●:=: Angkor 5 days :=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=:=○
ア ン コ ー ル 5 日 間 ★ 徒 然 日 記
第18号 3日目の4――カンボジアのゴムの木とは?
/タ・ソム の巻
発行責任者 ちはる
2001.10.11 発行
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§--< Attention! >-------------------------------------------------§
▼この日記は、ちはるが実際にアンコール・ワットのある町、シェムリアッ
プでつけていた日記をもとに、加筆、修正、再構成したものです。
▼もしかしたら文中に、不適当な発言、あるいは間違った記述があるかもし
れません。その場合はどうぞ容赦なくご指摘ください。ただし、旅の折々
で胸の内に生じた感情については、あえてそのまま書いている場合もあり
ます。どうぞご了承ください。
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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥《アンコール遺跡群周辺図》‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
北
↑
┼ 今回の進路→→→→┐
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|┌―――――――★―… ★ ||★タ・ソム
北大門→ ★ プリア・カン ニャック ||
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■ || ■ \\
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■バプオン |┌――┐┌―――――┐| ||
■象のテラス|| || ■ |└―┐ ||
■など || || ■ └―┐| ||
■ ┌┘└┐ || ■ || |└―…
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■ └┐┌┘ ■ || ||
■ バイヨン|| ■ || ||
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■ || ■ └―――――┐┌―――――┘
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南大門→ ★ ||
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←空港へ ||■■■■■■||
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||↓シェムリアップへ
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※ 縮尺は適当です。どーみてもアンコールトムが大きすぎる・・・
※ ■は環濠を意味しています。
※ ◎はアンコール・ワットです。
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《2001年5月29日−4》
■ タ・ソム[Ta Som]―― 第一周壁
9時39分頃にニャック・ポアンを出発し、やはり5〜6分程度で次のタ・
ソムに到着。
ここもアンコール・トムと同じジャヤヴァルマン7世によって建てられた遺
跡。今日はまだジャヤヴァルマン7世が建てた遺跡しか見てないな。
タ・ソムも東向き建てられた遺跡だったはずだが、車はタ・ソムの西側に着
いた。車を降りると第一周壁の西塔門が見える。
西塔門の上にはアンコール・トムの南北大門のように観音の四面尊像がのっ
ていた。へえ、ここにも。
Kさんが、「昨日レストランで伝統舞踊を見たステージの背景に描かれてい
たのが、この四面尊像」というようなことを言った。
ふうん、そうだったのか。客席からはステージが遠くて、あまりよく見えな
かったから憶えてないけど。近くで見ておけばよかった。
また、アンコール・トム南北大門は、くぐりぬける開口部上部の迫り出し
アーチ部分が、こんな↓
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ふうにとがっていて、なおかつかなり高さがあったのに対して、タ・ソムは、
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というふうに水平になるよう作られていて、高さはあまりなかった。
アンコール・トムの門は象が通れなきゃ困るけど、タ・ソムはその必要がな
いとか、そういう用途の違いかな?
