『ソウル7日間徒然日記』 1999年7月12日(月)記


 
第37号


6日目の1――無計画・チョンノそぞろ歩きの巻

2000年1月31日(月)発行

 

■ ドトールで朝食を

 
 午前7時50分、目覚ましが鳴るよりちょっと早く起床。天気は快晴。

 なんか腹が痛い、と思ったらお腹が壊れていた。
 がーん。何が原因だ? 昨日食べた屋台の焼き鳥か? でもあれは焼いてあったから安全だよなあ。
 うーん、心当たりがない。ということは疲れが胃に来たということか。
 まあ、いつものことなんで驚きはしないけど。

 さて、今日は何しよう?

 ソウルに丸1日いられるのも今日が最後。ヨイド[汝矣島:Youido]やテハンノ[大学路:Tehakno]など、まだ行っていない所はたくさんあるけど、なんか遠出するのは面倒くさい。
 とりあえず午前中はチョンノ[鍾路:Chongno]周辺をうろうろするか。

 9時前、ホテルを出る。まず最初に、イ・スンシン[李舜臣]の像を写真に撮っておくか。
 しかし、セジョンノ[世宗路:Sejongno]の交差点に到着したら、まだ時間が早いせいか、イ・スンシンの像はビルの陰に入っていて日が当たっておらず、撮影には不向きだった。残念。また夕方に来ることにする。

 まだまだ時間もあることだし、チョゲサ[曹渓寺:Chogesa]にも行ってみるか、とチョンノをUターン。しかしその途中で、猛烈に気持ちが悪くなってしまった。どういうわけか、のども異常なほどに乾く。以前にもこれと同じ状態になったことがあるような・・・

 そこでハタと気が付いた。
 もしかしてわたし、脱水症状か? そういやお腹の調子も悪いし、身体も妙に熱っぽいし。

 こりゃいかん。どこかでいったん休憩しないと、症状がどんどん悪化するぞ。
 あわてて気軽に入れそうな店を探すと、チョンノからチョンジンドン[清進洞]へ入ったすぐの所にあるドトールが目に入った。よし、あそこで軽く何か食べて飲んで休もう。

 入り口に楽譜台のようなメニューがあったが、日本と同じようにセットがあるんだな、ということだけ確認して中に入る。しかし、注文カウンターにも同じメニューが置いてあったので、メニューを指さすだけでOK。

 スパイスドッグとホットコーヒーのセット(W3,200:約344円)を注文し、ホットコーヒーをアイスコーヒーに変えてもらったら、アイスコーヒーの場合は追加で1,000ウォン(約108円)必要だ、と英語で言われた。ふうん、日本みたいにアイスとホットが自由に(無料で)交換できないのか。
 でも、冷たい飲み物がよかったので、1000ウォン払ってアイスコーヒーにしてもらう。

 商品をのせたトレイを受け取っていざ席へ。
 店内のレイアウトや雰囲気は、日本のドトールとまったく一緒。朝食には遅く、昼食にはまだ早い客席はがらがらで、新聞を読んでいるサラリーマンや、むずかしい顔をしてコーヒーを飲んでいるおじいさんなどがぽつりぽつりといる程度だ。

 奥の方に、一部を壁で仕切られたスペースがあった。誰もいないので気兼ねがいらなそう、ということでそこのテーブルのひとつに座を占める。

 食事をして、涼しい店内でしばらく休憩していたら、だいぶ気分がよくなった。ふう。
 まだ午前中だけど、窓から見える外のアスファルトは太陽に照らされて白くまぶしい。いまあんな所に出て行ったら、また具合悪くなっちゃうなー。
 体力回復のために、ここでもう少し休んでいこう。

 そうしてガイドブックを読んだり日記を書いたりしながら店内を見回すと、とてもお年寄りのお客さんが多いことに気付く。ひとり用のテーブルには、横一列にずらりと白い頭のおじいさんが並んで座っていて、何やらいっそ壮観なほどだ。
 日本じゃあまり街中でくつろぐお年寄りって見ないけど、こっちのお年寄りは外で時間を過ごすことが多いのかな。チョンミョ[宗廟]でもたくさんのお年寄りがベンチで日向ぼっこしていたもんなあ。

 ぼーっと店内の音を聞いていると、お客さんが入ってくるたび、店員さんが「オソオセヨー」と言っている。
 そうか。「オソオセヨー」=「いらっしゃいませ」なのか。どうりでよく聞く言葉だと思った。

 


  

 

■ チョゲサ[曹渓寺]

 
 よっしゃ、もう歩いても大丈夫だろう、と外に出てチョゲサに向かう。昨日見たヘジャングッ屋の前を通り過ぎる。

 ちょっと迷ったが、わたしにしてはめずらしく、すぐに寺は見つかった。
 寺の門の前には警備員らしい制服を着て警棒を持った若い男性がふたりいて、さらに門の下にはバリケードみたいなものが置いてある。それを見て一瞬気後れしたが、思い切って入ってみる。案の定、何も言われなかった。ほっ。

