第3回「タナックの成立」

キリスト教の旧約にあたるユダヤ教の聖書を「TNK:タナック」と言うことを前回書きましたが、今回は、タナックがどのようにして成立したのかを学びたいと思います。

ユダヤ教において、タナックの中で最も権威があり、最も古くから聖なる書(聖典)としての地位を確立したのは「律法:トーラー」でした。これは「創世記」から「申命記」までの、いわゆる「モーセ五書」のことです。これは古来、モーセによって書かれたものであると伝えられてきましたが、聖書学の研究によれば、現在の形のままモーセが書いたのではなく、一部はモーセにまで遡る伝承が編集されて現在のモーセ五書の形となったと考えられています。

モーセ五書をJ(ヤーウィスト文書)、E(エロヒスト文書)、D(申命記的歴史文書)、E(祭司文書)に分解する文書仮説は19世紀ドイツのヴェルハウゼンという旧約学者によって学問的に体系づけられ、その後の聖書学に大きな影響を及ぼしましたが、福音派の中には、このような高等批評を認めない保守的な聖書学者もいます。トーラーは紀元前4世紀頃にはユダヤ教の聖典としての地位が確立していたようです。

次に聖典と認められたのは「預言者:ネビイーム」でした。これはイスラエルの歴史を記した「前の預言者」と、記述預言者による「後の預言者」に分かれます。

最後に聖典とされた文書群が「諸書:ケスビーム」で、これは文学作品や、イスラエルの祭りの際に朗読された祈りや讃美、また知恵の書と呼ばれる文書を集めたもので、最終的には紀元前2〜3世紀頃までに成立しました。

これらの「聖典」が、紀元90年に開かれたユダヤ教のヤムニア会議で「正典」とされたのです。




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