第18回「特色のある聖書翻訳」

これまで、教会で使用されている主な聖書について紹介してきましたが、これらの他にも多くの聖書翻訳があります。今回は、それらの中から特色のある聖書を二つ紹介します。

リビングバイブル・・・シカゴのキリスト教出版社に勤務していたケネス・テイラーという人は、家庭礼拝で欽定訳や改定標準約聖書(日本で言えば、文語訳聖書や口語訳聖書)を用いていましたが、幼かった彼の子供たちは、そこで読まれる聖書の意味をなかなか理解できませんでした。

そのためテイラーは、聖書の言葉を噛み砕いて、分かりやすく読み聞かせたところ、子供たちは、それまで分からなかった聖書の内容を驚くほど理解するようになりました。そのとき、子供の一人がテイラーに「ねえパパ。聖書がそういう意味なら、なぜ最初からそういうふうに書いてないの?」と質問したのです。

それがきっかけとなり、テイラーは、全巻を分かりやすく意訳した聖書を作ろうと決心し、それから数年かけて、会社への通勤時間を利用して聖書をコツコツと意訳しました。こうして完成したのが「リビングバイブル」で、これはその後、世界各国語に翻訳され、日本語版も出来て、いのちのことば社から出版されています。

詳訳聖書・・・聖書を翻訳するときに問題となるのは、原語と翻訳語において、意味が完全に一対一に対応していない場合が多いことです。例えばギリシャ語の「エクスーシア」という単語には「力」「特権」「権利」などの意味があるため、通常の翻訳でどれか一つの意味を選んだだけでは本来の意味を完全に伝えることができません。

また、単語だけなく、文章そのものについても、複数の解釈ができる場合があります。詳訳聖書は、それらについて、本文の中に(カッコ)書きで、他の意味や翻訳文を入れることにより、聖書の厳密な意味を理解しやすくなっています。

詳訳聖書(新約)の日本語版は、以前、いのちのことば社から出版されていましたが、現在は版権の関係で絶版になっており、入手が難しくなっています。


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