『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月10日(土)記


 
第24号


4日目の1――音声ガイドとボケ&ツッコミ/国立民族博物館の巻

1999年11月10日(水)発行

 

■ クンニプ・ミンソク・パンムルグァン[国立民族博物館]

 
 朝7時、1回目が覚める。7時半に目覚まし時計が鳴るはずなので、それまで寝ようと目をつぶったら、次に起きたのは9時過ぎだった。わたし、いったいいつ目覚まし時計を止めたんだ?

 アルミサッシのすりガラス窓を開けると、外は雨だった。
 じゃあ今日は、外を歩き回ることがメインのチョンミョ[宗廟:Chong‐myo]とチャンドックン[昌徳宮:Ch’angtokkung]の観光は中止だな。

 じゃあ、どこに行こっかなあ。雨だからあんまり外は歩きたくないし・・・
 そういや、まだクンニプ・ミンソク・パンムルグァンは行ってないな。博物館なら雨にぬれないし、ちょうどいいか。

 というわけで、クンニプ・ミンソク・パンムルグァン行き決定。身仕度を整えて外に出る。

 雨はかなり強く降っている。模範タクシーでもいれば乗っちゃおうかな、と思ったのだが、道の路肩に停まって客待ちしているのは普通のタクシーばかり。 どのガイドブックを見ても、観光客は模範タクシーに乗れ、と書いてあるし、外国のタクシーで痛い目にあったことのあるわたしは、とてもではないが普通のタクシーに挑戦する気にはなれない。よって、タクシー案は却下。いつもながらに自分の足で歩いて行く。

 わたしの泊まっているYMCAホテルから、博物館があるキョンボックン[景福宮:Kyongbokkung]へ行くにはコツがいる。
 というのも、キョンボックン前の大通りを徒歩で横断するには、アングッ[安国:Anguk]の交差点にある歩道橋か、地下鉄3号線のキョンボックン駅近くまで行かなければいけないからだ。

 無駄足を踏まぬよう、チョンノ[鍾路:Chongno]からウジョングンノ[郵政局路:Ujonggunno]を北上し、アングッの交差点の歩道橋を使って、無事キョンボックン側へ渡る。

 あとはほぼ地図どおり。トンシプジャガ[東十字閣:Tongshipja‐gak]で右に曲がり、サムチョンドンノ[三清洞ギル:Samchongdong‐no]に入る。
 キョンボックンの東側に相当するこの道は、左手に背の高い高い城壁が続き、歩道には雨に濡れた街路樹が生い茂っている。
 車の通る量が少ないせいか、それとも雨の降る音が雑音を消すのか、この辺りはひっそりとしていて、静謐な印象。中学の時の通学路に雰囲気がにている。なんだか妙になつかしい。

 道なりに歩くうち、コンチュンムン[建春門:Konch’unmun]が見えてきたが、もっと博物館近くに入口があったはず。そう思って歩き続けると、やはり団体ツアーのバスなどが出入りする駐車場の入口があった。ちょうど入口手前の広場に停まったバスから、団体の観光客が降りてきたところだ。

 その人たちに混じってゲートを通り、人波に押されるようにしてクンニプ・ミンソク・パンムルグァン前に到着。
 さすがに土曜日だからなのか、それともクンニプ・ミンソク・パンムルグァンだからなのか、とても人が多い。おととい行ったクンニプ・チュンアン・パンムルグァン[国立中央博物館]とは比べものにならないほどの混雑ぶりだ。

  


クンニプ・ミンソク・パンムルグァン[国立民族博物館]入り口

  

 傘やガイドブックなどの重い荷物がじゃまなので、入口左側にあるコインロッカーに預ける。
 博物館のお決まりで、ここのコインロッカーも無料。ただし、鍵をかける時にW100(約11円)コインが必要だが、あとで戻ってくるシステムだ。

 さて、館内に入ったけど・・・どこで入館料を払うんだろう? チケットを買うところが見当らない。
 無料じゃないよなあ。ガイドブックにもW700(約75円)と書いてあったし。

 しかしどこを探しても、館内にチケットを売っているところは見つからなかった。それに、チケットをもぎっている係の人の姿も見かけない。
 げ、もしかしてわたし、どこかで払うべきお金を払わず、団体観光客にまぎれて中に入って来てしまったのか?
 ひー、ごめんなさーい。わざとじゃないんだよう。
 許してください。反省。
※Attention! みなさん、マネしないでくださいね)

