『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月9日(金)記


 
第19号


3日目の3――団地を眺めてフェリー乗り場への巻

1999年10月22日(金)発行

 

■ フェリー乗り場への道

 
 ポンウンサ[奉恩寺:Pong‐unsa]参りを無事に終え、そんじゃあ次は遊覧船にでも乗るか、と地下鉄サムソン[三成:Samsong]駅からシンチョン[新川:Shinch’on]駅へ向かうことにする。

 一駅ほど、何事もなく地下鉄に乗ってシンチョン[新川]駅で下車。
 こっちの出口から地上に出ればいいんだよな、とだいたい目安をつけ、階段を昇る。
 階段を昇りきった所に、行商のおばあちゃんみたいな人がちょこんと座っていて、草餅みたいな緑や白の餅菓子を売っている。一瞬目を奪われるが、ひとりじゃ食べきれないし、日本にも持ち帰れないだろうからあきらめる。

 降り立ったシンチョン[新川]駅のまわりは、なんかごく普通の町だった。道の向こう側にはいくつかの商店が並んでいて、遠くにファミリーマートが見えたような気がする。平日の昼間のせいか、交通量もさして多くなく、歩いている人も少ない。

 フェリー乗り場はこっちのはず、と地下鉄出口から道を右へ曲がる。すると、道の両側には背の高い金網のフェンスが続き、その奥にいかにも団地という感じの建物がだーっと立ち並んでいる。ここらは住宅街なのか。

 英語で「River Side Parkはあちら」というようなことが書いてある看板を発見。
 うん、間違いなくハンガン[漢江:Han‐gang]に向かっている。安心して左右の建物に視線をめぐらす。
 でも、正午の近い住宅街はひっそりとしていて、ほとんど人の姿は見かけなかった。声も聞こえない。静かなもんだな。

 しかし、団地の鉄柵製のベランダをよく見ていると、大きな「金(かな)だらい」(※金属製のたらい[盥])を外に出して立てかけてある家がいくつもある。
 金だらいなんて今時めずらしい(日本では)。何に使うんだろう? とよく見ていると、今度はキムチかめ(瓶・甕)発見!
 へー、こういう団地に住んでいる一般家庭でも、あんな大きなかめで、今でもキムチを自分の家で漬けているんだ。
 ということは、あの金だらいはキムチを漬ける前に材料を混ぜ合わせるために使うのか。

 キムチかめは、ある家、ない家、いろいろあった。
 ある家にしても、大きなものをどーんと1つ、というところもあれば、大中小などさまざまな大きさのかめをベランダ中に並べている家もあった。キムチ以外にも、味噌などを作っているのかも知れない。

 でも、ソウルは冬が寒いから、外に出しておいても腐らないだろうけど、さすがにこの夏の暑さでは、いまは中は空っぽだろうな。

 意外な所で、ソウルの一般家庭の様子をかいま見たような気分だった。

  


キムチかめのあるベランダ

  


  

 

■ チャムシル・フェリー[蚕室フェリー:Chamsil Ferry]

 
 左右に団地が立ち並ぶ以外、なーんにもない道をひたすら真っ直ぐ歩き続けると、道はやがてT字路となった。目の前にあるこの左右にのびた道が、オリンピック・デノ[大路:deno]か。
 正面には土手がそびえたち、その上を車ががんがん走っている。高速道路になっているらしい。チャムシル・フェリーと書かれた看板もある。ハンガン・フェリーじゃないのか。でも、あってるらしいのでOK。

 土手は向こう側へ行けるようにトンネルが掘ってあるらしいが、トンネルの正面にはコンクリート打ちっ放しの壁があり、トンネルの出口が見えないようになっている。しかも、どうやら壁の向こう側で一度階段を昇ってすぐ降りて、ようやくトンネルがくぐれる仕組みになっているようだ。
 一見むだな動きをさせられるように感じるが、もしかしたら洪水が起こった時に、すぐに町へ水が流れ込まないようにするためとかの意味があるのかもしれない。

 まあ、何にせよこの土手を越えないことにはハンガン沿いに出られん。駅からここまでけっこう距離があったため、いい加減疲れた足腰に鞭打って階段を昇って降り、暗いトンネルの中に立つと・・・おお、明るい出口の向こうに、四角いスクリーンに切り取られたようなソウルの街の光景が広がっているではないか。

  


トンネルから見たハンガンとソウル

  

 トンネルを抜けると、そこは一面の野原だった。建物は左右の遠くの方にぽつんとあるだけ。おっそろしく何もない。
 川の向こうには、ソウルの街並みが川上へも川下へも果てしなく続いている。
 こりゃあ見晴らしがいいや。
 野球やサッカーのグラウンドが、何十面もとれそうだな。

 ここは、正式にはハンガン市民公園というらしいが、それはさておき、フェリー乗り場はどこだ?

