小林よしのり氏に関する雑感


 以前パチンコに関して谷村ひとし氏の批判をこのホームページで載せたのですが、私には理解不能な彼の理論が、なんでこんなに様々なパチンコ雑誌に載せられているのか不思議でなりません。同じような漫画家に小林よしのり氏がいます。彼の著作に「新ゴーマニズム宣言」(小学館)と「戦争論」(幻冬舎「現在は3作目まで出版」)という著作があります。これらの本は数年前、大東亜戦争肯定論を主張して話題になり、多くの賛否両論を受けることとなりました。

 ここでは歴史認識に関する批判はしません。疑問に思うのは、彼の執筆の手法というか姿勢とでも言ったほうがいいのか分りませんが、そういった点に関してです。
 小林氏の執筆姿勢が一番よく現れているのは、新ゴーマニズム宣言103章、115章、119章ではないかと思います。これらの章では上杉聡氏との間で争われた著作権裁判について書かれています。この著作権裁判の概要を説明しますと、上杉氏が出版した「脱ゴーマニズム宣言」(東方出版)には多数小林氏の漫画のカットが使われています。このカット引用について小林氏側は、上杉氏の著作である「脱ゴーマニズム宣言」でのカットの使用は、引用の用件を満たしていないとして提訴しました。
 この著作権裁判は、一審で小林氏側前面敗訴、二審では「脱ゴーマニズム宣言」の57箇所の引用部分の内1箇所あったコマ位置の改変について、著作者人格権を侵害するものとして、上杉氏側に対して20万円賠償を命じています。しかし、訴訟費用に関しては99.6%を小林氏側の負担としていますから、ほとんど敗訴と考えて間違いないでしょう。しかも、小林氏はゴーマニズム宣言103章において、この訴訟は漫画を製作者の許諾なく引用することは違法であるので提訴したと主張しているのですが、地裁でも高裁でも漫画の引用に関しては適法との判断が下されたので、重要な主張部分で小林氏は敗れたといっていいでしょう。

 私がここで批判したいのは、小林氏が103章115章119章で行っている歪曲・論点ずらし・捏造・裁判所に対する誹謗中傷に関してです。これに関しては「日の出講芸」内の「アンチゴー宣」引用と著作権を考えるページ(03/11/8現在115章に関する記述が閲覧できません)に詳しいのでそちらの方を参照してください(個人的には「引用と著作権を考えるページ」の方をお勧めします)。

 さて、卑近な話で恐縮なのですが、私が小林氏の姿勢を強く疑ったのは大学生の頃でした。前出の日の出講芸のページを見て、彼の主張や執筆姿勢に疑問を持つようになったのですが、日の出講芸の管理者である長田氏のように膨大な資料に当たるということまではしませんでした。しかし、アンチゴー宣の中に「新・ゴーマニズム宣言 第6巻 「戦争論」批判を検証する」へのツッコミというページがありますが、このページで取り上げられている(同時に「戦争論批判を検証する」の元ネタでもあります)「世界」98年12月号と「戦争と罪責」(野田正彰著)が連載されている「世界」が大学の図書館にあったので、「新・ゴーマニズム宣言第6巻「戦争論」批判を検証する」と「世界」を読み比べることが出来ました。

 これらの両者の本を見比べて長田氏の文章を読むと、長田氏の主張にほぼ賛同してしまったのですが、いやはやひどいものですね。この「戦争論批判を検証する」は小林氏が書いたものではなく、小林氏の会社「よしりん企画」の社員時浦兼氏が書いたものなのですが、小林氏が全く関わっていなかったわけでもないでしょう。自著にちゃんと載せているわけですから。
 それにしても長田氏の言葉を借りるまでもなく、俺の読者は「世界」なんか読まないだろうとタカをくくって歪曲の限りを尽くすっていったいどうなってるんでしょうかね?この姿勢は先に上げた著作権裁判においても引き継がれています。所詮、俺の読者は判決文なんか読まないだろうとタカをくくってなければ、あれほどの嘘は書けないでしょう。

 現在は小林氏の著作を読んでいないので、先に述べたような姿勢が改善されているかどうかは分りません。それにしても、こんな歪曲に満ちた本が売り上げベストに入るとは・・・全く脱力してしまうよりありませんね。