第2回「ユダヤ教の聖書」

聖書のうち「旧約」の部分はキリスト教とユダヤ教とで共通です。キリスト教はユダヤ教を母胎として誕生したので、ユダヤ教の聖書を「旧約」として引き継いだのです。キリスト教では「旧約」と言いますが、この呼び方は「新約」と対比した名称なので、主イエスを救い主と認めないユダヤ教の立場では、当然のことながら「旧約」とは言いません。

蛇足ながら、新約聖書の中で「聖書」という言葉が出てくるとき、それが書かれた時点ではまだ「新約聖書」は成立していなかったので、そこで言われている「聖書」というのはユダヤ教の聖書、つまり「旧約」を指していることにも注意しましょう。つまり、新約聖書の中で「聖書は神の霊感を受けて書かれた書」だとか「聖書は私(イエス・キリスト)を証ししている」と書かれているとき、その「聖書」とは「旧約」のことです。

話を元に戻しますと、ユダヤ教では、キリスト教の旧約にあたる聖書を「律法(トーラー)」「預言者(ネビイーム)」「諸書(ケスビーム)」と言い、この3つの頭文字をとって「TNK(タナック)」と呼びます。福音書の中で、主イエスが旧約のことを「律法と預言書と詩篇(ルカ24:44)」と言っているのは、このことを指しています。

さて先ほど、キリスト教の「旧約」とユダヤ教の「タナック」は同じだと言いましたが、正確に言うと2つの点で違いがあります。まず、各書の配列の順番が違います。タナックは「トーラー」「ネビイーム」「ケスビーム」の順番で配列されており、このうち最初の「トーラー」は旧約のモーセ五書と同じ配列です。

ネビイームは「ヨシュア記」から「列王記」までの歴史書が「前の預言者」、「イザヤ書」「エレミヤ書」「エゼキエル書」「12小預言書」の記述預言書が「後の預言者」と呼ばれています。これらのうち、「ルツ記」「ダニエル書」「歴代誌」は旧約の配列や内容から考えればネビイームの中に含まれると思いがちですが、これらの書は「諸書(ケスビーム)」の中に入れられています。

ケスビームは、詩篇とかヨブ記、伝道の書のような「文学」「知恵文学」というものが主体です。

これらのうち、トーラーが最も最初に書かれ、また権威を持ち、次いでネビイーム、ケスビームという順番に成立したと考えられています。

またタナックでは、各書の数え方も異なり、キリスト教の旧約では39巻ですが、タナックの数え方では、例えば12小預言書はまとめて1巻と数える等して、全部で24巻になります。




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