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第14号 | |
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2日目の8――韓国料理が目白押し/白花酒幕の巻 | |
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■ 白花酒幕[ペクファ・ジュマク:Pekhwa‐jumak] | |
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続けて「今夜何か食べたいものありますか?」と訊かれたので、日本で食べたことのなかった石焼きビビンバを食べたい、とわたしが答えたあたりでユンさんのケータイ(携帯電話)が鳴った。 そしてしばらくの後に電話をきると、やはり何やら困った顔をしている。 ええっ? ユンさんの友達が? わたしに? なんで? とは思ったが、ユンさん以外の韓国人とゆっくり話しができる絶好のチャンス[chance]である。これは逃しちゃならんだろう。 というわけで、「わたしはいいですよ」とほぼ即座に答えたのだが、なぜかユンさんはちょっと浮かない顔。 だから、「日本語と韓国語を通訳するの、面倒くさいんでしょう」とわたしが訊ねると、案の定ユンさんは「うん、そう」と苦笑いした。うーん、そうだよねえ。 「私の中学生(だったと思う)の時からの友達で、日本に1度行ったことはあるんですが、日本語は全然わからなくて、英語もだめで・・・」とこれからやって来るお友達のことを、道すがらユンさんが説明してくれる。 ふうん、不況かあ。 そしてユンさんはチョンノの通りを向こう(東)側に渡り、居酒屋のような所があるから、そこへ行きましょうとお店を探しはじめる。ここいらへんも、いわゆる繁華街というやつで、カジュアルな(気軽な)店が多く、店の中も通りもたくさんの人たちでにぎわっている。 しかししばらくしてユンさんは、あれ? という感じで立ち止まってしまった。以前このあたりにあったはずの探していたお店が、なくなってしまったそうなのだ。 「同じ店がもう一軒、向こうの方にもありますから」とユンさんが連れて来てくれたのは、ソウルに到着した初日にわたしが見た、チョンノ沿いのタワー・レコード[TOWER RECORD]のすぐ近くだった。 「酒幕」か。中国なら「酒家」とか「酒店」だけど、韓国では「幕」になるんだ。 店は地下にあるので、ケータイがつながらなくなっちゃうから、その前にユンさんのお友達に連絡してから地下に降りる。 ただ、日本の居酒屋と違って、店内は静かだった。 店員さんがメニューを持って来てくれる。が、中は全部韓国語の表記のみだった。まあ、「つぼ八」だって普通の店じゃ英語表記はないわな。 「何を飲みますか?」と訊かれたので、「じゃあ、ビールを」と答えると、ユンさんは店員さんに「メクチュ×××」(×は聞き取れなかった)と注文している。 ちなみに中国では、ビールを「[口卑]酒」(ピージォウ)という。 先にビールが来たので乾杯をする。お通しに、ざくざく切ったキャベツと、それにつける「もろみ味噌」みたいなのが出てきた。 「でも、日本でも安売りの店で買えば、同じくらいでしょう」とユンさんが言う。 よく知ってるね、と驚かれたが、わたしは大学を卒業したあと家を出て、初めてひとり暮しの居を構えたのが、葛西のひとつ隣の駅になる西葛西だったのだ。 わたしが西葛西に住んでいた、という話をしたので思い出したのか、ユンさんが「私も西葛西のダイエーにはよく買い物に行っていたんですよ」、なんて話をはじめる。 そんな話をしているうちに、やがて料理がテーブルに運ばれてきた。大きなお皿に盛られた料理と、大きな鉢(どんぶりではなかった)に入った麺である。 お皿に盛られた料理の方は、茄子みたいな野菜や白身の魚をスライス(薄切り)したものに、淡い黄色の衣がついていた。 料理の名前は教えてもらったはずなのだけれど、忘れてしまったので日本に帰ってから調べてみた。そしたらすぐに見つかった。どうやら韓国では一般的な料理らしい。 この料理、というか、料理法の名前は「ジョン」。漢字では「煎」と書く。薄く切った材料に小麦粉や卵をつけ、軽く押しつけるようにして焼くのだそうな。焦げ色をつけず、じっくり火を通しながら焼くのが特徴、と本に書いてあった。 しかし辞書を引くと、ジョンは「小麦粉の衣をつけた材料をフライにした料理の総称」となっているので、実際にはいろいろなジョンと呼ばれる料理があるのだと思う(えごまの葉[トゥルケニ(プ)]を日本のてんぷらみたく揚げたものは「トゥルケニ(プ)ジョン」、ねぎ[パ]がたくさん入ったお好焼きみたいなのは「パジョン」)。 わたしが食べたのは、小麦粉をまぶした材料に卵をつけて焼いたタイプで、日本風に言うと「卵のつけ焼き」、西洋風に言うと「ピカタ」に相当する。 わたしが食べたタイプのジョンの代表的な材料は、白身の魚のたら(鱈)、しいたけ、ズッキーニ[zucchini]の3つ。 確かにわたしが食べたのも、白身の魚とズッキーニ(茄子かと思ってた)のジョンだったと思う(その他にもいろいろあった)。 大鉢の麺料理の方は、とうがらしの真っ赤な冷たいスープの中に、白く細い麺と、野沢菜のような葉が大きくて茎の太い、鮮やかな緑色の青菜が入っている。 味の方は、冷たいスープがさっぱりしていて、後からカーッと辛さがきいてくる。うーん、夏向きの料理(^
^)。 これらの料理を味わいつつ、ユンさんのお友達が来るまで、わたしたちはおしゃべりを楽しんだのであった。 おわり
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■ 今回のMEMO ■ | |
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◆ジョン[煎]の作り方 | |
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●材料(3〜4人分) <薬味じょうゆ>
●作り方
参考文献: ・『とっておきの韓国・朝鮮料理』
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■ 今回のおこづかい帳 ■ | |
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●今回の小計:W0 (※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)
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■ 編集後記 ■ | |
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それでは、また次号でお会いしましょう。
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2日目の1――貧乏人は今回の旅行でも歩いてます/ | ||||||
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2日目の2――見どころ満載/国立中央博物館・前編の巻 | ||||||
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2日目の3――キムパで休憩/国立中央博物館・後編の巻 | ||||||
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2日目の4――いろいろ気付かぬにぶい自分を反省/クァンファムン前にて、の巻 | ||||||
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2日目の5――そこにはいまでも花が手向けられていた/キョンボックンの巻 | ||||||
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2日目の6――チャジャンミョンとはなんぞや?/ソウル、そぞろ歩きの巻 | ||||||
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2日目の7――本屋はパラダイス! Part2/本屋さんめぐりの巻 | ||||||
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2日目の8――韓国料理が目白押し/白花酒幕の巻 | ||||||
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2日目の9――白花酒幕で夜は更けて/日韓話題あれこれの巻 | ||||||
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2日目の10――オープン・カフェでパッビンスの巻 | ||||||
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