『 トイレ 』


 22歳の頃の話なんですが、当時私は家賃二万円のアパートに住んでいました。
とても安かったけど、一応鉄骨構造の建物(ちょうっと古いが・・・)で、部屋も割と綺麗で 6畳と4.5畳の二部屋あった。
この部屋、私にはとても住み心地が良く、21歳〜27歳迄の7年間、一人で暮らした。
このアパートは二階建てで、一階部分が全て店舗になっていた。その為か、「古い」ということもあって、一般の人からは、二階部分は 『物置か倉庫』 のように思われていたようだった。
当時でもワンルーム・マンションの賃料が4.5万円程していたので、この部屋は かなり安かった。
 「なぜ、これほど安かったか?」というと、このアパート、トイレと風呂が 『共同』で 一つづつしか無く、その風呂も 浴槽が無く「シャワー」のみの造りになっている為だったと思われる。
 
ご想像どうり、朝のトイレは順番待ち。(後に入ると臭い・・・) 風呂は、冬場 とても寒い。(お湯は出るが、正面からお湯を浴びていると背中が寒いので、絶えず 「クルクル」 回っていないと 風邪をひく・・・。)

 
問題が起こったのは、このトイレである。
夏のある暑い日、昼だというのに 私は 「大」を もよおした。 いつも規則正しく「お通じ」があるのに、その日はトイレの順番待ちでタイミングを逃し、排便を済ませていなかったんです。
それが、昼になって再び便意をもよおした為、クソ暑い中、狭いトイレにこもったんです。
このトイレは簡易水洗の和式だったので、「うんこ座り」をして 汗を流しながら用をたしてました。
 
しばらくして、お腹も軽くなったので 最後の「締め」にと、右手でトイレット・ペーパーを取り、その手を後ろに回した 『その瞬間!!!』。

 背後に 「生ヌルイ風」 を感じたので、徐に後ろを振り返ると、そこには 片手で口を覆い、眼を大きく見開き、放心状態になっている「斜め向かいの部屋の女子大生」が立っていた。
 言い忘れたが、このトイレの鍵、緩んでいたんです・・・・・。



 
あんな時って、不思議と 見られた被害者の方が咄嗟に謝ってしまうよなー。
私の場合も、相手が女の子だったからか、『アッ! すみません!すみません!! ゴメンなさい!ゴメンなさーーーーい!!!!』 なんて謝ってた・・・。

 その出来事が原因かどうかはわからないけど、その大学生の女の子、一ヶ月半後に引越ししてしまった・・・・・。

 
それから6年ほど経ったある日、あの事件のことを 「フッ、」と、思いだした時があったんですが、あの 「不思議・・・」と 感じていた疑問の答えが ようやく解りました。
 『本当なら、故意でなかったにしろ 「ドアをノックもせずに開けた女の子」 が謝るべき筈なのに、何故、「見られた被害者の俺」 が代わりに謝らな ならんねん!!』
 『あっ!!  そうか!  「うんこ」の事だけに、俺が 「代弁(だいべん)して 謝ったんやな〜〜〜〜〜〜。


  ・・・実話です・・・・・。