しかしこの西塔門、かなり崩壊が進んでいた。
門のこの水平な部分は1本の長い石でできていて、その石は「まぐさ石」と
↓
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呼ばれるの出そうだが、そのまぐさ石がふたつにぱっきり折れてしまっているの
だ。どうもその上にのる四面尊像などの石の重みに負けてしまった結果らしい。
まぐさ石が折れれば当然門全体のバランスが崩れる。というわけで、西塔門は
北に向かって傾いていた。
しかも、四面尊像を構成する石もその石組みがかなりゆるんでいて、あちらこ
ちらに大きなすき間があいてしまっている。
一応、これ以上西塔門が傾くのをふせぐために、門の内側に木枠を作って支え
たり、外側からは材木でつっかえ棒をして補強されているが、これじゃあそのう
ち間違いなく崩壊しそうだ。
なんとかならないものだろうか? とは思うが、修復にかかる労力や技術など
を考えると、どうにもしようがないようだった。
その西塔門をくぐって第一周壁内に入る。
まずは木がまばらに立つ広場。右側を見ると建物があり、そしてなぜかバレー
ボールのコートもある。
Kさんに聞くと、あの建物は警察の事務所なのだそう。
アンコール遺跡群全体では、レリーフなどの盗難を防ぐために、こうして遺跡
の近くや中に警察事務所を置き、24時間態勢で見張っているのだそうな。
また、警官は家族連れで事務所に住んでいるとのこと。
ここで暮らしている警官たちの娯楽のために、このバレーボールのコートは整
備されているという話だった。ふーん、なるほどね。
暮らしている警官の家族が飼っているのだろうか、ニワトリの親子や数匹の犬
がバレーボールのコートを駆けまわっていた。
気の強い(?)ニワトリが犬に喧嘩を売っており、犬とニワトリがけたたまし
く追いかけっこしている。
洗濯物なども干されていて、生活臭ただよう遺跡である。
そしてこの遺跡にも土産物を売る子どもたちがいた。
他の遺跡では、遺跡の中では物売りはしない、という不文律があるのか、見学
中に物売りの子どもにじゃまをされることはなかったのだが、タ・ソムにはその
きまりはなかったらしい。
遺跡内で見学中にもがんがん「スカーフ、スカーフ」と言ってクロマーなどを
売りに来る。
勘弁してくれー。
そっちも生活かかっているのだろうけど、どうせなら楽しく観光した後に気分
よく買い物もさせてくれ。これじゃずーっと嫌な気分になるだけだよ。
しかしこの物売り、誰に対してもやっているわけではないらしい。
実際この時、わたしたちとほぼ同じペースで白人女性がタ・ソム内を見学して
いたのだが、この女性が物売りの子どもにまとわりつかれることはなかった。
また、同じ日本人でもまとわりつかれたのはマダムのみ。すべての表情を消し
てまったく物を買う意思がないことを示していたわたしには、子どもたちはほと
んど寄ってこなかった。
日本人の年配の女性は(言い方が悪いが)狙われやすいのかな?
いずれにせよ、話しかけられるだけでわたしなどは神経が磨り減る思いをさせ
られるので、これはなかなか苦行だった。
?
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■ タ・ソム ―― 第二周壁
話をタ・ソムに戻して、次は第二周壁内へ。
第二周壁の西門近くには、さまざまなデヴァター像があった。
メモを見ると、
・長い髪を手に持ったデヴァター
・大きなイヤリングを支え持つデヴァター
・手に持った木の枝にリスがいるデヴァター
などが書き残されている。
別の場所では手鏡に顔をうつすデヴァターなどもあったので、ていねいに見て
いけば、もっといろいろな種類のデヴァターがいたのだと思う。
しかし、哀しいかな? タ・ソムは修復しているんだけど、崩壊のスピードが
速い。
デヴァター像も多くは石組みのゆがみのせいで、割れたりずれたりしていた。
祠堂の中に入ると、今度は各房に土砂が堆積していた。そのせいか、この遺跡
の中は乾いた土の色をしている。
天上が崩れて土やがれきが積もったのか? ――と思ったら、なんとこの土砂
の正体は蟻塚。
ええっ、蟻塚ってこんななの? 初めて見た。
部屋によっては、天上までのびた蟻塚に部屋を目いっぱいに占拠されたところ
もある。
Kさんが、「蟻塚も遺跡を壊していく原因のひとつ」と言っていたが、これを
