20世紀後半に起こったエキュメニカル運動(教会一致運動)の流れの中で、世界各国でカトリック教会とプロテスタント諸派が共同で聖書の翻訳に取り組むようになり、日本でもこの流れを受けて、カトリック教会とリベラル派プロテスタントのメンバーからなる翻訳委員会が結成され、翻訳が開始されました。
その結果、1978年に「新約聖書 共同訳」が完成し、出版されましたが、固有名詞の表記や翻訳方針の問題などがあり、そのまま礼拝に用いることは難しいとして、キリスト教界から受け入れられませんでした。
固有名詞の問題というのは、共同訳では「原音発音表記主義」に立って、ギリシャ語の発音をそのまま日本語にした結果、例えば「マタイ」が「マタイオス」、「ルカ」が「ルカス」になったり、「イエス」が「イエスス」になってしまったことなどです。
特に「イエスス」については、原音表記ではなく、プロテスタントで用いられていた「イエス」と、カトリックで用いられていた「イエズス」を足して2で割るという折衷案をとるという中途半端な名称となったことは批判を浴びました。
また、翻訳方針として、字義訳ではなく、意味訳主義をとったため、原典への忠実さという点が問題となり、礼拝で使用するには相応しくないという意見が出されました。
そのため、共同訳は最初から翻訳をやり直すことになり、1987年に旧新約が完成して出版されたのが「新共同訳」聖書です。
新共同訳では、旧約と新約の他に、カトリック教会や聖公会で用いられているアポクリファ(外典)も「旧約聖書続編」という名称で翻訳され、「続編あり」「続編なし」の両方の版が出版されています。そのため福音派からは、聖書正典の厳密さが曖昧にされているという批判が起こり、プロテスタント諸派の中で新共同訳を使用するのは、もっぱらリベラル派の教会が主体となり、福音派の教会ではあまり使用されていないのが現状です。
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