『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月9日(金)記


 
第20号


3日目の4――ついに謎が明かされるっ!?/演説おじさんの正体の巻

1999年10月26日(火)発行

 

■ 演説?

 
 遊覧船を中止してミョンドン[明洞:Myongdong]へ行くことにしたため、シンチョン[新川:Shinch’on]駅から地下鉄に乗る。
 でも、雨がまた降ってくるかもしれないから、ミョンドンには直接行かず、いったんホテルに戻って傘をとってくるか。

 昼間の電車内はけっこう空いていて、座席は埋まっているけれど、立つ人もいない、というくらいの乗車率だった。
 わたしも席に座り、ミョンドンのどこいらへんに行くかな、とガイドブックを見ていた。地下鉄はいつの間にか[漢江:Han‐gang]を渡るために地上に出ている。窓から自然の光が差し込んでくる。

 車内全体に眠気を誘うような、のーんびりとした空気が流れている中。
 突然、またしても中年くらいの男性が、電車の連結部分近くに立って、ドスのきいた大声で演説を始めた!
 またかよ〜。勘弁してくれ。
 いままでソウルで4回地下鉄に乗って、3回も見かけたぞ。遭遇率75%じゃないか。
 しかも、見なかった1回はたった1駅しか乗っていないから、それをさっ引くと遭遇率は100%になる。
 いったい何なんだ?

 みんなは慣れているのか、関心を示す様子もなく、目をつぶって居眠りしたり、新聞を読んだり。
 だが、わたしは相も変わらず、「右翼とかやくざなんかのこわい人だったらどうしよう」と思っているものだから、あらぬ方向に視線を向けてやりすごそうとする。

 しかし、これまた唐突に、男性の声色が変わった。何というか急に、愛想がよくなったのだ(言葉がわからなくても、こういうのはわかるんだな)。
 何だなんだ? と思い切ってそちらを見ると、男性が乗客の主婦らしき女性と何か物をやりとりしている。男性は、しきりと感謝の念をあらわすようにおじぎしている。

 こわい人じゃないんだ、と認識を新たにして、その男性を見続けていると、手に持った物をみんなに見せるようにしながら、例の演説口調でしゃべり続ける。
 何持ってるんだろう、と思ったら、男性が手に持っていた物をシャキーンとのばした。あ、あれ、折り畳みの傘だ。
 そして傘を広げたりたたんだりして、どうやらその傘の良いところを説明しているようだ。

 なるほど、この人は車内で演説していたのではなく、口上を述べながら傘を売っていたのか。

 ソウルじゃ地下鉄車内に新聞売りが現れる、という話は聞いたことがあったが、新聞以外の物も売っているとは知らなかった。
 なーんだ。ただのセールスマン(?)だったんだ。

 と、その正体がわかったので、この日の夕方、ユンさんに会った時にさっそくこのことを話したら、「いろいろな物を売っていますよ。だいたい安い物ばかりだけど」とのことだった。
 ちなみにわたしがこの他に見かけたのは、3本で1000ウォンの歯ブラシ、値段は不明だが12色入りカラーサインペン、レインコートなどだった。
ちゃんと本家本元(?)新聞売りも見た。
 売っている人は、男の人がほとんどだったけれど、女の人もいた。

 「電車に乗ってて何もすることがない時に新聞を売りに来てくれると、確かに便利なんですよ」とユンさん。でも、空いている車内で売り歩くぶんにはかまわないのだが、満員電車の中でもやるので、さすがにこれは迷惑だから、この車内販売はいちおう禁止されているそうな。
 でも、わたしは電車に乗った日は、1日に1回は必ず見ていたように思う。取り締まりは甘いのかもしれない。

 まあ、この日は突然雨が降りだしたので、折り畳みの傘の車内販売というのは、実にtimelyな企画ではある。でも、車内で歯ブラシやサインペンを売ってどうするんだろう? 買う人はいるのだろうか?
 何度か車内販売は見かけたけど、乗客が買っている場面を見たのは、この傘の時一回きりだった。

  


  

 

■ 傘

 
 ホテルにいったん戻るため、地下鉄3号線のチョンノサンガ[鍾路3街:Chongno‐3ga]駅で降りたら、いままで乗り降りに使っていた地下鉄5号線のチョンノサンガ駅で見るのとは全然違う風景の街角に出てしまった。どこじゃい、ここは。

 適当に歩いてみたら、おとといユンさんに連れて来てもらった映画館があった。土地勘が一気に戻り、無事ホテルへの道を思い出す。

 平日にもかかわらず、チョンノの人出は多かった。雨が降った後のせいか、傘を持っている人がけっこういたが、どういうわけか折り畳みの傘を持っている人はみんな、傘の部分は小さくたたむものの、生地をひらひらと広げたまま、柄を長くのばしてぶら下げている。
 日本ではあまり見られない光景だから、なんか変だな、と思ってつい見てしまう。
 なんでだろ? 三つ折りだからかな?

