『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月9日(金)記


 
第17号


3日目の1――地下鉄2号線で大ショックの巻

1999年10月15日(金)発行

 

■ 発音

 
 朝、起きたらくもりだった。
 そういやあ、ユンさんと初めて会ったソウル到着初日から、明日こそは雨が降る、明日こそは雨が降る、というような話をしていたが、なかなか降らないな。いいんだか悪いんだか。

 さて、今日の予定は奉恩寺とハンガン[漢江:Hangang]遊覧船。あとは気の向くままである。
※Attention! ハンガン遊覧船は、諸般の事情により中止しました。また後で報告します)

 ルートとしては、地下鉄のチョンノサンガ[鍾路3街:Chongno‐3ga]駅から地下鉄3号線に乗ってウルチロ(ノ?)サンガ[乙支路3街:Ulchiro3ga]へ行って、そこで地下鉄2号線に乗り換えることにする。
 というわけで、まずチョンノ[鍾路:Chongno]を歩き、地下鉄駅を目指す。

 フェリー乗り場は地下鉄2号線のシンチョン[新川:Shinchon]駅に近い、とガイドブックに書いてあるので、そこまで切符を買う。W500(約54円)。
 料金表を見ると、キンポ[金浦:Kimp’o]空港は遠いので、チョンノサンガからだとW600(約65円)かかるけど、その他の市内への移動はほとんどW500でできるようだった。

 切符を手に入れ、電車に乗り、何の問題もなく乗り換え駅で降りる。2号線のホームもすぐに見つかり、「降りる駅はシンチョン、シンチョン」と心の中でつぶやきながら、さて、どっちに行くの電車に乗ればいいんだ? と方向案内を見る。すると、アルファベットで「シンチョン」とある。
 大雑把な案内にのっているくらいだから、大きな駅なのかな? と思いつつ電車に乗り込む。

 途中から席が空いたので座る。目的の駅まではけっこう距離があるはずなので、ゆっくりガイドブックでこれから行く奉恩寺の位置などを確認するか、と腰をすえたのだが、わたしが座ってまもなくして到着した駅で、乗客が全員電車から降りてしまった。
 あれれ? 大きな乗り換え駅なのかな?

 不安を抱えつつもひとりぽつんと車内に残っていたら、車内に入ってきた掃除のおばちゃんに「何とかーっ!」と大きな声で言われて、ひゃあ、と跳び上がった。
 言葉は通じなくても、この情況なら「降りろ」と言われていることくらいはわかる。
 あわてて電車から降りると、その直後にドアがぷしゅーと音をたてて閉まり、電車はさらにその先へと行ってしまった。この駅が終点の回送電車だったんだ。

 まだまだ先だと思って、まったく駅名を確認せずに電車に乗っていたけれど、ここはどこの駅なんだろう?
 駅名の看板を見ると、アルファベットで「Hongik UNIV」と書いてある。漢字はわからないけど、何とか大学か。

 ガイドブックを出して確認すると、チョンノサンガからわたしが行きたかった駅の途中には、ハニャンデ[漢陽大:Hanyang Univ]とコンデイック[建大入口:Konkuk Univ]という大学名を冠した駅が2つある。しかし、目の前の「Hongik Univ」はない。

 何なんだよ、いったいここどこなんだよ? と鉄道路線図を必死で見ていると・・・あった! わたしが行きたいのとは反対方向の地下鉄2号線の上にある、「シンチョン」の次の駅だ。駅名はホンデイック[弘大入口]となっている。
 ええっ? ちょっと待てよ。ひとつ前の駅が「シンチョン」っ!?

