|
セブンスデー・アドベンチスト |
イエス・キリストの再臨を待ち望む教派で、米国ニューヨーク州のロウ・ハンプトンに住むバプテスト信者ウイリアム・ミラー(1782〜1849)が、旧約のダニエル書を研究してキリストの再臨が切迫していることを主張し、その日を1844年10月22日としたことに始まる。彼の説を信じた人々は仕事を放棄して再臨を待ち望んだが到来せず、大きな失望を味わった多くの人は再臨信仰から離れてしまった。ところが、再臨は必ずあると主張したのがエレン・G・ホワイト(1827〜1915)であった。彼女は、再臨がないのは安息日が間違っているからだと主張した。キリスト教の安息日は本来土曜日、すなわち第七日目であるべきなのに、カトリック教会が勝手に日曜日に変更してしまった。もし土曜日を安息日として守るならば再臨はあると主張した。教団名のセブンスデー・アドベンチストはこのことに由来する。ちなみに、アドベンチストとは再臨を待ち望む人々という意味である。
エレンはジェームズ・ホワイトという再臨思想家の牧師と結婚したが、実質的なリーダーは彼女であった。なぜなら彼女に「神からの啓示」が次々と与えられ、その啓示をもとにして教義や教会の制度が作られていったからである。
教会が現在の名称のもとにスタートしたのは1860年からであった。精力的な伝道によって信者数も増えていった。特に20世紀初頭から急増し、現在では世界の総信者数は950万人以上で、200以上の国や地域で伝道をしている。日本では、明治29年にグレンジャー宣教師と大河平牧師によって始められた。第二次世界大戦中、その再臨信仰が治安維持法に触れ、昭和18年9月、全牧師と信者の一部が検挙された。さらに翌年6月には礼拝、集会、伝道の一切が禁止され、教団の閉鎖と解散が命ぜられた。戦後になって信教の自由が認められると同時に没収されていた財産が返還され、活動が再開された。
この教団が伝道とともに力を入れているのが食品工業である。信者はキリストの再臨を待っているが、そのためには身体を清潔にしておくべきだとする。特に肉体は神の霊が宿るので、常に清い状態に保つ必要がある。この考えのもとで教団は発足当時から健康食品の製造に力を入れ、三育フーズという会社を経営している。また、病院(SDA衛生病院)や教育機関(三育学院)も持っている。
このように信者は節制を重んじ、酒と煙草は禁止、お茶やコーヒー、肉もできるだけ食べないように求められる。またユダヤ教と同じく、金曜日の日没から土曜日の日没までを安息日として守っている。
生駒孝彰著『インターネットの神々』 松野純孝編『新宗教辞典』 自由国民社『世界の宗教と経典総解説』より抜粋