 気を取り直し(立ち直りがはやい)、中学生と団体客でにぎやかなホールを見回して、音声ガイドの貸し出しカウンターを探す。
 あった。博物館に入って右側の窓口で受け付けている。やはりこちらも貸し出し時にパスポートを預けさせられた。
 貸し出してもらった音声ガイドは、クンニプ・チュンアン・パンムルグァンのものとまったく同じタイプでW2,000(約215円)。こっちのほうが安いのか。
 ちなみに、この時は英語も日本語も話せるスタッフの人がいなくて、身ぶり手振りで使い方を説明してもらった。すでに使い方はクンニプ・チュンアン・パンムルグァンで聞いていたので必要はなかったのだが、一生懸命説明してくれるので、ふむふむと聞く。

 身軽になって音声ガイドも手に入れて、さあ見学開始。

 このクンニプ・ミンソク・パンムルグァンは、もうひとつのクンニプ・チュンアン・パンムルグァンとどこが違うかというと、後者が歴史の流れをメイン(主)にして事物を展示していたのに対し、前者は「ミンソク(民族)」とついているだけあって、歴史も加味しているけれど、衣・食・住などの文化をメインにして、いろいろな物をテーマごとに並べているらしい。

 クンニプ・チュンアン・パンムルグァンのように、見学の前半で体力を使いきってしまうことを避けるため、なるべく自分が見たいものを中心に見て、後はさっと流していこうと思ったのだが、どれもけっこうおもしろいのでじっくり見てしまう。
 だが、こちらの博物館はクンニプ・チュンアン・パンムルグァンほど広くなく、1フロアに3つの展示室があるだけだったので、ゆっくり見ても1時間半もあれば十分だった。
 なるほど、だから音声ガイドが安いのか。

 ちなみにこの博物館、写真撮影禁止は禁止で、ちゃんとその旨のお知らせも出ていたのだが、そんなことにはおかまいなく、中学生たちはばしばし記念写真を撮っていた。引率の先生はもちろん、博物館の人も注意しない。日本なら警備員がすっとんでくるのに。不思議だ。

 そんなにぎやかな中学生たちの波にもまれつつ、音声ガイドを聞きながら見学。

 何がいちばんおもしろかったかな? やっぱ、服飾関係と食物だろうか?

 第1展示室には、「三国の服飾」と題して、シルラ[新羅:Silra]、コグリョ[高句麗:Koguryo]、ペクチェ[百済:Pekche]三国それぞれの国の王と王妃が着た衣裳が復元されていた。
 音声ガイドの説明を聞かなかったら、どれがどの国の衣裳かなんて区別つかんわい、で終わってしまうところだったが、「シルラは豪華でコグリョは質実剛健で・・・」というような解説を聞くと、ほっほーという気分になる。
※Attention! 説明部分は適当です。覚えてないッス)

 衣裳のあたりは展示スペースも大きく、華やかな雰囲気で、中学生たちも足を止めてあれこれと話をしていた。

 第2展示室には、昔の家屋やキムチ作りなどの様子を、実物大の建物や人形を使って再現しいたが、なにより目を引いたのが韓国の伝統菓子のコーナー。餅菓子やら、日本でいうところの干菓子(ひがし)のようなお菓子のレプリカが展示されている。ううん、どれもおいしそう(^ ^)。

 中国のお菓子は、月餅やごま団子、杏仁豆腐(中国で食べたことないけど)といろいろ紹介されているし、中華街に行かずとも、そこらのコンビニで簡単に手に入るのに、韓国のお菓子ってほとんど日本に紹介されていないように思う。わたし自身、韓国への旅行を決めるまで全然知らなかったし。

 というわけで調べてみたら、ユミルグァ[油蜜果]という揚げ菓子やら、タシク[茶食]なる落雁(らくがん)のようなお菓子があることがわかった。
 そしてこのコーナーにも、たくさんのお菓子が展示されている。とくに餅菓子などは、「もちで数え歌がつくれるほど種類がある」と音声ガイドが説明していたくらい様々な色かたちのものがある。
 なんだ、やはりわたしが知らないだけで、韓国独特のお菓子はいっぱいあるんじゃん。

 ぜったいお菓子は買って帰ろう、と決意する。

 小さなお膳の上に、結婚式か何かのお祝い用の料理が飾られているコーナーもあった。
 ここで気になったのが、料理の盛り付け方。
 日本の皇室の結婚式の様子などがテレビで紹介されているのを見ると、いろいろな食物が皿だか膳だかの上に、リング状にうずたかく積み上げられているものを目にするが、このコーナーで展示されている料理もまったく同じように積み上げられているのだ。
 じゃああの料理の盛り付け方って、韓国から入ってきたのか?
 がーん。知らなかった。