 ああ、やられたっ! とわたしはその場にへたり込みそうになった。

 やられたー、やられたー。
 くっそー、カタカナにやられたっ!
 おかけで反対方向の電車に乗っちゃったよー。

 実はカタカナで書くと、地下鉄2号線にはふたつの「シンチョン」駅がある。わたしが行きたかった「新川:Shinch’on」駅と、あともうひとつは観光地としても有名な「新村:Shinch’on」駅だ。

 一見すると同じだが、「新川」の方の「Shinch’on」の「o」には、本来は上にチェックマークみたいな記号が付く。だが、「新村」の方には付かない。
 ハングルで表記すれば、「新川」の方の「o」は「┤」、「新村」の方は「┴」になる。つまり、発音したら全然違う言葉なのだ。

 しかし、わたしのガイドブックのアルファベット表記は「┤」も「┴」も一緒くたにして「o」だった(もともと上にチェックマークがついた字がJISにないから・・・)。
 そしてカタカナも、両方とも「シンチョン」だった。
 さらにわたしは、「┤」と「┴」の発音の違いもきちんと認識していなかったから、「o」にチェックマークがついていようがいまいがあまり関係なく、おまけに即座にハングルを読めるほど習熟しないないわけで・・・

 うおー、もっときっちり発音もハングルも勉強してくるんだったー。

 ショックと敗北感をずっしり背中にせおいつつ、反対側のホームに入ってきた電車に乗り込む。
 初手からこんな調子で、わたし、ちゃんとソウル市内を観光できるんだろうか?
 ちょっと気力が萎えそうになる。

 

※Attention! というわけなので、みなさまもわたしのカタカナ&アルファベット表記にはご注意下さい)

  


  

 

■ 車内にて

 
 ホンデイックに入って来た電車はがらがらで、遠慮なく座る。
 今度こそは間違えるまい、と駅名の看板を確認しつつ車内で時を過ごす。
 しかし、やはりわずかな停車時間ではハングルを読み下せず、途中からわたしはハングルの「数」をかぞえる作戦に切り替えた。

 わたしは(あくまでも韓国語ではなく)ハングルを勉強してから知ったのだが、漢字1文字は必ずハングル1文字に対応するのだ。
 だから、チョンノ[鍾路]は[Chong‐no]でハングル2文字だし、キョンボックン[景福宮]は[Kyong‐bok‐kung]で3文字、キンポゴンハン[金浦空港]は[Kim‐p’o‐gong‐hang]で4文字になる。
 よく日本人で、「ハングルってようするにひらがなみたいなもんでしょ?」という人がいるが、この漢字との対応を考えると、わたしはひらがなとハングルは全然違うものだと思う。

 まあとにかくそんなわけで、読める時はハングルは読み、読めない時は数をかぞえ、ガイドブックの鉄道路線図と突き合わせながら、自分が目的の方向に向かっていることを逐一確認する。

 そしてソンス[聖水:Songsu]を過ぎた辺りだったろうか(ちょとあいまい)、電車は地上に出た。ああ、この路線ではハンガンの部分は地下でなく、地上に出て橋で渡るんだ。
※Attention! 空港からチョンノに行く地下鉄5号線も1回ハンガンを渡りますが、地上には出ませんでした)

 列車が駅に停まった時、練習のため、ビルの窓などに書いてあるハングルを読んでみる。
 「カンピュタ」・・・「コンピューター(computer)」のことか。
 コンピューター教室あたりをやっていそうな風情の窓だった。

 そんなふうに、ショックから立直って、ちょっと気分がのんびりとした時。
 またしても車内に、演説のように聞こえるドスのきいた男性の声が響き渡った!
 ひええ、またー?
※Attention! 詳しくは1日目の2をご覧ください)

 あれ、いったい何なんだろう? とても新聞売りとは思えない。第一、売りに歩いて来ないし、電車の連結部近くに突っ立ったまま、ずーっと大声でしゃべり続けているし・・・うーん、やっぱりわたしには右翼のアジ演説にしか聞こえないよう。

 目があったら怖いので、またしても顔を伏せる。
 しかしそのうち、男性は隣の車両に行ってしまった。
 ふう。何なんだろうね、あれは。
※Attention! この正体は次の次の号くらいで詳しく説明します)

 列車はハンガンを渡り、再び地下へ。
 先に奉恩寺を見に行くなら、シンチョン[新川]ではなく、その2つ先の駅であるサムソン[三成:Samsong]で降りなければいけないことに、シンチョン[新川]に到着する直前に気付く。
 おとなしくさらに2駅乗り、サムソンにて下車。

 さて、ガイドブックに詳細な地図が載っていないない奉恩寺を、これから自力で探さなくちゃ。

 

おわり

  

