『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月7日(水)記


 
第1号


1日目の1――出発っ! はじめてのおつかい、ならぬ
                      はじめての海外ひとり旅の巻

1999年8月25日(水)発行

 

■ 出発


 8時起床。テレビをつけてNHKを見たら、天気予報をやっていた。
 なんでも高気圧の勢力が強いとかで、日本列島にも韓半島にも雲ひとつかかっていない衛星写真が画面に映し出されていた。東京では七夕に当たるこの日にしては珍しく、大快晴のようだ。
 ソウルへの足に日程の変更ができない格安航空券を使うため、もし今日台風が来て飛行機が飛ばなかったらどうしよう、なんて心配していたのがばかばかしく思えるほどの好天気である。

 しかし、わたしは今日が1999年の7の月の、よりによって7の日、しかも仏滅であることも忘れてはいない。まあ、気にしても仕方ないけど。

 9時20分自宅出発。外に出たら、すでにムチャクチャ暑い。夏だなあ、と思う。南西の空を見上げたら、まだ白い月が出ていた。

 駅に向かう途中、コンビニでパスポートのコピーをとる。
 何しろ今回は初の海外ひとり旅。そこはかとなく不安である。
 もしもの時のことを考えて、できるかぎり準備万端整える。よって今回は珍しく、パスポート再発行用の写真なども用意してしまった。まあ、役に立たないのが一番いいんだけど。

 駅に着いて電車に乗る。車内はほぼがらがら。当然か、この時間じゃ。

 11時ほぼジャスト、成田空港第2ターミナル到着。出発ロビーに人影はまばらだった。こんなに空いている成田空港は久しぶりだ。

 とりあえずスーツケースが邪魔なので、ちゃっちゃとチェックインする。今回利用するアシアナ航空は、ANAのカウンター内にあった。出発までまだ2時間半くらいあるのに、すでにけっこう人が並んでいる。どうも韓国人ビジネスマンの一行のようだ。何やらもめていて、なかなかわたしの順番がまわってこない。
 困ったな、と思っていたら、ビジネスクラスの受付カウンターの人が、「こちらでどうぞ」と言って手続きしてくれた。
 すわっ、もしや、と思ったが、手渡されたのはがっちりエコノミーのチケットだった(笑)。
※Attention! 前回の上海旅行では、ちはるは偶然にもJALのビジネスクラスのチケットをGetしたのです。詳細はこちらにてどうぞ)

 

 まあ、格安航空券で期待する方が無理か。
 やっぱり2匹目のどじょうをつかまえるのは、なかなか難しいようである。

 ひとりなんだから、なんでも余裕を持って行動しよう、と心がけ、かなりまだ時間が早いけど出国審査を済ませることにする。混んでるかな? と思ったのだが、全然がらがらだった。受付窓口自体が3つくらいしか開いてなくて、しかもそれぞれに2、3人しか人が並んでいない。空いてる時間なんだなあ、と驚く。

 出国審査を終えてロビーに出ると、人(客)があんまりにもいないせいか、免税店の従業員が呼び込みをしている。アメ横かい、ここは。
 それを横目で眺めつつ、あとで迷わないように自分が乗るゲートの位置を確認し、暇つぶしにカフェへ。ここの店内もほとんど客がいなかった。そんじゃあ長居をしても大丈夫だろう、と腰を据え、ハングル(韓国語ではない。あくまで文字のこと)の暗記にいそしむ。

 時々ふっと窓の外の駐機中の飛行機を眺める。
 ああ、これから本当にひとりで外国に行くんだなあ、と自分に無理矢理思わせるのだが、どうもいまひとつ気分が盛り上がらない。ちょっと仕事で国内出張するのとあまり変わらない感じ。向こうに着いたらあれをしよう、これをしよう、と話をする連れがいないとこんなものなのかな?

 カフェの中も、いまやわたし以外に客はおらず、他の店の従業員が休憩しているのみ。うう、すっごくひまな地方空港にいるみたいだ。空気がすんごくのんびりしている。

 12時50分。さすがに勉強にもあきて、ゲートへ向かう。途中、大きな窓からこれから乗るらしい飛行機の機体が見える。上半分がグレーで下半分が白。尾翼に赤・黄・青・白の4色のラインが入っている。ああ、あれがアシアナの飛行機なんだ。初めて知った。
 


これがアシアナの機体。なぜかフィルムが感光してしまった。

 

 ゲートに着く頃にはすでに搭乗が始まっていた。機内に入ると出迎えてくれるスチュワーデスさんが「2階へどうぞ」と日本語で言ってくれる。2階席かあ。初めてだ。
 そして階段をのぼって2階に着いてびっくり。シートが通路をはさんで左右に2列ずつのビジネスだ。まさか、と思って搭乗券を見なおしたが、どう見てもやっぱりエコノミーって書いてある。なんだろ? スチュワーデスさんが間違えたのかな。

