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クリスチャンサイエンス |
1879年、メリー・ベーカー・エディ(1821〜1910)によって米国マサチューセッツ州ボストン市に創設された教団。日本での名称は「科学者キリスト教会」又は「キリスト教科学」という。
エディ夫人はニューハンプシャー州ボウにマーク・ベーカーとアビゲール・アンブローズ・ベーカーの末子として生まれた。生まれつき神経性など体の不調のため病弱であり、癒しの方法を探究していた。クインビーの暗示療法も彼女が試みた一つであった。彼女は若くして未亡人となり、一人息子を手放すなどの苦しみの中で、神に実際的理解を求めていた。1866年、神の啓示を受けて生涯を変え、聖書探求の上1875年に『科学と健康−付聖書の鍵』を著し、1879年クリスチャン・サイエンスを設立した。1866年の啓示とは、事故でひどい負傷をしたにもかかわらず、新約聖書に記されているイエスの癒しの一つを考えるうちに彼女は癒され、この時に霊感を受けて、やがて「神性の法則」を発見したという。そして、すべての病気の原因は心的なものであり、人間の病気の本質は心の中の虚偽とか幻想から起るとし、それを取り除くためには神とつながる霊的理解によらねばならぬとした。このことを彼女は多年にわたって聖書研究を続けていく中で確信したのである。
マサチューセッツ州の、主として工場労働者を中心にこの運動を組織化し、1881年、マサチューセッツ形而上学大学を創設して人々に教えた。本教の病気治療が教勢の飛躍的増大をもたらし、1892年、ボストンに母教会の第一科学者キリスト教会が設立され、世界各地に支教会が数多く設けられた。
教義の独特な点は、罪はもとより肉体の病気もキリストの弟子として生き、キリストの力を体験することにより癒されることにある。クリスチャン・サイエンスとは、神の法則、善の法則で、宇宙の普遍の調和をつらぬく神性の原理と規則を解明し実証するものであり、その神性の原理とは霊で、生命、真理、愛(善の三位一体)である。そして病気とは、この真理、生命、愛についての誤った感覚、すなわち物質的感覚と精神的妄想から生じた結果であり、病気は実在しないとする。
本教では一般に患者のそばで祈ることによって病を癒すが、いわゆる遠隔操作による癒しも行う。本教では医学的な処置を拒否し、また予防注射を受けたり、病理学、薬学について受験することも拒否する。ただし法的義務には従う。
本教では聖書の他に、エディ夫人の著書『科学と健康−付聖書の鍵』も正典としており、礼拝ではこの書物の抜粋からなる「教課説教」が必ず読まれる。また、教義上、死というものは存在しないため、教会の中ではエディ夫人は現在も(姿は見えないが)生きているとされている。
なお、この教派が発行する「クリスチャン・サイエンス・モニター」は、その内容の正確性、客観性、公平性で、世界で最も信頼できる新聞であると高い評価を受けている。
松野純孝編『新宗教辞典』より抜粋(一部加筆)