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第36号 | |
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5日目の7――東大門市場でKnock out! の巻 | |
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■ トンデムン・シジャン[東大門市場] | |
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7時過ぎ。まだ外は明るい。 YMCAホテル前のチョンガッ[鍾閣:Chonggak]駅から、トンデムン・シジャンに近いトンデムン[東大門:Tongdaemun]駅までは、地下鉄1号線で1本、わずか3区間の近さだ。 しかし今日は日曜日。日本人の感覚でいうと、普通市場はお休みのような気もするけど・・・。 地下鉄に乗り込み、トンデムン駅にて下車。 オレンジ色の夕焼けの空が、だんだん紫色にかわってきた夕方の地下鉄出口のまわりは、閑散としていて人気がない。やっぱり市場は休みなのか? このトンデムン・ショッピングタウンに行き当たると、建物の前でみんな左に曲がって、左手にだたっぴろい広場(実は駐車場)を眺めながら、トンデムン・ショッピングタウンの建物沿いに歩いて行く。もちろんわたしも後についていく。 しかし、角を右に曲がってみたら、歩道沿いにシャッターの閉まった建物が延々と続いていた。歩いている人はひとりもいない。 ちょっと呆然としたものの、人の流れをよく見ると、みんなくだんの歩道橋を渡って道の向こうへ移動しているようだ。せっかくここまで来たんだから、ついていってみるか、とUターン。 人が行き交う歩道橋の上は、その両側をやけくそのように商品を積み上げた露店にびーっしりと埋め尽くされていた。 しかもその商品構成がすごい。1つの露店では1種類の物を徹底的に売るのだ。だから、靴の露店では同じ型の革靴だけがだーっと山のようにたてに積まれ、スーツケース屋ではスーツケースだけが倒産企業の投げ売りのように秩序なく積み上げられている。サンダルをひもでしばりあげ、一山いくら(!)で売っている店もある。玄人(くろうと)向けの卸しなのか、ここは? 歩道橋の上なんていう公共の場所をこんな風に占拠していいんだろうか、となかばちょっと呆れながらそれらを横目に見つつ、高架をくぐって歩道橋を左側に降りる。 さらに人の流れにのって、交差点で右に曲がって歩いて行くと、ビルの前の広場にステージが設けられていて、ものすごい数の人たちが十重二十重に取り囲んでいる。なんだろう、芸能人でも来るんだろうか。 すると、激しい音楽が流れはじめるのに合わせて、チアガールが着るようなボックスプリーツの白いミニスカートに、フリルひらひらの白い長袖の上着を着た女の子が3人と、下はズボンで上は女の子と同じ服装をした男の子がひとりの合計4人が出てきて踊り始めた。 しかし妙に素人くさい。いま時の韓国のレベルではない、という感じ。 ステージの後ろに、ハングルのみで書かれた横断幕がかかっている。眉間にふんっと力を込めて読むと、「アマチュア・フェスティバル」とわたしには読めた。 でも、観客のみんなはアマチュアだからといって軽視することなく、我も我もと花壇に登り、熱心にステージを見ていた。 ここは何て名前のビルだろう、と見上げると、「DOOSAN TOWER」(斗山ビル)という文字が壁面に掲げられていた。 適当なところで切り上げ、さらに道を先に進むと、今度はビル前のステージでラップをやっている所があった。ラップかあ。なんか懐かしいな。 どこに行きたい、という具体的なアテがないので、とりあえずつらつらと歩道沿いの食べ物の屋台を見て歩く。 ねぎ間タイプの長ーい焼き鳥はW1,000(約108円)。あまりお腹は空いていなかったのだけど、これは衝動的にどうしても食べたくなる。買う。食べるとぴりっと辛くて美味。満足。 こちらの屋台は日本のように、物を買ったらその場を離れる形式ではなく、買った物をその屋台の前で食べて、ゴミを置いていく形式が一般的らしく、みんなその場に立ち止まって食べていた。 ある屋台では、大判焼きのような型だけど、直径が15cmくらいの大きなくぼみがある鉄板で、シャオビン(焼餅:中国の分厚いクレープみたいなもの、かな)のようなものを焼いている。 あとよく見たのは、日本じゃホットドックと呼ばれる太(ぶ)っといソーセージのまわりにホットケーキの衣をつけて揚げたもの。それとそのホットドックのまわりに食パンを1cm角くらいの賽の目に切ったものをつけて油で揚げたものだ(勝手に手榴弾ホットドックと命名)。 屋台ばかりでなく、今度は店の中に入ってみようかな、と思い、まずはミリオレへ。 エスカレーターから見る店内は、もう、とにかく、どわーっと洋服がいっぱい並んでいた。各フロアに小さな小間(こま)の独立店舗が、細い通路をはさんでみっちりと詰め込まれているのだ。服を選べといわれても、あまりにもモノがありすぎるので、どこに視線を定めればいいのかわからないほどである。 大量の洋服に圧倒されて、ついにどこのフロアにも降りることができず、いちばん上の階に来てしまう。最上階のあたりはファースト・フードの店が集まっていた。よく覚えていないけど、何か変な名前のうどんが日本語で書かれていたような気がする。 最上階で下りのエスカレーターに乗り換えて降りる。そしてそのまま出口へ。すさまじい混雑ぶりに、買い物はおろか、商品をまともに見ることすらする気力が起こらなかった。 