 階下に降りてもう一度確認したが、やはり「2階です」と言われる。そこでようやっと、シートはビジネス、サービスはエコノミーなんだな、ということに気づく。
 なーんだ。2匹目のどじょうは半分だけGetってことか(笑)。

 それでもシートは広くて快適。窓側なので眺めもよさそうだ。新聞も2階席用に用意されているので、選び放題、取り放題である。スチュワーデスさんは日本語が通じるし。初めてひとりで乗る国際線も、これで一安心である。

 ほっと一息ついて新聞を読んでいたら、隣に韓国人の若い女性が座った。そして、通路をはさんで斜め後の人としきりに話している。なんか言い争っているような口調だ。

 他人様(ひとさま)のことに首をつっこんでは悪いよな、と思って特に気にしないようにしていたのだが、やがてスチュワーデスさんがわたしに話しかけてきた。韓国語で話しかけられたので、「ごめんなさい、わからないです」と日本語で言うと、こちらが韓国語がわからないことに気づいてくれたらしい。
 しかし、このスチュワーデスさんは日本語が話せないらしく、ああ、とうなずきながらも「えーと、なんて言えばいいのかしら?」という風に困った顔をし、そして苦笑しながら「もう、あなたのせいよ」とでも言いたげに、隣の席の若い女性の肩を軽く叩く。

 初対面であろう乗客と乗員なのに、親しげだなー、と思いつつ見ていたら、その斜め後にいる若い女性と話をしていた人が目に入った。どうやら女性の母親くらいの年令の人で、こちらのやりとりを何やら期待している目で見ている。
 あ、なるほど。このふたりは母娘で、わたしに席を替わってほしいのか。

 事情がのみこめたので、OK、OKと笑いながら席を立つと、若い女性もその母親も、うれしそうに笑いながら日本語で「ありがとう」とわたしに言ってくれた。
 「ありがとう」かあ。 

 彼女たちの口からすっと自然に出てきた「ありがとう」という言葉に、なんとなくうれしくなってしまった。
 そっか。そうだよな。わたしもこれから韓国に行くんだから、彼女たちと同じように、何かあったらその国の言葉でお礼を言わなきゃいけないんだよな。

 1時30分。予定通り飛行機が動きはじめる。安全案内のビデオは韓国語と日本語の両方で流れる。こりゃあいい。中国国際航空だと、中国語だけなんだよね(いや、英語もあったか?)。

 何の問題もなく飛行機は離陸。静岡上空で富士山が見えた。韓国には日本上空を突っ切って行くわけか。

 しばらくしてすぐに食事が出てきた。何しろ行きは1時間45分くらいしか飛行時間がないから、別途ドリンク・サービスの時間を設ける余裕はないらしい。うっかりしてたらソウルに着いちゃうもんね。

 ちなみにメニューはメインがうな丼でそれに野菜が添えられている。その他はそうめん、パン、紫キャベツのサラダ。うなぎは世界各国で食べられているものだから何とも言えないけど、そうめんがあるあたり、一応日式なのかな? (わさびもついてたし)

 トレイの中に何かのペーストが入ったチューブを発見。何だろう、パンに塗るバターかな? と思って見たら、「KOREAN RED PEPPER PASTE」と書いてあった。
 RED PEPPER PASTE(赤唐辛子の練り物)!?
 どんな食べ物じゃい、そりゃ。いくら韓国とはいえ、強烈すぎるのではなかろうか?

 興味深々ではあったが、ここで匂いを嗅いだりして調べるわけにもいかないので、こっそりバッグにしまい、後でゆっくり試すことにする。
 だがこのレッド・ペッパー・ペースト。その後ひまな時によく見てみたら、ハングルで「コチュジャン」と書いてあった。
 なんだ、ただのコチュジャン(日本語でいうところの唐辛子味噌)だったのか。ということは、これは本当は紫キャベツのサラダにつけて食べることを想定してついてたんだろうか?

 あまり食欲がなかったので、サラダとそうめんは手を付けずに残してしまったら、隣の席の韓国人の男性に、「サラダもらってもいいですか?」と日本語で話しかけられた。全然かまわなかったので、どうぞ、と差し出す。
 ちょっとだけ話をしたが、漆塗りのお仕事をしているらしく、仕事で日本に来ていたらしい。なるほど、韓国にも漆塗りの職人さんがいるわけか。 

 「ソウルではどこにいくの?」と訊かれたが、とっさには地名が出てこなくて、ついうっかり「いろいろ」なんぞと答えてしまった。
 惜しい。ここで地名が出てくれば、話も弾んだろうに。もったいないことをしてしまった。 

 その後、本を読んだりうとうとしているうちに、あっという間にキンポ[金浦:Kimpo]空港到着。
 うおー、すっげー、青い機体だらけ。大韓航空ばっかりだ(韓国なんだから不思議じゃないって)。
 アシアナの白とグレーの機体は、雲と空とアスファルトの風景になじんでしまっていて、あまり目立たなかった。 

