかいっぱいでああ、満足〜と思っていたら、足元でゴッと音がした。ス
チュワーデスさんが何か落としたらしい。

 何気に見たら、それはカップに入ったアイスクリームであった。
 おおおっ、まだ食わせるんかい、バンコク・エアウェイズっ!

 そしてまた食ってしまうのが貧乏人である。
 どこの国製造かは知らないが、「Wall's」というメーカー製のチョコレート
アイスだった。
 たぶん、ちゃんとしたアイスクリーム(つまり乳脂肪分率の高いアイス)
だったのだろう。日本で食べているのと全然かわりない味だった。

 とまあ、食事に関してはまったく文句なしだったのだが、後ろの席のおっ
ちゃん連がうるさい。ちっちっちっと音を出して歯をせせったり、大きな音で
ゲップをしたり。
 うう、同じ日本人には思われたくないよう(T_T)。

 窓の外はどんどん暗くなる。
 バンコクから見てシェムリアップはほぼ真東になるので、飛行機は夜に向
かって飛んでいるのと同じになる。日が一気に暮れていく感じだ。

 プロペラ機とはいえ、気流が安定していれば、まるで滑らかなアスファルト
の路面を走るリムジンのようにほとんど揺れがない。
 ただ、機体自身の細かな振動がダイレクトに身体に伝わるので、声がふるえ
る(笑)。漫才みたいだ。

 真下はジャングルらしい。カンボジアに近づくにつれ、厚い白い雲が眼下を
流れていくのが見える。

 いつの間にか、外はすっかり夜になった。真っ暗で何も見えない。

 6時53分。耳が痛いな、と思った。だいぶ高度が下がってきたのかな?
 6時55分にはスチュワーデスさんがさっきと同じ要領で座席に着いた。す
ると、機内の照明が落ちて暗くなり、音楽が流れ始める。

 空港がもうだいぶ近いんだろうな、と思ったのだが、外にはやはり何も見え
ない。
 だけど、翼のプロペラが光を受けながら回る姿が見えた。

 そして6時57分、着陸。耳が痛いな、と思ってからわずか4分しかたって
いない。あっさりしたものである。
 離陸はぴゅんって感じだったが、着陸もすうっ、ってな感じだった。

 初のプロペラ機体験は、食べてばっかりで(笑)怖がる間もないうちに終
わってしまったな。

 さあ、次はいよいよカンボジア入国である。

                                おわり

※今回のカンボジアMEMOはお休みです。

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■ 編集後記

 はい、今回はバンコク・エアウェイズ搭乗リポートでした。

 まさか、たった50分ほどのフライトで機内食が出るとは思いませんでした。
 国際線というのは、どんなに短くても食事を出すものなんでしょうかね?

 そうそう、前回カンボジアのEDカードは機内で書いてもいい、というよう
な話をしましたが、食事をしているとEDカードを書く時間があまりないかも
しれません。

 読者の方から「機内で書いたけど大変だった」というメールをいただきまし
て、確かに、あれだけ食べたり飲んだりしていたら、EDカードなんて書いて
いられなかったかもな?、と思い直しました。

 空港で書けば、何枚書き損じても、EDカードはもらいたい放題もらえるの
で、何度も書き直せますしね(カウンターに平積みされていて自由に持ってい
ける)。

 それではまた次号でお会いしましょう。

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