見ると確かにそうだなあ、とうなずいてしまった。
蟻塚ではなく、本当にがれきで房内が埋め尽くされた部屋もある。50cm角
くらいの巨大な石柱が、ばたばたと倒れて折り重なっている。
さすがに危険なのか、この時は建物内には入らず、わたしたちは第一周壁の東
塔門に向かった。
途中、道の左右にはやはり木が多かったのだが、そのうちの1本を指してKさ
んが「これはゴムの木」という。
ゴムの木といえば、つるつるした濃緑の大きな葉っぱがなる鉢植えの観葉樹、
くらいのイメージしかわたしはないが、この時見たゴムの木は大きかった。幹
だって直径30cmくらいある。
そしてその幹の表面がすごい。大きなトゲのようなでっぱりが、一面にごつご
つと生えているのだ。パイナップルの表面を、もっと固く凶悪にしたような感じ
である。
そして、昨日アンコール・ワットの第一回廊南面東側で見た「天国と地獄」の
レリーフの中に出てきたゴムの木が、これと同じ木だとKさんが言う。
ああ、あのゴムの木をのぼる拷問に使われるのがこれなのか。
昨日レリーフを見た時は、なんでゴムの木をのぼるのが拷問なんだ? と思っ
たが、なるほど、この木をのぼるんじゃあ立派な拷問だ。
でもこの木、表面はトゲトゲしていていたそうなのだが、中はやわらかいとの
こと。つくづく見た目じゃ物の本質はわからない。
東塔門に着いて、第一周壁外に出てみる。
すると、ここの門もプリア・カンの東門のようにスポアンの木の根がびっちり
とはびこっていた。
もう、石と木が完全に一体となり、それでひとつの正しい物体のようだ。
東塔門より向こうは、ひたすらジャングルだった。
四方から絶え間なく鳥の鳴き声が聞こえてくる。
背後の巨木と一体化した石の門といい、ああ、遺跡だなあ、という感じがすご
くする場所だった。
東塔門から西塔門へ引き返す。
その途中、どこかの建物で敷石をとっぱらって、その下の土を掘り返している
人たちがいた。
聞くと、遺跡の下に張り出した木の根を掘り起こして切っているのだという。
木の根を放っておくと、やがて遺跡をもちあげて崩壊させてしまうのだそうな。
んー、ショベルカーで一気にがががががっとできるものでもないしなあ。こう
やって人の手で地道にやっていくしかないのか。大変だな。
付近には、レリーフが刻まれた明るい茶色の石が積まれている。これは土の中
から掘り返した石だそう。
地中に埋もれてしまっている遺跡部分もあるのか。ますます修復大変だな。
入らないのか、と思っていた建物内には結局入った。
こんなに石が崩れているところ、入っていいんだろうか、と思ったが、Kさん
はふつうに入っていった。当然わたちたちも後をついていく。するとお線香が供
えられているところがあった。
こんなに崩れていても、ここは現役の寺院なのだな。
通路の角には、かつては屋根の飾りだったらしい仏像が、無造作に集めて置か
れているところがあった。うーむ、こんなに不用心じゃあ、盗んでいきたくなる
人もいるかも。
その通路を抜けると中庭のようなところに出た。中庭といってもこれから組み
上げる予定の石が積まれていて、ほとんど人が歩くところはなかったような。
その積んだ石の向こうから、石をたたく槌の音がする。実際の作業風景は見た
記憶がないが、音からその様子を想像した。
この作業現場の石の上に、「濡れても消えない ハイビスカス マルチチョー
ク」と日本語で書かれたチョークの箱が置かれていた。
日本もちょっと役に立っているんだな、って思った。
おわり
?
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■ 編集後記
はい、タ・ソムのリポートでした。
ここはプリヤ・カンと同じで、西から入るし東門はスポアンの木でからめと
られているしなので、記憶の中ではふたつの遺跡がごっちゃになっていました。
今回リポートを書いて、あらためて記憶の整理をしました。たくさん同じよ
うなものを見てきた時って、こういう作業、必要ですね。
それにしても、ここは物売りのセールス攻撃がすごかった。メモにもたびた
び「勘弁してくれ〜」という悲鳴が書き込まれています(笑)。
もうちょっと心穏やかに、ゆっくりと見学したかったです。
それではまた次号でお会いしましょう。
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