 機体が停止し、せっかちな乗客たちが次々と立ち上がる。わたしは人の列が動き出すのを待ってから席を立った。
 さあ、これから韓国初上陸だ。

                               おわり

 

 今回の韓国語  

カムサハムニダ[ありがとう]


 よく、韓国語の会話帳には「カムサハムニダ」と書いてありますが、わたしが現地や韓国映画の中で聞き取った限りでは、「ハ」はほとんど聞こえなくて、「カムサムニダ」と聞こえました。「サ:sa」と「ハ:ha」で同じ母音が続くところなので、早くしゃべると「h」の音が落ちるのかな? なーんて勝手に想像してましたけど。ホンマかいな。

 ちなみに中国語では「謝謝」[Xiexie:シェシェ]です。有名ですね(^ ^)。 

※このコーナーは不定期です。
※また、このコーナーではちはるが実際に使った韓国語、あるいは韓国語の知識のみを掲載します。なので、非常にレベルは低いです(笑)。間違っても自分の韓国語学習に役立てようなどとは考えないでください(笑)。

 

 今回のおこづかい帳  


 交通費:990円(都内自宅→成田空港第2ターミナル)
 コピー: 10円 カフェ:451円
消しゴム:100円

今回の小計: 1,551円
支払い総計:34,591円(格安航空券&空港使用税33,040円含む)

 

 編集後記 


 今回は主にアシアナ航空リポートでしたね。いかがでしたでしょうか?

 実は、なぜ今回アシアナ航空だったかというと、チケットを買う時に、アシアナしか空席がなかったからなんです(^ ^;)。

 ほんとは、午前の早い時間帯に出発できて、午後の遅い時間に帰国便が出るJASで行こうと考えていたんですが、いざチケットを予約しようと格安航空券屋さんに電話したら「満席です」とのこと。

 4日前に電話した時には、まだまだ空きがあるって言ってたじゃんっ! なのにどーしてっ!? と訊ねたら、出発の1か月前になると、格安ツアーを提供している旅行会社が格安航空券を買い占めてしまうようなんですね。

 確かにわたしが空席の確認をしたのは出発予定日の1か月ちょっと前。で、実際に予約のために電話した日は、出発予定日まで1か月をわずかにきっていたんです。
 やられたー、と思わず気力が尽きて電話の前で突っ伏してしまいましたね。あの時は(笑)。

 それでも、格安航空券のキャンセルは、チケットを取り扱っている会社によって無料でキャンセルできる期間が違うので(2週間から1か月くらいの幅があるらしいです)、2週間前くらいになったらまた空席ができるかもしれないから、キャンセル待ちをかけてみたらどうですか? とチケット屋さんが親切にも教えてくれたのですが、それでもしチケットが手に入らなかったら恐いので(すでにホテルは予約していたし)、キャンセル待ちはしませんでした。

 その後はもう、ありとあらゆる旅行会社に電話しまくりです。そしてさらに実をいうと、当初、旅行は7月7日から12日までの6日間を予定していたのですが、12日の帰りのチケットがどうしても手に入らないので(月曜日だからビジネス客が多いらしい)、1日日程をのばして帰国を13日にし、ようやく往復の格安航空券が手配できたのでした。

 そう、だからこのハプニングさえなければ、このメールマガジンのタイトルは、『ソウル6日間★徒然日記』だったんです。わたしもソウルへの旅行を考え始めたばかりの頃は、そうなると信じて疑わなかったし。

 日数が同じだから、前メールマガジンと統一感があっていいなー、なんてひとりで思っていたんですけどねえ。人生、何があるかわからないです(笑)。

 それにしても、いやー、本当にチケットの手配は大変でした。ちょっと電話すれば航空券の予約なんてすぐ終わるだろうと思って、オフィスの自分のデスクの電話からかけたのですが、結局延々30分近くに渡って成田―ソウル往復航空券を探す電話をかけまくっていましたからね。黙認してくれるどころか心配してくれた同僚・上司のみなさま、ありがとうございました。

 でも、苦労して手にいれたかいあって、アシアナの機内サービスは快適でした。スチュワーデスさんはみんなきれいだし、日本語でていねいに応対してくれるし。

 今のところ、アシアナの成田―ソウルは日に1便しかないようなのですが、成田午前出発、ソウル午後出発の便もできると、日本人観光客には便利でよいのですけどね。いずれできるといいな。

 ちょっと初回から長くなりました。それでは今回はこのへんで。
 ではまた次号でお会いしましょう。

 


1日目の1――出発っ! はじめてのおつかい、ならぬ
                    はじめての海外ひとり旅の巻

1日目の2――何ごとっ!? 地下鉄車内で大演説! の巻

1日目の3――DDRでブチ切レ?/初めて見たソウルの巻

1日目の4――やっぱ夏はこれでしょう♪/韓国産ビールの巻

1日目の5――伝統茶院でくつろぎの一服の巻

1日目の6――そりゃあ早すぎるんでないかい?/ソウルで映画を の巻

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