 安心して門の方をふりかえってみると、先の男性ふたりは警棒でちゃんばらごっこをして遊んでいた。さっきはあんなに厳しい顔をして立っていたくせにー。
 わたしがくぐった門の名は解脱門という。門を入ってすぐの所にあるお堂は大雄殿だ。だが、どうやらここはお堂の裏にあたるらしい。スピーカーから読経が流れてくる。南側の正面へまわる。

 大雄殿の建物正面は、大きな扉をすべて開け放ち、中がよく見えるようになっていた。ちょうど読経中で、平日の午前中にもかかわらず、たくさんの人が正座して、頭をたれて手を合わせている。年配の人だけでなく、若い女性の姿も少なくない。

 堂内の天井には、蓮の花の蕾を模したような、マゼンダ色の花に緑の葉がついた提灯がびっしりと吊されている。
 正面奥の壁には巨大な曼陀羅のタペストリが3枚かけられていた。でも、堂内は暗いので、何が描かれているのかはよくわからなかった。
 建物外側の欄間には、いまはちょっと色褪せているけど、かつては極彩色であっただろうと思われる人物と草花の意匠の透かし彫りが施されている。

 そして外壁には、ポンウンサ[奉恩寺]と同じく仏陀の生涯を描いた絵が、東→北→西の順に飾られていた。でも、西側は荷物置場になっていて、絵が隠れているところもあって、あまり大切にされていない感じ。

 お堂の正面に木陰が気持ちいいベンチがあったので、そこに座ってしばらくお寺を眺める。やがて読経が終わり、座って手を合わせていた参拝者たちは、今度は曼陀羅に向かって立って座って頭を下げて、また立って座って頭を下げて、という順序の礼拝していた。

 裏の方にも何か建物があったな、と思い出し、大雄殿の裏に行ってみる。まだ新しそうなこの建物は徳王殿。中に人はひとりくらいしかいない。靴を脱いでわたしも入ってみる。

 殿内正面にはやたらぴかぴか光る金色の仏像が7体ほど鎮座し、左右の壁にはマネキンのようなつやつやしたど派手な色の像が並んでいる。「〜〜大王」と書かれた札がそばに立てられているから、どうやら冥府の十大王らしい。その後ろには「寒氷地獄」とか「抜舌地獄」、「毒蛇地獄」などという漢字が書かれた絵がかけられていた。
 うーむ、またしてもお寺というよりは、遊園地の何とか館に来てしまったような気分だ。
 わたしの趣味には合わん、ということで早々に退出する。

 外に出ると、大雄殿の裏手では、一般の信者さんたちの手によって、堂内の銀器をみがく作業がはじまっていた。
 そういやポンウンサでも、お坊さんではない普通のひとたちが食事を作ったり後片付けをしたりしてたなあ。こっちではお寺内部の仕事に、日常的に一般のひとたちが参加するんだろうか。
 ううん、お寺と信者の関係が密接な感じ。

 チョゲサの敷地を見回すと、どうやら境内を横切って行けば、ウジョングンノ[郵政局:Ujonggukno]に出られるらしいことを発見。
 なーんだ、2日目にアングッ[安国:Anguk]からチョゲサへ行くつもりで、間違えてウジョングンノに出ちゃったからあきらめたけど、ウジョングンノからも行けたんだ。うかつ。

 そのウジョングンノにつながる道から、どこをどうみてもあれはヤクルトおばさんだぞ、という服装でワゴンを押してくる女性がやってきた。しかもお寺に参拝に来ていた人たちが、その女性からヤクルトらしきものを買っている。
 ソウルにもヤクルトおばさんっていたのか。驚き。

 写真をさんざっぱら撮って、チョゲサを後にする。
 さて、この後はもう少しチョンノ付近をぶらぶらするか。

おわり 

  

 今回のおこづかい帳  

 
ドトール:W4,200

今回の小計:ドトール:W4,200
支払い総計:W212,400(約22,839円)+34,591円

(※レートは1999年7月当時、¥100=W930で計算しています)

 

 編集後記 

 
 はい、チョンノ近辺だらだらリポートでした。
 もうこの頃になると、特に明確な目的なく街を歩き回っています。最近の旅行は、いつもわたし最後はこうなるな。

 日本でも報道されましたが、チョゲサはおととし(1998)年の年末に大騒ぎがあったところだったので、今はどうなっているんだろう? とちょっと不安だったのですが、リポートにある通りわたしが行った時は平静でした。

 なので、ああ、もう落ち着きを取り戻したんだ、と思っていたら、その数か月後の秋にまたまた大騒動があって、あらまあ、と思いながらテレビの画像を見ていました。バリ(バリケード)で固められた門に「解脱門」と書かれているのを見た時には、「あ、あれ、わたしが出入りに使った門じゃん」と懐かしんでいいのやら悪いのやら、ちょっと複雑でしたが。

 それでは、また次号でお会いしましょう。

  


  

6日目の1――無計画・チョンノそぞろ歩きの巻

6日目の2――お土産探しにインサドンへの巻

6日目の3――お昼ご飯は草の香りに包まれて/プルヒャンギの巻

6日目の4――これは干菓子ではなかった/茶食(タシッ)の巻

6日目の5――ふたたび本屋はパラダイス!(3) の巻

6日目の6――最後のディナーはサムゲタン[参鶏湯]の巻

6日目の7――「五」は何の「五」? の巻

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