 右か左か悩んで、直感で左の建物を選んだ。なぜなら、右の建物群よりも近く、観光バスのような車が止まっていたからだ。しかし、それでもかなり距離がある。
 ガイドブックには、フェリー乗り場まではシンチョン[新川]駅から歩いて5分とか書いてあったけど全然嘘じゃん。駅から土手にたどりつくまでに余裕で7、8分は歩いていたぞ。

 しかも、こんなに苦労して歩いてきているのに、あの建物が本当にフェリー乗り場かどうかもわからないのであった。
 だが、だいぶ近づいた頃、建物の上に文字の形をした看板があるので読んでみると、「ユラムソン」とハングル3文字で書いてある。「遊覧船」の韓国語読みか? 字数的にもあってるし。
※Attention! 後で調べました。やはり「遊覧船」でした)

 確信を強め、ずんずん歩いていくと、さきほど観光バスかと思ったのは、古いバス車両を改造したファースト・フードの店であることがわかった。しかし、一般車が停まっている駐車場もある。
 また、川に近づくにつれ、岸辺近くの水上に大きな船が停泊しているのが見える。よかった。やっぱりここがフェリー乗り場なんだ。

  


水上レストラン

  

 しかし、わたしが最初フェリーかと思った船は、実は水上レストランに使われている固定された船だった。
 さて、次の船の出港は何時かな? ガイドブックには1時間おきに出ていると書いてあったけど。

 先程遠くの方から見えた、ユラムソンという看板のある建物に近づく。屋根のある集合場所みたいな所に、幼稚園児のものらしい赤いリュックサックがずらーっと並べられて、大人がふたり、地面に座ってそれを監視していた。こどもたちがフェリーに乗っている間の留守番役なのかな。

 建物の正面にまわると、チケットの値段と時刻が書いてある。
 フェリーの周遊ルートは、このチャムシルを起点としてハンガンを1時間かけて行って戻ってくる往復コースと、1時間半かけてヨイド[汝矣島:Youido]まで行ってそれっきりの片道コースの2つがある。

 またこのフェリー乗り場まで戻ってきて、あの遠いシンチョン[新川]駅まで戻るのも憂鬱だな(このわたしが歩く距離じゃないと思うくらい遠い)。
 それじゃあ、ヨイドまで行ってそのままヨイド観光でもするか、と時刻表を見たのだが・・・14時50分まで次の出航がない。
 ええっ!? いま12時30分だよ。2時間以上もあいだが空いてるんじゃんっ!

 じゃあ、周回コースの方は? と見ると、次の出航は13時20分。
 それでも1時間近くも待つのか。

 どうやらガイドブックの1時間おきというのは、片道コースと往復コースをあわせた勘定らしい。
 またここに戻ってくるのか・・・それは嫌だなあ。どうせならヨイドまで行きたいし・・・どうしよう?

 とりあえず立っているのも何なので、堤防に腰を降ろしてハンガンを眺める。
 10人ちょっとくらいだけど、そこそこ人はいる。みんな、わたしのように堤防に腰を下ろして川を眺めつつおしゃべりをしたり、川沿いの散歩を楽しんでいる。
 水上レストランの方は、人が入っているのだろうか? 目を凝らして見てみるが、人影は見えなかった。

 あの水上レストランで2時間くらいひまをつぶすか? でも、果たしてコーヒー1杯で2時間もねばれる店かどうかわからないし、それに2時間もあれば、他のところにいけるなあ。
 フェリーもそんなにすっごく乗りたいというわけでもないし。
 ミョンドン[明洞:Myongdong]あたりでも散策したほうが楽しそうである。

 よし、プラン変更だ。シンチョン[新川]駅まで戻ってミョンドンに行こう、と決意する。
 バスかタクシーはいないか、と探したが、こういう時に限って何もいないのであった。仕方なく歩いて駅まで戻る。

 結局、この河川敷の公園では何もせず、ただ来ただけになってしまったが、本当に広々としていて気持ちがいいので、お弁当を持ってピクニックに来たりしたら、また違う楽しみ方ができそうだった。

おわり

  

 今回のMEMO  

チャムシル・フェリーの出航時刻表

 
 上海でも黄浦江遊覧船に乗ったので、ソウルでもハンガンを遊覧するフェリーに乗るか、と思ったのですが、わたしは残念ながら乗らなかったので、もし乗りたい人がいたら困らないように、一応時刻表を載せてみます。
 これは1999年7月現在のものなので、日没時間が早くなる冬とかは、もしかしたら出航時間が変更になっているかもしれないです。
 一番いいのは、ホテルなどで調べてもらってからから行く方法ですかね。
 というわけなので、参考までに。

<ヨイド片道コース>

 12:10
 14:50
 17:50
 19:40

<チャムシル往復コース>

 13:20    18:30
 15:10    20:10
 16:40    21:30

 

※コースの名前は適当です。
※料金はヨイド片道コースがW7000(約750円)でした。往復コースは忘れました。
※フェリーはヨイドからも出ています。

※このコーナーは不定期です

  

 今回のおこづかい帳  

 
地下鉄:W500

今回の小計:W500
支払い総計:W64,700(約6,957円)+34,591円

(※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)

 

 編集後記 

 
 チャムシル・フェリー乗り方リポートでした(笑)。
 結局後日も、フェリーには乗りませんでした。「まあ、またソウルに来た時にでも乗ればいいや」という感じだったので。チャムシルからだと、フェリー乗り場までが遠くて、また行くのが面倒だったのもあるんですけどね。

 タイでチャオプラヤ川、上海で黄浦江、浅草で隅田川、と川では必ず船に乗ってきたわたしですから(笑)、きっとまたそのうち乗るでしょう。

 それではまた次号でお会いしましょう。

  


  

3日目の1――地下鉄2号線で大ショックの巻

3日目の2――雨に降られて奉恩寺参りの巻

3日目の3――団地を眺めてフェリー乗り場への巻

3日目の4――ついに謎が明かされるっ!?/演説おじさんの正体の巻

3日目の5――地下食品売り場めぐりは楽し/ロッテデパートの巻

3日目の6――石焼きピビンバはスッカラッで混ぜるべしっの巻

3日目の7――キャンディは国境を越えたのに、
             わたしは国際電話がかけられないっ!? の巻

1日目

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