 二つ折りの傘だと、普通の傘のようにたたんで持ち歩けるが、三つ折りの傘の場合には、傘をたたむと自動的に傘の骨組みも小さく折りたたまれてしまうので、その後濡れないように手で持っているためには、ああやって柄だけ長くのばして持ち歩くしかないのかもしれない。

 でも、日本じゃああいう持ち方、見ないよなあ。三つ折りの傘を持っている人は、どうやって傘をたたんだあと手に持っているんだろう。
 考えてみれば、わたしは柄も短くして小さくまとめるな。

 そんなささいなことを、なぜか深く考える。

  

 

■ ミョンドン・ソンダン

        [明洞聖堂:Myongdong‐songdang]

 
 チョンノを歩いていたら雨がまた強く降ってきてしまったので、早足でホテルに帰る。ついでにセブン・イレブンで簡単な食料を手に入れ、少し休憩。

 さあて、そろそろソウルの名高い繁華街、ミョンドンへ出かけるか。
 ホテルからミョンドンなら、歩いてもそう遠くない、とユンさんが言っていたと思うので、歩いていくことにする。
 まず最初の目標は、昨日会ったイさんが結婚式を挙げたというミョンドン・ソンダンである。
 普段、寺に行く機会は多くても教会に行くことは滅多にないので、見てみたかったのだ。

 外に出たら、雨はやんでいた。というか、降ったりやんだりだった。
 チョンノからプランタン・デパートのある通りに出る。ミョンドン・ソンダンはこの道を真っ直ぐ行けばあるはずだ。

 チョンノに比べれば殺風景な道を歩き続けると、やがてビルの屋上越しにゴシック風の建物の美しい尖塔が見える。あれがミョンドン・ソンダンか。建物の位置からすると、どこかで道を右に曲がらなきゃ入り口に行けないようだ。

 なので、右に曲がる道を探しながら歩いたのだが、ミョンドン・ソンダンが大きな建物なものだから遠近感が狂うので、「ここで曲がるのか? いや違うな」、「ここで曲がるのか? いや、これも違うな」と行き過ぎないように注意しながら先へ進み、ようやく曲がるべき道を発見。やや坂になったその道を行くと、左手に大きな病院があった。キリスト教系の病院らしく、白い母子像などが前庭に据えられている。

ミョンドン・ソンダンの建物へは、この病院の前にある坂をさらにのぼって行くのだが、その前の道路が工事中で、通れるんだか通れないんだかよくわからない。
 まあ、近くまで行かずとも、壮麗な建物は十分眺められたのでOKとし、ミョンドンの中心部へと足を向けた。

おわり

  

※今回の韓国MEMO(韓国語)はお休みです。ネタなし。

  

 今回のおこづかい帳  

 
    地下鉄:W  500
セブンイレブン:W3,200(何を買ったか忘れちゃった)
   コーヒー:W1,000

今回の小計:W4,700
支払い総計:W69,600(約7,484円)+34,591円

(※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)

 

 編集後記 

 
 ソウルいろいろリポートでした。

 地下鉄の車内販売は、本当にいろいろな物が売っているようです。わたしにメールを下さった読者の方は、ヨーヨーやCDを売っている場面に出会ったそうです(木村さん、ありがとうございましたm(_ _)m)。

 あなたはソウルの地下鉄で、何を売っているところを見ましたか?

 それではまた、次号でお会いしましょう。

  


  

3日目の1――地下鉄2号線で大ショックの巻

3日目の2――雨に降られて奉恩寺参りの巻

3日目の3――団地を眺めてフェリー乗り場への巻

3日目の4――ついに謎が明かされるっ!?/演説おじさんの正体の巻

3日目の5――地下食品売り場めぐりは楽し/ロッテデパートの巻

3日目の6――石焼きピビンバはスッカラッで混ぜるべしっの巻

3日目の7――キャンディは国境を越えたのに、
             わたしは国際電話がかけられないっ!? の巻

1日目

2日目

4日目

5日目

6日目

7日目

TOPへ
  


『ソウル7日間徒然日記』

E-mail to : chihalu@geocities.co.jp

Copyright(C) 1999 Office EST3