気を取り直して今度は斗山ビルへ。 こちらはそれほど混んではいなかったけれど、店舗の密集ぐあいはミリオレと同じくらい。 試着できないんじゃ、お客さん困らないかな? と思いつつ、ふっと動かしたわたしの視線の先で、若いお嬢さんが店先で、スカートをはいたままその下からGパンを試着していてびっくり。そ、そんな大胆な。 別の場所では自分の服は着たままで、上から強引にワンピースを試着している娘さんもいた。店員さんもその試着しているワンピースのウエストをつかみ、「うん、これくらい余裕があれば大丈夫ね」みたいなアドバイスをしている。 一方わたしといえば、特に何か買いたくて来たわけではないので、いまひとつ気合いが入らない。どこを向いても服ばっかりで疲れてきたし。 道の向こう側には野球場のような建物が見える。あっちの方は何があるんだろう。試しに行ってみるか。 横断歩道が見当らなかったので、地下鉄2号線と4号線のトンデムン・スタジアム[東大門運動場:Tongdaemun‐studium]駅がある地下街を利用して道路を横断する。 地下街にもお店がいくつかあった。その中のひとつに、店内の商品がすべてW1,000(約108円)という店が。 スタジアム側の地上へ出ると、こちらも色々な屋台が並んでいた。スタジアム前の広場を利用して、色々な屋台が出ている。ふとん(!)を売る屋台、スポーツ用品を売る屋台、アクセサリーや大量のスリッパを売る屋台とか。 なかにははさみやセロテープなどの細々(こまごま)とした文房具を、めいっぱい台車に満載した移動式屋台などもあった。 スタジアムの外壁に沿って、洋服などを売る屋台が延々と続き、その先は見通せないほどだった。 さらに道路沿いに歩いて行くと、今度は似たような造りの、座って食事ができる屋台がたくさん現われた。 普通の商店や飲食店などもあるので、もうこの辺りは屋台とそれに群がる人間とでごっちゃごっちゃになっている。 ううん、疲れた。どこかでちょっと休もう。 地下通路らしきものを見つけたので、とりあえず道を向こう側に渡るか、と考える。 右を向いてもモノ、左を向いてもモノ。前も後ろも当然モノで、疲れた目を休めるためにうつむいて見た足元にさえモノが転がっている。 「人当たりする」という言葉がある。あまりに大勢の人に囲まれていると、気疲れしてしまうというような意味だ。 もー、だめだ。 この地下通路の時点で、ちはる、完全にダウン。 ふらふらになりながらも、どうにかトンデムンの地下鉄駅まで引き返す。 地下鉄駅に続く階段に向かう途中、すれ違いざまに「全然にぎやかじゃないねー」という日本語が耳にとびこんできた。 歩道橋の向こうへ行ってみな。あのモノと人のるつぼを見れば、前言を撤回したくなるから。 トンデムン・シジャンは、気力体力をベストの状態に整えてから行くべき所なのだな、と痛切に感じたのだった。
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ホテルに戻ってシャワーを浴びて。 おわり
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■ 今回の韓国語 ■ | |
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◆いくらですか? と値段や数の言い方 | |
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★オルマエヨ?[Ol-ma-e-yo?] 「オルマ=いくら」、「〜エヨ?=〜ですか?」という構造です。 ★オルマイムニッカ?[Ol-ma-ip-ni-kka?] と言うといいでしょう。
しかしこの「オルマエヨ?」。わたしはほとんど使いませんでした。なぜかというと、値段がうまく聞き取れなかったからです(笑)。 いちおう「イル、イ、サム、サ、オ・・・」とか、「百はペクで千はチョン」とかは覚えては行ったのですけど、どうも相手の答えが自分の予想とは違うんですね。 例えば、「これは2000ウォンか3000ウォンくらいかな? じゃあ、オルマエヨ? って訊いたら、『イーチョン』か『サンチョン』って答えが返ってくるのかな?」と考えているわけです。ところが返ってくる言葉が想像していたのとは違う。何か長いんですよ。で、自分が予想しているのとは違った答えが返ってくるのでパニックになり、ひえー、わからーん、とお手上げになってしまったのでした。 何で聞き取れなかったんだろう、と後でよくよく考えてみましたら、わかりました。語尾に「ウォン」などがついていたのです。 しかも、その「ウォン[won]」が直前にある「チョン[chon]」や「ペク[pek]」の「n」や「k」とリエゾンするんですね。 だから、2000ウォンは「イーチョン」ではなく「イーチョヌォン[i-chon-won]」、3000ウォンは「サンチョン」ではなく「サンチョヌォン[sam-chon-won]」となっていたわけです。