 お菓子や料理をあれこれ見ていたらおなかが空いてきた、と思ったら、音声ガイドが「そろそろおなかが空いてきたでしょう」などと語りかけてきた。
 なかなか見学者のツボを心得ているじゃあないか、え? おまえさん、と心の中で思わずツッコミを入れる。

 このほか目に留まった物というと、科挙の答案。
 科挙といえば中国が有名なような気もするが、ここ韓国にもある。
 で、その科挙の答案用紙(?)がここに展示されていたのだが、それがまたえらくでかいっ! たたみ半畳くらいの大きさがあったのではなかろうか?
 よって、そこに書かれている字も大きい。これじゃあ隣の人の答えをカンニングし放題じゃん。
 どんなふうに試験をやっていたんだろう? 一人ひとり個室か?
 それにしても、こんな大きな紙に答えを書くとは思いもよらなかった。
※Atteniton! 中国のは見たことないので知らないです)

 文物コーナーには筆や硯が展示されていて、「文房四友」と書かれたパネルがあった(あるいは音声ガイドが言っていた)。
 ふうん。中国じゃ筆・墨・硯・紙(ビー・モー・イェン・ジー)の物書き道具4つセットで「文房四宝」(ウェンファンスーバオ)っていうけれど、韓国では「宝」じゃなく「友」になるのか。微妙に違うのう。

 微妙に違うものといえばもうひとつ、酒幕[チュマク:chumak]。
 どんな展示があったかはよく覚えていないのだが、壁にかけられたパネルにばーんと「酒幕」と漢字で書いてあって、その下に英語で「Tavern:restaurant and inn」と書いてあった。
※Attention! tavern=居酒屋、宿屋の意味)

 なるほど、やはり「白花酒幕」の「酒幕」はそういう意味だったのか。

 「restaurant and inn」なんて、まさに中国の「酒店」や「酒家」みたいだよなあ(どちらもレストランだったりホテルだったりします)。
 1字違いだけど、意味は同じなんだな。

 これら以外にも、楽器やら祭礼用の仮面やらいろいろあって楽しめた。

 展示室を出てお土産屋さんをのぞくと、この博物館の展示品を解説した本が売っていた。W10,000(約1,075円)。買う。

 広さはそれほどでもなかったが、おもしろさはクンニプ・チュンアン・パンムルグァンに負けないと思う。
 有意義な見学を終え、博物館を出た。

おわり

  

 今回のおこづかい帳  

 
音声ガイド:W 2,000
博物館の本:W10,000

今回の小計:W12,000
支払い総計:W92,600(約9,957円)+34,591円

(※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)

 ※「今回の韓国MEMO(韓国語)」はお休みです。

  

 編集後記 

 
 クンニプ・ミンソク・パンムルグァン・リポートでした。

 本文には書きませんでしたが、わたしが行った時にはちょうど「結婚展」みたいな特別展をやっていまして、花嫁さんのチョゴリの結び目のところに飾る「三作ノリゲ」やら蝶の形の飾りなどが展示されていました。どれも色鮮やかできれいでしたね。

 また、ここで買って来た本が、千葉県の佐倉市にある国立歴史民族博物館で売られているのを見てびっくりしました。1,300円か1,500円くらいだったかな? 同じ国立(歴史)民族博物館同士、つながりがあるのかも、などと思いましたが。
 もしかしたら、上野の国立博物館でも売っているかもしれません。あそこのミュージアム・ショップも、けっこう外国の博物館の本を取り扱ってますしね。 

 それではまた、次号でお会いしましょう。

  


  

4日目の1――音声ガイドとボケ&ツッコミ/国立民族博物館の巻

4日目の2――あれは何? あぶられた丸い和紙の巻

4日目の3――ソウルで仏像三昧/ガンダーラ展の巻

4日目の4――やったね、タダだ!/国楽博物館の巻

4日目の5――パーカッションのリズムに感動/伝統芸能鑑賞の巻

4日目の6――MISSION−「N」の巻

1日目

2日目

3日目

5日目

6日目

7日目

TOPへ
  


『ソウル7日間徒然日記』

E-mail to : chihalu@geocities.co.jp

Copyright(C) 1999 Office EST3