 今回のMEMO  

地下鉄の切符の買い方、など

 
 韓国の地下鉄の切符の買い方は2種類ある、というのは、わたしは旅行に出る前にガイドブックで確認していましたので、特にとまどうことはなかったのですけど、知らないと「なんじゃ、こりゃあ。機械が壊れてんのか?」ということになりかねませんので、一応ご紹介を。

 わたしはいずれの買い方にもブチ当たりました。その方法とは、

(1)先にお金を入れてから、料金ボタンを押す。
(2)先に料金ボタンを押してから、お金を入れる。

の2種類です。

 (1)の方は、日本の一般的な自動販売機での切符の買い方ですから問題ないんですけど、(2)の方はびっくりしますね。先に料金ボタンを押さないと、お金が戻ってきてしまいますから。

 (2)の方の買い方は、香港でも同じだったような記憶があります。
 地下鉄はどうだったか覚えていないのですけど、1997年1月の、まだ中国返還前の香港に行った時に、シンセン(中国)の2つ前までの駅まで電車に乗ってみよう、ということになりまして(1つ前だとパスポートが必要だったりなんだりと面倒くさかった)、友達とふたりで駅に行ったのはよかったのですが、いっくらお金を入れても戻ってきてしまい、それこそ「なんじゃ、こりゃあ」と首を傾げあったのでした。
 ま、それでもなんとか切符は買えましたけどね。あれこれガチャガチャやったあげくに。
 でも、なぜかグリーン車(正式名称忘れた)の切符を買ってしまい、それにしばらく気付かなかったため、「香港って、電車代高いね」と友達と言い合ったていたのでした(^ ^;)。

 というわけなので、お金を入れて戻ってきてしまったら、先に料金ボタンを押してみましょう。
 その他にも、「お金を入れると自動的にW500の切符が出てくる自動販売機」もあったような気がします。
 なんか、いろいろな機械があったので、あせらず騒がす買うのが、地下鉄の切符を買う際の一番のコツでしょうか?

 改札の方は、日本のように切符を入れて通り、間違っていると扉が閉まってしまうタイプと、切符を入れた後バー(棒)を回して入るタイプの2種類が大半でした(第2号で紹介した、定期券をかざして通る、なんて大穴もある)。

 あと、やっぱりお札が使えない自動販売機もけっこうあったと思います。そういう時はたいてい近くに両替機がありました。でも、両替機で両替する人と、窓口で買う人は半分半分か、あるいは窓口で買う人の方が多いような感じで、人気なかったですけど。

 地下鉄は本当に便利でしたので、みなさまもぜひご活用くださいませ(^ ^)。

※このコーナーは不定期です。

  

 今回のおこづかい帳  

 
地下鉄:W500

今回の小計:W500
支払い総計:W63,000(約6,774円)+34,591円

(※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)

 

 編集後記 

 
 そりゃあないよ、「シンチョン」リポートでした(笑)。
 いや、あれは本当にショックでした。中国でも日本でも、電車の方向を間違えて乗ったなんてこと、ありませんでしたからね。もう、あまりのショックに身体中から力が抜けていくようでした(笑)。

 基本的に、やはりハングルが読めなくても、韓国語が話せなくても、ソウルを旅することはできるとは思うのですけど、もしひとりで行くなら、せめてハングルくらいはすばやく読めた方が便利ですねえ。もちろん、読めないと旅するのは無理、というわけじゃないんですよ。「便利」っていうだけです。 まあ、わたしのように中途半端な知識だと、こういう目にあったりもするんですけどね(^ ^;)。
 でもやっぱり、勉強はしたほうがいいです。

 それではまた次号でお会いしましょう。

  


  

3日目の1――地下鉄2号線で大ショックの巻

3日目の2――雨に降られて奉恩寺参りの巻

3日目の3――団地を眺めてフェリー乗り場への巻

3日目の4――ついに謎が明かされるっ!?/演説おじさんの正体の巻

3日目の5――地下食品売り場めぐりは楽し/ロッテデパートの巻

3日目の6――石焼きピビンバはスッカラッで混ぜるべしっの巻

3日目の7――キャンディは国境を越えたのに、
             わたしは国際電話がかけられないっ!? の巻

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