100の位の言い方になりますと、今度はリエゾンするだけではなく、「p」が「b」、「k」が「g」になりますから、いっそう(わたしには)ややこしくて。 さらに、「〜です」に相当する「〜イムニダ[ip-ni-da]」や「〜イエヨ[i-e-yo]」なんかが付いちゃいますと、 ★2000ウォンです。→ イーチョヌォニムニダ。[i-chon-won-ip-ni-da] と、「ウォン[won]」の「n」が「イムニダ[ip-ni-da]」の「i」と、あるいは「イエヨ[i-e-yo]」の「e」リエゾンして、いっそう予想していた答えから遠のくんですね〜。 いやー、聞き取れなかったわけだわ。 ま、値段の訊き方で一番簡単なのは、紙に数字を書いてもらう方法なんですけど(実際そのほうがいいかも)、「私は絶対、値段を聞き取ってやる!」という闘志を燃やされている方には、「〜百ウォン」、「〜千ウォン」をワンセット、さらに発展させるなら「〜イムニダ」や「〜イエヨ」なんかもくっつけて覚えていくことをおすすめします。 あと、日本もそうですが、韓国でも「1、2、3・・・」という数え方とは別に、「ひとつ、ふたつ、みっつ・・・」という数え方が存在します。日本は「とお(10)」までですが、韓国では99まで数えられるそうです。 へー、すっごいなあ、わたしはおぼえ切れないや、と思っていたのですが、韓国滞在中に「おかあさんと一緒」みたいな子ども番組をTVで見ていましたら、「イル(1)はハナ、イ(2)はトゥル、サム(3)はセッ、サ(4)はネッ・・・」という数え歌のような歌が流れていまして、「あー、韓国のこどもはこうやって数え方をおぼえていくのかあ」と納得させられました。全部を一朝一夕で、ってのは難しいです。 この数え方は、料理などを注文する時に必要ですね。日本でも「ラーメン、1」とは言わず、「ラーメン、ひとつ」と注文するのと感覚は一緒です。 というわけで、今回は簡単な値段の言い方(言われ方?)と数え方を下記に列挙します。 ★値段(屋台でよく使いそうな例だけあげます) <1000ウォン単位:千=チョン[c'hon]> ●チョヌォン [1000ウォン](1=イル [il]※千の前に付けてない) <100ウォン単位:百=ペッ(ペク)[pek]> ●ペグォン [100ウォン]
●1500ウォン=チョンオベグォン(チョノベグォン)
★数え方 ●1=ハナ [ha-na] では、例文を。いちおう状況は屋台、ということで。 「イゴ オルマエヨ?」(これ、いくらですか?) ってな感じですかね?
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■ 今回のMEMO ■ | |
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◆屋台の食べ物の値段目安一覧 | |
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そんな方のために、東大門市場によく行く読者さんにお願いして、屋台の食べ物の値段の目安を教えていただきました。 協力して下さったのはTamaさんでした。 【食べ物編】 ●トーポッキ:W2,000 【飲み物編】 ●焼酎1本:W2,000
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■ 今回のおこづかい帳 ■ | |
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●今回の小計:W 13,420 (※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)
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■ 編集後記 ■ | |
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とにかく、トンデムン・シジャンに行く人は、気合いを入れて行きましょう。わたしのように買い物をするわけでもなく、食事をするわけでもなく行きますと、その圧倒的なパワーに気圧されて、あっという間にダウンしてしまうかもしれません。 この頃はまだ、各メディアで「韓国は不況」と言われていたと思うのですが、その報道は間違っているのでは? と思わされるほどのにぎわいを見せていました。 それでは、また次号でお会いしましょう。
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5日目の1――空も大地もひろびろ/宗廟の巻 | ||||||
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5日目の2――大迷走チャンギョングン[昌慶宮]の巻 | ||||||
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5日目の3――のんびりゆったりチャンギョングン[昌慶宮]の巻 | ||||||
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5日目の4――街中の宮殿とあなどることなかれ/チャンドックンで山歩きっ!?の巻 | ||||||
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5日目の5――お昼を求めて/里門ソロンタンの巻 | ||||||
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5日目の6――國家指定韓國傅統食品とは?/ロッテデパートふたたびの巻 | ||||||
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5日目の7――東大門市場でKnock out! の巻 | ||||||
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